退職するベストなタイミングはいつ?現役キャリアアドバイザーが解説
転職者にとって、退職する企業との良好な関係性をどう保っていくかということはとても重要です。たとえば、退職のタイミングを考えることは1つの配慮と言えるでしょう。
そこで今回は、退職する企業やそこでの人間関係を、転職後もポジティブに繋げていくために、退職するタイミングをどのように見極めるか、また退職するタイミングをどうやって作るかなどをご紹介します。
キャリアアドバイザー プロフィール
H.Yanagawa
Web・IT・エンタメ領域を中心に担当。人生の大きな転機でもある転職において、さまざまな不安を少しでも軽減し、安心して「よい転職活動」ができるよう、一人ひとりに合った方法を探りながら最適な支援ができるよう心がけている。
目次
会社を退職するベストなタイミングとは
退職するにあたって、少しでも自身にとって有利なタイミングを選びたいものです。退職時期によってどんな影響が考えられるのかも合わせて、ベストと思われる退職のタイミングについてご紹介します。
賞与(ボーナス)が支給された後に退職する
賞与(ボーナス)は、一般的に6月と12月に支給されることが多いです。賞与の支給に合わせて退職したいと思うなら、賞与の算定期間や賞与の支給時期などを事前に確認しておくとよいでしょう。特に賞与の「支給日在籍要件」が定められている場合、賞与の支給日より前に退職してしまうと賞与を受け取ることができません。確実に賞与を受け取ってから退職したいと考えているなら、就業規則にもしっかり目を通しつつ、退職日を賞与の支給日後に設定できたら安心です。
会社の閑散期を狙って退職する
業界によって繁忙期、閑散期があるかと思います。繁忙期は上司を含め、社内全体が立て込んでおり、気持ちにも余裕がありません。上司に退職を申し出るタイミングを伺うのも非常に難しいでしょうし、同僚への引継ぎ業務も円滑に進まない可能性があります。ですから、退職はもちろん、退職の相談や申し出をするタイミングも、会社の閑散期を狙うのがいいでしょう。
雇用形態によって退職のタイミングは違う
クリエイターが企業と関わるスタイルは多様で、外部スタッフとして業務委託でプロジェクトに参加したり、契約社員や派遣社員として雇用されている場合もあるでしょう。この場合、退職のベストなタイミングは仕事やプロジェクトの切れ目となることはいうまでもありません。
これらの仕事のスタイルには契約期間が存在しますので、更新を打診された際に、更新せず転職する意志を表しておけばOKです。それでも契約期間内のタイミングで突然退職することは社会通念上許されることではありませんので、もし契約に抵触してしまう場合は早めに相談し、必ず相手の了承を取っておくようにしましょう。
退職までのスケジュールを把握しよう
退職までの想定期間は、個人の状況を鑑みたとしても、最短30〜最長90日(1ヵ月〜3ヵ月)の間で設定するのが一般的です。ここからは、退職までに想定しておきたいスケジュール期間の目安を紹介します。
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想定しておきたいスケジュール期間(目安)
退職のタイミングは、以下3つの要素を想定して考えてみましょう。あなたに個々の事情がある場合は、これらに期間を足し引きして具体的に調整してください。
担当するプロジェクトの完了日 or 担当業務の引き継ぎ期間の終了日 | 目安 15日〜55日程度 |
担当プロジェクトの完了に合わせられるのが最も支障なく退職できるタイミングです。追加業務を入れないように在職企業と交渉しましょう。業務の引き継ぎに必要な期間はリーダーやマネージャーなどポジションが高い人ほど長くなるのはやむを得ません。転職先が確定している場合は転職先とも交渉のうえ、必要な日数を想定しましょう。
残務処理期間 | 目安 数日〜30日程度 |
クリエイターといえども担当しているのは制作プロジェクトばかりではありません。クライアントと直接コミュニケーションをおこなっていたり、社内でのポジション的な引き継ぎや事務処理も必要なはずです。これらをクリアする期間を普段の業務とは別途設け、退職のための事務手続きも社内の人事・総務と相談して完了させておきましょう。
有給休暇消化期間 | 目安 数日 |
企業によって有給休暇の取得状況は異なりますが、退職を前に有給が残っていた場合は消化期間を設けて、給与が支払われるのが一般的です。注意してほしいのは、この有休の消化期間、まだあなたはそれまで在籍した企業の社員であるということ。この期間を終えるまで次の企業に正社員として入社することはできません。この期間も必ず退職までの必要期間に換算しましょう。
退職意思はいつまでに伝えたらいい?
会社を退職する場合、その意思を伝える時期として、法的には「原則2週間前までに」申し出ることが定められています。しかし実際は多くの企業が社内規定に就業規則という形で、申し出は「退職の1ヵ月前までに」と定めていることが一般的です。社内規定は入社時に社員本人が確認していることが前提となりますので、この内規を無視して退職することは社会通念上できません。退職を考え、転職活動を始めるときには、必ず就業規則も確認するようにしてください。また退職の意志が固まったら、引継ぎ業務など周囲の状況も考慮し、なるべく早めに直属の上司へ伝えるようにしましょう。
法的に定められた退職のタイミングと現状
労働者には「退職の自由」があります。そのため、期間の定めのない労働契約を結んでいる場合、退職の申し入れから2週間が経過すれば雇用契約が終了する、つまり退職が可能となります。
ただし、労働者の権利への意識がまだ低かった頃につくられた社内規定では、退職の申し出から退職までを、3ヵ月、6ヵ月と長い期間を設けている企業もあります。実際の転職において、あなたがその内規を守ることができればベストですが、それが不可能な場合は、退職のタイミングについて在職企業と話し合って妥協点を見出していくということが必要です。
退職するタイミングの見極め方 - 退職と転職先の確定どちらが先か?
