退職の挨拶メールはいつ、誰に送る?社内向け、社外向けの例文も紹介
退職の挨拶メールを出す際、「何をどう書けばいい?」「誰に、いつ送るべき?」など迷ってしまう人は多いのではないでしょうか。
この記事では、これまで多数の転職をサポートしてきたキャリアアドバイザーが、退職の挨拶メールを送るタイミングや送る範囲などの基本的なマナーについて、社内向け・社外向け、それぞれの例文付きで解説します。
キャリアアドバイザー プロフィール
H.Yanagawa
Web・IT・エンタメ領域を中心に担当。人生の大きな転機でもある転職において、さまざまな不安を少しでも軽減し、安心して「よい転職活動」ができるよう、一人ひとりに合った方法を探りながら最適な支援ができるよう心がけている。
目次
退職の挨拶メールは、「いつ」「誰に」「どのように」送る?
退職の挨拶メールを送る目的や適切なタイミングは、社内向けと社外向けで異なります。社内向けと社外向けそれぞれの挨拶メールについて、いつ送るのか、誰に送ればいいのかなど、送り方の基本的なマナーとその理由を知っておきましょう。
社内向け:基本的な送信マナー
社内向けに退職の挨拶メールを送る際は、一斉送信するのが一般的です。ただし、個人的に親交のあった方や、お世話になった上司には、別途個別にメールを送ってもよいでしょう。以下、詳しく解説します。
社内メールは「いつ」送る?:最終出社日
社内の人へ退職の挨拶メールを送るタイミングは、基本的に最終出社日です。リモートワークの場合も、PC等の機材返却で会社に出社する際(最終出社日)に送るのがよいでしょう。なお、有給休暇を消化して、そのまま退職する場合もあるので、最終出社日が退職日と同じとは限りません。
メールを送る時間帯は、一般的に始業前、お昼時、終業前など、社内の業務が落ち着いている時間帯とされています。しかし、忙しい時間帯は職場によって異なるため自社の状況、送る相手の状況に合わせましょう。
社内メールは「誰に」送る?:お世話になった人・日頃からやりとりがある相手
退職の挨拶メールは、年次や立場にかかわらず、基本的には日頃から業務などでやりとりがある相手、以前にある程度の期間やりとりがあった相手など、お世話になった人に送ります。
社内メールは「どのように」送る?:一斉送信
社内に退職の挨拶メールを送る際には、一斉送信でも問題ありません。
ただし多くの人に一斉送信をする際には、送信先に気をつけましょう。Toには自分のメールアドレスを入れ、送信先のメールアドレスはすべてBccに入れます。くれぐれも、「ToやCCに送信先メールアドレスを入れたため、送った相手がすべて見えてしまう」という状況にならないよう注意してください。
もし、業務における社内連絡に、ビジネスチャットやメッセンジャーなどのツールを導入しており、普段から社内への連絡にメールを使うことがほとんどない、あるいは会社からもメールの使用が推奨されていない、という場合は、通常利用しているツールで退職のメッセージを送ってもいいかもしれません。
メールで送るか、チャットやメッセンジャーで送るか迷う場合は、過去に退職した人の例を参考にするとよいでしょう。
社外向け:基本的な送信マナー
取引先など、社外向けに退職の挨拶メールを送るタイミングは、社内向けとは異なります。
担当顧客などに対してはメールでの連絡に加えて、直接訪問する場合も多いため、退職日が決まった時点ですぐに準備を始めましょう。
社外メールは「いつ」送る?:退職日の2~3週間前
取引先など、社外へ退職の挨拶メールを送るタイミングは、あなたの後任の担当者が決まり次第、少なくとも退職の2~3週間前です。引き継ぐ担当者の名前を必ず添えたうえで、相手先の業務が忙しい時間帯を避けて送りましょう。
退職の2~3週間前までに挨拶メールを送る理由は、後任の担当者に業務を確実に引き継ぎ、取引先に迷惑をかけないためです。「ちゃんと前任者から情報が引き継がれているのか?」と不安にさせないためにも、十分な余裕をもって行動しましょう。
社外メールは「誰に」送る?:日常的にお取引がある相手、親交がある取引先
社外向けに退職の挨拶メールを送る範囲として、まず最優先にすべきは現在やりとりしている取引先(顧客、仕入先、その他パートナーなど)です。その次に優先順位が高いのは、以前担当していて現在は後任に引き継いでいるが、今でも何かしらの親交がある取引先です。
社外メールは「どのように」送る?:個別送信が基本
社外に退職の挨拶メールを送る際は、一斉送信ではなく、個別送信が基本です。一斉送信の場合、万が一送り先を間違えたり、Bccに入れるべきメールアドレスがToやCCに入っていて見える状態になっていたりすると、取引先情報や個人情報の流出に繋がってしまいます。
なお、個別送信とはいっても、必ずしも「個人宛」である必要はありません。1企業、または1部署の中に連絡したい相手が複数いる場合には、送りたい相手のメールアドレスをすべてToに入れ、本文の冒頭にも全員の宛名を入れて送ってもよいでしょう。
退職の挨拶メールの書き方
