ポートフォリオの序章を飾る自己紹介(プロフィール)の書き方
ポートフォリオのトップを飾る自己紹介(プロフィール)ページ。このページは「作成者がどのような人物なのか」をアピールする大切な場所であり、ポートフォリオの構成は、主にこの「自己紹介」と「作品」の2大要素で成り立っているといっても過言ではありません。
しかし、「作品掲載ページの見せ方こそ知っているが、自己紹介ページの書き方は具体的に考えたことがない」というクリエイターがたくさん存在します。そこで今回は、ポートフォリオの序章を飾る自己紹介ページの書き方について解説します。
目次
ポートフォリオにおける「自己紹介」の役割とは
ポートフォリオの冒頭を飾る自己紹介ページの役割とは、あなたのクリエイターとしてのスキルやセンス、人柄を担当者にわかりやすく、直感的に伝えることです。あとに続くポートフォリオの内容(作品)に興味を持ってもらうためのいわば「導入部分」となるので、見せ方を工夫し、ていねいに作り込みましょう。
たとえば、文字だけでなく、図形やアイコン、イラストなどを使って視覚的にわかりやすく表現するのもよいです。ポートフォリオにおける自己紹介ページは、履歴書や職務経歴書より自由度が高いので、色づかいやデザインによって、あなた自身を表現することができます。ポートフォリオの内容と同様、自己紹介ページも評価に繋げていきましょう。
ポートフォリオの自己紹介に入れたい4つの基本項目
表現の幅が広いポートフォリオの自己紹介ですが、いざ書こうとしたとき、どんなふうに何を書けばいいのでしょうか。一般的にポートフォリオの自己紹介に入れたい項目は以下の4つです。
ポートフォリオの自己紹介に入れたい4つの基本項目
- 氏名・顔写真・職種・生年月日・略歴などの基本情報
- 職務経歴概要
- スキルセット(使用できる言語やツール)
- 自己PR
参考例
1氏名・顔写真・職種・生年月日・社歴などの基本情報
内容としては履歴書とほぼ同じです。ただし、ポートフォリオの自己紹介ページは自由度が高く、どんな表現をするかによってクリエイターとしてのセンスやスキルが試されます。色合いやフォントのバランスも意識しながら、簡潔にわかりやすいレイアウトで情報をまとめましょう。必須ではありませんが、もし保有している資格や受賞歴があれば、まとめて記載してもいいです。
2職務経歴概要
内容としては職務経歴書とほぼ同じですが、そこまで詳しく書く必要はありません。これまでの社歴と合わせ、どんな業務に携わってきたか、端的にまとめます。
3スキルセット(使用できる言語やツール)
使用できるプログラム言語やデザインソフトなど、自身が保有するスキルをまとめます。
その際、ただ文字で書き連ねるだけではわかりにくいので、スキルレベルを可視化するとよいでしょう。たとえば星の数や、レーダーチャート(正多角形上で表現したグラフ)を使うとスキルレベルが伝わりやすくなるだけでなく、見栄えもよくなるのでおすすめです。
また、必須ではありませんが、もし保有している資格や受賞歴があれば、まとめて記載してもいいでしょう。
4自己PR
デザインに対する思いや自身の人柄が伝わるようなエピソードと絡め、あなたの強みをアピールしましょう。
企業はあなたに対してどんなポテンシャルがあるかも見極めています。ですから自己PRは、自分が志望する業種や職種、企業との親和性も踏まえたうえでの強みを200〜300文字程度で、簡潔にまとめたものも入れるようにしましょう。
自己紹介ページで押さえておきたい職種別ポイント
続いては、自己紹介ページを作成するうえで、注意すべきポイントを職種別にご紹介します。
マネジメント系(プロデューサー、ディレクターなど)の場合
- 俯瞰的な視点を持って取り組んだ実績を盛り込む
(リーダーシップが発揮できた案件、先導したプロジェクトに関するエピソードなど)
WebプロデューサーやWebディレクター、ゲームディレクター、ゲームプランナーなどの職種は、俯瞰的な視点をもって仕事に取り組めるマネジメント能力、予算管理能力、企画能力が求められます。したがって、リーダーシップをとって取り組んだ作品についての経歴紹介を含めて、自己紹介ページを形成するとよいでしょう。
内容としては自らが先頭に立ってプロジェクトを先導したエピソードやそれに準じた働きをしたことを、予算規模を明記しながら企業側にアピールしましょう。また、これらのマネジメント職系は、実際に手を動かす制作者とは違い、「技術力」を全面にアピールするのではなく、SEOなどのマーケティングの知見、ワイヤーフレーム作成などの情報設計力、コンテンツなどの企画力などの経験値を、自身のスキルとして、積極的に自己紹介のページ内に記載すると、さらに伝わりやすくなります。