退職のタイミングをはかるうえで重要なのは、退職してから転職先を探すか、転職先を決めてから退職をするかの選択です。あなたの性質や在職状況を考えてどちらを選択していくべきか考えましょう。下記に退職が先のほうがよい人、転職先を先に見つけるほうがよい人の2種類で、それぞれ5つの質問を用意しました。あなたの現状を考えてYes、Noで回答してみてください。
退職してから転職先を探すべき人への5つの質問
転職前にスクールなどで集中してスキルを補強したい | Yes | No |
退職から次の会社に入るまでの生活資金は準備している | Yes | No |
プロジェクトの切れ目が目前で退職しやすい状況にある | Yes | No |
現在の自分のポジションをカバーしてくれるメンバーがいる | Yes | No |
多忙過ぎて正直退職してからでないと転職自体考えられない | Yes | No |
転職先が確定してから退職するべき人への5つの質問
休日や平日の勤務終了後の時間を利用して転職活動ができる | Yes | No |
転職先が決まれば在職企業の退職は容易だと思う | Yes | No |
無収入の期間が出ることは避けたい | Yes | No |
退職を急ぐよりも転職の方向性をじっくり決めたい | Yes | No |
キャリアアップ目的の転職で現職に不満があるわけではない | Yes | No |
それぞれの5つの質問で、Yesの数が多い方が、もう一方よりあなたに合った転職だと言えます。そしてこれらの質問に答えることであなたの退職において克服しなければならない問題点も見えてくるのではないでしょうか。
退職をしてから転職活動をおこなうか、転職先を決めてから退職するか、それぞれメリットとデメリットがあるため、退職するタイミングの選び方としてどちらが正しいかは一概には言えません。自分にとってよりよい形の退職するタイミングを見つけるために、今の自分に何が必要かを続けて考えていきましょう。
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退職するタイミングをつくるためにやるべきこと
一般的な会社員の中では人材の流動性が高く、自由なイメージのあるクリエイター職種であっても、いざ転職しようと考えたら、どうしても退職のタイミングが近づいてこないという人が多くいます。それを解決するための方法を紹介していきます。
在職企業に向けてやっておくべきこと
- 自身の主業務(プロジェクト等)の切れ目を把握しておく
- 後任者を育てる(スムーズな業務引き継ぎができる相手をつくっておく)
- 新規プロジェクトへの参加を控える
企業での在籍期間が長くなり、ポジションが上がれば上がるほど、退職のタイミングの選択は難しくなります。退職をスムーズにおこなうためには、退職を申し出る前からある程度退職できる状況をつくっておくことが理想です。転職の意志が固まったら、在職企業で上記のように行動し、退職のタイミングをつくる努力をしていきましょう。
転職の自由度を上げるためにやっておくべきこと
- 転職活動中の生活資金を準備する
- 居住地など生活のスタイルを変える
多くの人が転職を断念する理由にあげるのが「多忙すぎて転職活動ができない」というものです。つまりその人は退職してからしか転職活動ができない状況にあるといえます。転職先を決めるまでの生活資金を準備することできれば、あなたはより自由な立場で退職のタイミングを考えることができるはずです。
もう一つ転職活動中の生活をカバーするために「生活スタイルを変える」という方法があります。郊外に転居して住宅費を抑えたり、現在の居住地域がそれまでの仕事を前提に決めたものだとしたら、転職後の生活を視野に入れて、より自由に居住地域を選ぶこともできるでしょう。生活資金が十分でないとき家族の協力が得られれば、一時的に実家で生活するというのも転職時を乗り越える一つの方法です。ひとり暮らしか、配偶者や家族がいるか、個人によって状況は大きく変わりますが、転職では生活そのものを見直すことで新たな可能性が見える場合もあります。「退職は無理=転職はできない」と結論づけてしまう前に、生活のスタイルを見直すことで退職のタイミングをつくることを考えてみてください。
まとめ - キャリアアドバイザーからのひと言コメント
退職をスムーズにおこなうために一番重要なのは在職企業と折り合える「退職のタイミング」です。それは退職の申し出から退職までの期間だけの問題ではありません。あなたがそれまで所属してきた企業に対して、可能な範囲で業務の進行に配慮すること。退職に一番ふさわしいタイミングをつくり出すことなのです。この退職タイミングによってあなたは退職した企業とも良好な関係を維持し、時には協力を得られるという大きなメリットを獲得できます。転職だけでなく退職にも誠意を持って臨むことがあなた自身を高める結果に繋がっていきます。
スムーズな退職を果たし、新たなるキャリアを築きたい方は、ぜひ参考にしてみてください。