退職届を内容証明で出す方法|書き方やポイントを徹底解説
近年、退職届を内容証明郵便(内容証明)で出すケースが増えています。基本的に退職届は直接渡すものですが、退職を拒絶されるケースもあり、このような場合では内容証明で出す退職届が役立ちます。
本記事では退職届を内容証明で出す方法や書き方やポイントについて解説していきます。スムーズに退職を進めるために、ぜひ参考にしてください。
目次
退職届を内容証明で出すとはどのようなこと?
内容証明とは日本郵政株式会社が提供する、一般書留郵便物の送付日や送付先、差出人や内容について証明するサービスです。
内容証明で送付した文書は正式なものとして法的効力を持つことになり、トラブルになった際にはその内容とともに相手がちゃんと文書を受け取っていることや受け取った日付を示す重要な証拠となります。さらに、内容証明で文書を出すことで相手に対して強く意思表示をすることができるため、交渉や解決に役立つ場合もあります。
内容証明が用いられる具体的なケースを挙げると、契約解除や債務の履行催促、契約違反に基づく損害賠償請求、不法行為に対する警告、不動産の賃貸契約や遺産相続などがあります。
退職届を内容証明で送るのも、郵便物の内容を正式な記録として残すためです。それによって退職の強い意志を会社側に伝えるとともに、会社側が受け取ったことや退職届が届いた日を法的に証明することができます。
出典:郵便局『内容証明』
退職届を内容証明で出すケース
退職届は会社に直接提出するのが一般的です。しかし退職に関するトラブルを防ぐことができるため、退職届を内容証明で出すケースも増加しています。
次にどんな場合に退職届を内容証明で出すのか具体的に見ていきましょう。
退職届を会社側が受け取ってくれない
最も多いのが退職届を会社側が受け取ってくれないケースです。たとえば「うちは退職を認めない」「後任が決まるまでやめられない」などと引き止められることがあります。
正社員など雇用期間に定めがない場合、労働者の意思によって自由に退職する権利があります。しかし、実際には「上司に退職届を出したけれど受け取ってもらえなかった」「退職届を無視された」など退職の意思を示しても受取拒否されることも少なくありません。
その際には書類を送付した日付や内容を証明できる内容証明が役立ちます。退職届を内容証明で出すことで自分の退職の意思を会社側に強く伝えるとともに、法的に有効な証拠として残すことができます。
何らかの理由で出社ができない
退職届の内容証明は、出社できない理由がある場合にも用いられます。具体例を見てみましょう。
- パワハラ・セクハラなどハラスメント行為により出社すること自体が難しいケース
- 重篤な病気やケガなど健康面で出社が難しいケース
- 親の介護や育児などで継続して出社することが難しくなったケース
いずれのケースでも、内容証明で退職届を出すことで出社できない状況でも確実に退職の意思を伝えることができ、会社側とのトラブルを防ぐことができます。
退職日が迫っており、迅速に手続きを進めたい
退職を決意したものの、転職先の都合や個人的な事情で早めに退職したい場合、スムーズに手続きを進める必要があります。しかし、会社が対応を引き延ばしたり、退職届の受理を遅らせたりすると、希望する退職日に間に合わない可能性があります。
民法では退職の意思を伝えてから2週間が経過すれば、会社の承認がなくても退職が可能とされています(民法627条)。退職日まで余裕がない場合でも、内容証明を活用すれば確実かつ迅速に退職手続きを進めることができます。
内容証明の書き方
次に退職届を内容証明で送る際の書き方について解説します。
内容証明を書く時の注意事項
内容証明には独自のルールがあるため、それに従って記載しましょう。
たとえば内容証明は文書1通のみを内容としており、指定の文字または記号で記載されていること、一般書留とした郵便物であることがルールとなります。また、謄本の文字または記号を訂正・挿入・削除する場合の記載方法、字数・行数の制限なども決まっています。
3つの日付を必ず記載する
退職届には必ず3つの日付を記載しましょう。
内容証明を利用して退職届を出す目的の1つは、送付日・到着日を証拠として確実に残すためです。退職届の提出に内容証明を使う場合、良好な労使の関係が築かれていないことが多いため、トラブルを避けるために日付に関してはしっかり書き入れましょう。
- 退職日:退職を希望する日付
- 最終出社日:未消化の有給休暇を退職日から差し引いた日付
- 送付日:内容証明の送付手続きをした日付
退職届けの受理に関してトラブルがある場合は、退職を伝えてから2週間経過すれば退職できるという民法第627条に従い、退職日を内容証明の到着から2週間経過後の日付にしましょう。