次に、退職の挨拶メールに入れるべき内容や、作成時の注意点について、例文付きで解説していきます。
社内向け(同僚・上司・お世話になった方):例文
退職理由は詳しく書かず「一身上の都合」とするのが基本です。なぜなら、個人的な事情や社内に関するネガティブな情報を書くと、余計な憶測やトラブルを招いてしまう恐れがあるためです。
これまでお世話になったことへの感謝や、対面で挨拶ができなかった方へのお詫び、相手の健康や会社の繁栄を願う言葉など、ポジティブな要素はしっかり入れましょう。
メールに入れる要素
- 退職日と最終出社日
- 退職理由については「一身上の都合」
- 今後も連絡を取りたい方は個人の連絡先
- これまでに対する感謝や、相手の健康を祈る言葉など
社内に一斉送信する退職の挨拶メール<例文>
件名:退職のご挨拶(制作2課 毎日花子)
〇〇部の皆様
お疲れ様です。制作2課の毎日です。
すでに先日の部会でもご挨拶させていただきましたが、一身上の都合により3月末に退職することとなりました。本日が最終出社日で、退職日までの間は休暇をいただく予定です。
本来であれば直接ご挨拶すべきところ、一斉メールでのご連絡となってしまい申し訳ありません。
これまで厚いご指導やご支援をいただき、誠にありがとうございました。
入社してからの5年間、皆様との仕事を通して沢山のこと学んできました。
デザイナーとして未熟な点も多々あったかと思いますが、温かく見守っていただいたことに心から感謝しております。
この会社でのかけがえのない経験を今後も活かし、一層の精進を重ねていきたいと思います。
退職後の連絡先は以下の通りです。
メールアドレス:○○○○○○○○@○○○○○○○○
携帯番号:○○○-○○○○-○○○○
最後となりましたが、皆様のご健勝とご活躍をお祈りいたします。
これまで本当にありがとうございました。
毎日 花子
直属の上司やお世話になった方へ個別に送る退職の挨拶メール<例文>
件名:退職のご挨拶(制作2課 毎日 花子)
〇〇課長
お疲れ様です。
とうとう本日が最終出社日となりました。
12月に退職のご相談をしてから今まで、お忙しい中いろいろとサポートしていただき、誠にありがとうございました。
本来ならあらためてご挨拶に伺うべきところ、メールでのご連絡となってしまったことをお許しください。
新卒で入社してから今日まで、〇〇さんにデザイナーの仕事の基本を徹底的に教えていただいたこと、大規模案件で経験を積ませていただいたこと、壁にぶつかった際にたくさんのアドバイスをくださったことなど、思い出せばきりがなく、感謝の気持ちでいっぱいです。
これまで〇〇さんに教えていただいたこと、かけていただいた言葉を忘れずに、今後も精進していきたいと思います。
末筆ながら、〇〇さんの今後一層のご活躍とご健康をお祈りしております。
本当にありがとうございました。
毎日 花子
社外向け(取引先):例文
社外向けの場合は、現在担当している取引先であるかどうか、メールの後に訪問するかどうかで内容が変わってきます。
退職日を明記し、退職理由は「一身上の都合」とするなどは社内向けと同様ですが、退職後の連絡先は社外には送らない方がよいでしょう。
メールに入れる要素
- 退職日と最終出社日
- 後任者の紹介
- 引継ぎについて
- これまでに対する感謝や、相手の健康を祈る言葉など
社外に送る退職の挨拶メール<例文>
件名:退職のご挨拶(株式会社○○ 毎日)
〇〇〇〇株式会社 〇〇部 〇〇課
●●様 △△様 □□様
平素より大変お世話になっております。
このたび、一身上の都合により●月●日をもって株式会社○○を退職することとなりました。
最終出社日は●月●日となります。
本来はご挨拶に伺うべきところ、略儀ながらメールにて失礼いたします。
皆様には○○○○プロジェクトで大変お世話になり、またプロジェクト終了後もたびたび情報交換をさせていたき、誠にありがとうございました。
また、今後何か当社にお手伝いできることがありましたら、後任のデザイナーである■■宛にご相談いただければ幸いです。
■■の連絡先
メールアドレス:○○○○○○○@○○○○○○○
携帯電話番号:○○○-○○○○-○○○○
末筆ながら、貴社の益々のご発展と、皆様のご健勝そしてご活躍をお祈り申し上げます。
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株式会社○○ 毎日 太郎
メールアドレス:○○○○○○○@○○○○○○○
TEL:○○○-○○○○-○○○○
URL:○○○○○○○○○○○○○○
**********************************
社外に送る退職の挨拶メール(後日後任者と訪問する場合)<例文>
件名:退職のご挨拶(株式会社○○ 毎日)
〇〇〇〇株式会社 〇〇部 〇〇課
●●様 △△様 □□様
平素より大変お世話になっております。
このたび、一身上の都合により3月末付で株式会社○○を退職することとなりました。
●月●日が最終出社日となります。