クリエイティブ系(デザイナーなど)の場合
- 使用できるデザインソフトとそのスキルレベルを具体的かつ客観的に明記する
- デザインへの思いに触れる
Webデザイナーやイラストレーター、UI/UXデザイナーなどのクリエイティブ系の職種に応募する場合は、まず使用できるデザインソフトを明記すべきです。つまり、Photoshop、Illustrator、Dreamweaver、FireworksなどAdobe系ソフトの使用レベルが上級、中級、もしくは初心者なのかを伝えるということです。もし客観的にご自身のレベルが評価できない場合は、各デザインソフトウェアの「使用経験年数」を記載すると、相手側により理解してもらいやすいかもしれません。
また、「自分にしかできない」といえるような個性をアピールすることも大切です。デザイン力は、実際に、掲載する中身(作品・実績)などで伝わりますが、自己紹介ページでは、自分がどのような思考で、制作をしているかといったその思いをしっかりと伝えることが大切です。一貫したデザイン思考を持ち合わせている個性をアピールするのもよいですし、その時々の条件に柔軟に対応し、さまざまな角度からデザインできる個性をアピールするのもよいでしょう。
開発系(エンジニア、プログラマーなど)の場合
- 使用できるプログラム言語とそのスキルレベルを具体的かつ客観的に説明する
- Webポートフォリオそのもので、スキルを伝える
エンジニアやプログラマーなどの職種を目指す場合は、技術的な能力のアピールや実績についての具体的な説明が必要となります。使用言語や取得している資格などは、具体的に全て記載するようにしましょう。PHPやJavaScriptなどの言語がどれくらい理解できていて、どれくらいの実践まで使いこなせるか、客観的な表現でアピールすることが大切です。
また、エンジニア、プログラマーの場合だと、ポートフォリオサイト(Webポートフォリオ)を作成するケースが多いため、jQueryなどを使用してポートフォリオ自体にリッチな施しをするのも、他の応募者から一歩リードした表現になります。もちろん、作品の制作意図や、どのようにコーディングをしたのかといった詳細も記載すれば、さらに採用担当者に対して信頼度が増し、印象も残りやすくなるでしょう。
作品数の量に合わせて、構成内容を変えよう
ポートフォリオの自己紹介ページを作成する際に困るのが、掲載する作品数が極端に多かったり少なかったりする場合です。職種などによっては、どうしても実績数が少なくなってしまう場合もあると思います。その場合は、自己紹介ページで、あらかじめ丁寧に説明し、採用担当者にきちんと意図が伝わるようにしましょう。
作品数が多い場合にはその理由を記載
そもそもポートフォリオに掲載する作品が多すぎるのは、採用担当者の負担を与えてしまうのであまり好ましくはありません。ただし中には、「作品がシリーズ化しているため、すべて掲載しないとストーリーのよさが伝わらない」など、どうしても作品の一部だけを削ることはできない事情があるかもしれません。その場合は、作品数が多い理由や背景を、自己紹介の挨拶部分や自己PR部分でそっと説明すると、見る側への配慮が伝わり、印象がよくなるでしょう。
作品数が少ない場合には深く掘り下げて記載
何年もかかるような1つの大規模プロジェクトに時間を費やしていた場合などは、実績として掲載できる作品数が少なくて困ってしまうケースが多くあります。その場合は、その制作にかけた時間や具体的なコンセプトなどを深堀し、細かく伝えれば問題ありません。ただ、未経験だから作品がないという場合は、そもそもポートフォリオを無理に作成せずに、これまでの経験から強みを見出し、そこを素直にアピールする方に注力した方がよいと思われます。
ポートフォリオに最適なページ数・作品数についての考え方は、「ポートフォリオに最適なページ数・作品数は?」でもご紹介しています。またマイナビクリエイターでも、ポートフォリオの作成に関するご相談は随時承っていますので、お気軽にご相談ください。
ポートフォリオの自己紹介ページを魅力的にする3つのポイント
自己紹介自体は履歴書でも行います。ただポートフォリオの自己紹介ページは、より具体的にクリエイターとしての「人となり」や「魅力」がわかるような構成にすることが大切です。そこで、よりよい印象をもってもらうためのポイントを3つにまとめました。