退職理由を明確に記載する
退職理由を明記することで会社とのトラブルを防ぎ、法的に確実な証拠を残せます。特に、パワハラや未払い給与などの問題がある場合、具体的な理由を記載することで会社の不当な引き止めを防ぎ、「会社都合退職」としての扱いを主張しやすくなります。
自分の都合で退職する場合は「一身上の都合」、パワハラやブラックなどの会社側の問題で退職する場合は「会社都合で退職する」と記します。このように、内容証明で退職理由を明記すれば、会社側の対応を法的に無効化しやすく、スムーズな退職が可能になります。
内容証明で送る退職届の具体的な記載方法については次の記事をご覧ください。
内容証明の送り方
退職届を内容証明で送る方法として郵便局で送る方法とオンラインで送る方法があります。
郵便局で送る場合は、受取人へ送付する退職届と謄本2通(差出人および郵便局が各1通ずつ保存するもの)、差出人および受取人の住所氏名を記載した封筒と内容証明の加算料金を含む郵便料金が必要です。
近くに内容証明のサービスを利用できる集配郵便局や支社が指定した郵便局がない場合はオンラインの利用がおすすめです。
オンラインで退職届を内容証明で送る場合は、Webゆうびんの専用WebサイトにログインしてWordファイルで作成した退職届をアップロードし、差出人および宛先を入力して送付することになります。
送り方の詳細については日本郵便の公式サイトをご確認ください。
出典:郵便局『内容証明』
内容証明を送る前に確認しておいたほうがいいこと
退職届を内容証明で送る前に次の2つについて確認しておきましょう。
就業規則や雇用契約書を確認する
会社の就業規則や雇用契約書には、退職に関するルールが明記されている場合があるため、事前に確認が必要です。
たとえば、「退職は1ヵ月前に申し出ること」といった規定がある場合、民法では2週間前の通知で退職可能(民法627条)ですが、円満退職を目指すなら会社のルールに従った方がよいでしょう。
ただし、退職妨害やパワハラがある場合は、規則にかかわらず早めに法的手段を取ることも検討するべきです。
上司のスケジュールを確認する
退職届の内容証明を送る前に上司のスケジュール確認もしておきましょう。
退職届が受理されないのは意図的に受理を拒否されているケースもありますが、中には単に上司が多忙で手が回らないのが原因であるケースもあります。多忙が原因であるのに「受け付けてもらえなかった」と勘違いして内容証明で退職届を送ると会社との不要なトラブルを生んでしまう可能性があります。
内容証明を利用する前にまず上司の状況を確認し、内容証明で退職届を送るべきか、直接手渡すべきかを見極めましょう。
よくある質問
最後に、退職届を内容証明で送る際によくある質問について解説します。
Q.1できる限り円満に退職したいのですが、どうすればいいでしょうか?
病気やケガ、転職など会社とのトラブルではない理由で退職する場合、円満に退職するためには自分が退職した後の業務が滞ることがないように早めに退職の意思を伝えることが重要です。
また、内容証明では挨拶や感謝の気持ちを伝える添え状などが同封できないため、普通郵便(書留)に添え状と合わせて送るという方法もあります。
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Q.2退職届が受理されないまま退職してはいけないのでしょうか?
退職届の受理があいまいなまま退職するのは、推奨されません。
たとえば上司が「退職届を受け取っていない」と主張し、トラブルになる危険性が高いです。また、退職届が受理されないまま出社しないと無断欠勤扱いとされてしまうおそれもあります。そのため、確実に労働契約の解除の手続き・処理を会社側にしてもらうために、退職届は確実に届く内容証明で送ることをおすすめします。
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退職届は直接提出するのが一般的ですが、最近は退職届の内容と送った日付・受け取った日付が法的に証明できる内容証明で退職届を出す人が増えています。具体的には「1退職届を会社側が受け取ってくれない2何らかの理由で出社ができない3退職日が迫っており、迅速に手続きを進めたい」などのケースがあります。
退職届を内容証明で出す場合は、書き方や送り方をおさえておくことが欠かせません。また、送る前に就業規則や雇用契約書の確認や上司のスケジュール確認も必ず行っておきましょう。
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