御社の○○サイト立ち上げに関わらせていただき、また、この2年間は引き続き運用をご依頼いただき誠にありがとうございました。
私の後任は同じ部署の■■という者になります。
■■は当社には今年に入ってからの中途入社ですが、大手ECサイトの運用を中心とした経験を積んでおり、マーケティングの分野にも明るい者です。
私が責任を持って、しっかりと引継ぎしますのでどうぞご安心ください。
退職前にいちど■■とともに引継ぎのご挨拶に伺いたく、来週お時間をいただくことはできますでしょうか。
お忙しいところ大変恐縮ですが、ご都合のいい日時をいくつかお知らせいただければ幸いです。
以上、何卒どうぞよろしくお願いいたします。
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株式会社○○ 毎日 太郎
メールアドレス:○○○○○○○@○○○○○○○
TEL:○○○-○○○○-○○○○
URL:○○○○○○○○○○○○○○
**********************************
退職の挨拶メールを送るときのマナー・注意点
社内・社外を問わず、退職の挨拶メールを送るときには気を付けたいマナーや注意点について2つご紹介します。
ネガティブなことは書かない
退職の挨拶メールには、会社への未練や不満、愚痴などを書かないようにしましょう。退職の挨拶メールは、これまでお世話になった方々へ、感謝を伝えるためのものであり、ネガティブな感情や意見を伝えるためのものではありません。職場や人間関係に悪影響を与えないためにも、退職の挨拶メールにネガティブな要素を含めるのは絶対に避けましょう。
上司やお世話になった人には感謝の気持ちをていねいに
お世話になった方々へ感謝の気持ちをていねいに伝えることで良好な人間関係を保ちましょう。元上司や元同僚は、新たな人脈となり、いつかあなたを支えてくれる存在になるかもしれません。心からの謝意を表し、今後の機会に繋げていきましょう。
退職の挨拶メール作成・送信に関するよくある質問
最後に、退職の挨拶メール作成・送信に関して、転職希望者からよく受ける質問と、それに対するキャリアアドバイザーからの回答をご紹介します。
退職挨拶メールに返信が来たら?
必ず返信する必要はありませんが、わざわざ返信してくれる方はとりわけ親交が深い方であると思います。今後に対する意気込みや、相手への感謝、相手をねぎらう言葉などを添えて返信してみてはいかがでしょうか。以下の例文も参考にしてみてください。
退職挨拶メールへの返信に対する返信の例文
社内の場合
○○さん
お疲れ様です。
お忙しいところ丁寧なご返信をいただきありがとうございます。
○○さんには、△△のプロジェクトで私が窮地に陥っていたときに助けていただき、本当に感謝しています。
いつも温かい言葉をかけていただいて、とても励まされました。
私もいつか○○さんのような素敵な先輩になれるよう、成長できればと思います。
そしてまたご縁があれば、いつか仕事でご一緒できれば幸いです。
今後も○○さんの一層のご活躍とご健勝をお祈りしております。
社外の場合
■■様
●●様 △△様 □□様
いつもお世話になっております。
お忙しいところ丁寧なご返信をいただき恐縮です。
■■様には最初のコンペ参加時に当社を高く評価していただき、貴社との取引の糸口を作ってくださったこと、ご異動後もあらたなお仕事をご紹介くださったことなど、大変お世話になりました。
チームの目標達成の際、お祝いの席に私たちも呼んでくださり、皆さんの前で称えてくださったことが忘れられません。
この経験を糧に、今後も精進していきたいと思います。
またいつか、どこかで■■様とお会いできる日を楽しみにしております。
最後となりましたが、■■様の今後ますますのご活躍とご健勝をお祈り申し上げます。
有給消化中に退職日が来る場合は、いつ挨拶メールを送る?
有給消化中に退職日が来る場合は、有給消化に入る前の最終出社日に退職の挨拶メールを送りましょう。メールを送る際に気をつけるべき点や考え方は、退職日まで勤務する場合と変わりはありませんので、この記事の内容を参考にしてください。
派遣社員の場合でも挨拶メールは送った方がいい?
派遣社員の場合でも、同じ派遣先に長期間勤務した場合や、仕事で関わった人が多い場合は、挨拶メールを送った方がよいでしょう。企業によっては、正社員か派遣社員かの区別なく、社外の取引先とやりとりをしていることもあります。その場合は、とくに自身が派遣社員であることには触れずに挨拶メールを送りましょう。
きちんとした退職の挨拶メールで円満退職を目指す
退職前は何かと忙しく、転職を控えている場合はその準備で頭がいっぱいになりやすいものです。しかし、たとえばWeb業界やゲーム業界など同じ業界内でキャリアを積んでいくのであれば、もしかしたら将来、前職の会社や取引先があなたの新しい顧客になるかもしれません。
だからこそ、去り際にもしっかりと相手への感謝の気持ちを表し、次のステップに繋げていきましょう。ぜひこの記事を参考に、退職の際には好印象を残す挨拶メールを作成し、円満退職を目指してください。