趣味や特技であなたの「人柄」をアピール
面接ではポートフォリオをもとに話が進められますが、単なる成果物だけではなく、趣味や特技なども記載することも実は大きなポイントです。これはクリエイティブ業界のみならず社会全体で言えることですが、趣味や特技の話題は、自身の「人柄」や「バックグラウンド」を表し、採用担当者とのコミュニケーションを深めるきっかけとなります。また、その職場環境の社員と、あなたが溶け込める人材であるかどうかの見極めにもなりますので、決して軽視せずに記載してみましょう。
プロジェクトで果たした役割や成果は具体的に
他のディレクターやデザイナーと共同で制作物を作る場合も多くあると思います。特に大きなプロジェクトを遂行した場合はその傾向が顕著です。ポートフォリオの自己紹介では、ただ実績や受賞歴だけを書くのではなく、具体的に自分がどのような役割を果たし、どういった業務をどんなメンバーと遂行したのかを述べることが大切です。プロジェクトリーダーとして予算を管理していた場合は、できる限り、その数字を具体的に記載するとなおよいでしょう。
クリエイターとして自身が得意とする「分野」や「強み」を明確に
クリエイターもタイプを分けると多種多様です。たとえば、ひと口にデザイナーといっても「イラスト作成」「油絵などの絵画制作」「グラフィックデザイン」と、それぞれの強みを持ったデザイナーが存在します。Webディレクターの場合でも「Webマーケティング系」「ソーシャル・マーケティング系」「UI/UX系」「システム開発系」「営業・企画・提案系」など、タイプはさまざまです。その中で自分はどの分野に強いのか、それを明確化することにより、企業と求職者間で入社後の業務内容でのミスマッチを避けることができるでしょう。
やってはいけない、自己紹介における3つのNG例
一方で、ポートフォリオの自己紹介の書き方が悪いと採用担当者からの印象が悪くなり、最悪の状況だと面接にも進まず、書類選考の段階で落とされてしまう可能性もあります。以下にポートフォリオの自己紹介作成の際に注意すべきポイントを3つあげました。代表的なものですが、確認しておきましょう。
一貫したコンセプトなどが伝わらない
転職におけるポートフォリオは、単なる作品集ではありません。上記でも書きましたが、今まで自分がどのような思いで制作を実施してきたかという点や、どのようなコンセプトでポートフォリオを作成したのかといった点を伝えることが大切です。制作物の実績だけを載せていても、なかなか採用担当者には伝わりにくいもの。きちんと最初の段階で人となりがわかるように、自己紹介ページでは、自己PR項目を活用し、どのような思いで日々制作に励んでいるかを伝えるように意識して書いていきましょう。
誤字脱字など情報に基本的なミスがある
自己紹介とはクリエイターとしての名刺的な存在になり、ご自身の顔となるもの。経歴や趣味、実務経験や受賞歴などを伝える最初の大切な段階です。その自己紹介ページに誤字脱字があったり、記載している情報に略語を使っていたりしたら、どのような印象を抱かれるでしょうか。「注意力が足りないのではないか」あるいは「仕事が雑なのではないか」と思われてしまい、採用担当者からの印象が悪くなってしまってもおかしくありません。これは入念な確認作業を行えば未然に防げるミスです。ご自身はもちろん、先輩や知人、転職エージェントなど第三者にもチェックを入れてもらい、正確な自己紹介情報を記載するように心がけましょう。
そもそも自己紹介ページの見栄えが悪い
自己紹介ページの見栄えが悪ければ、読み手側に当然興味を持ってもらえません。たとえば、写真を添付する場合は画質が低解像度になっていないかどうか、使用している書体の種類や見出しサイズの統一性、その配色などは、最初の作成段階でしっかりと要件を固めておくとことが大切です。自己紹介は採用担当者がポートフォリオ内の冒頭部分に目にする、いわば看板となるページです。クリエイターとして意識すべき最低限のデザイン基本ルールを押さえて作成していくように意識していきましょう。
まとめ
ポートフォリオは制作した作品を見せるだけではなく、クリエイターがどのような意図やコンセプトをもって制作してきたかといった人間性も伝える必要があります。そのためにも序章を飾る自己紹介では、十分な情報量を記載して、企業の採用担当者にアピールすることが大切です。今回紹介した例を参考に、あなた自身の魅力が伝わるようなポートフォリオの自己紹介(プロフィール)ページを作成していきましょう。