Webデザイナーの転職でも紙のポートフォリオは必須のアイテム

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Webデザイナー ポートフォリオ 紙転職を考えるWebデザイナーが、必ず企業に提出する資料、ポートフォリオ。

一般のポートフォリオの種類には、大きく分けて、紙ベースで作成する「紙ポートフォリオ」と、ブラウザ(画面)上で作成する「Webポートフォリオ」がありますが、Webデザイナーやゲームデザイナーなどのデジタル領域を扱うクリエイターは、紙ポートフォリオよりも、Webポートフォリオの方が、自分の実績やスキルを最大にアピールできると考えるかと思います。

しかし、「転職」という状況においては、少しその考え方が異なり、Webだけでなく、紙ポートフォリオも、しっかり作成した方が望ましいとされています。「WebデザイナーならWebで表現するのが当たり前でしょ!」と、考えがちなポートフォリオですが、Webデザイナーにとっての紙ポートフォリオの必要性は、一体どこにあるのでしょうか。

このページでは、Webデザイナーでも紙ポートフォリオが必要な理由とその基本的な作成ノウハウをご紹介できればと思います。

紙ポートフォリオとWebポートフォリオは用途が違うだけで重要度は同じ

WebデザイナーやUIデザイナー、3DCGデザイナーといったデザイナーは、転職の際、応募企業からブラウザ上やパソコン、タブレットの画面上で、作品を評価されるのが当然であり、わざわざ紙に印刷して、採用担当者にアピールすることに、もどかしさを感じるかもしれません。

必須アイテム

確かに紙は、画面上の表現と異なり、色領域に制限を感じることもあります。発色のいい雰囲気やトーン、眩しい色合いなど、紙媒体の印刷ではなかなか表現が難しいのもその一つ。もちろん、印刷に関連するデザイン経験を持っていれば、こうした色補正のノウハウもあるかもしれませんが、普段の業務で、紙をベースに作業したことがないWebデザイナーにとっては、紙はかなり不自由な媒体と感じてしまうかもしれません。

また、何よりも紙は、Web・ゲームならではの「動き」を表現することができません。3Dモデルのアングルを変えながら眺めることもできません。Webページのソースコードを表示させることもできません。

このようなことを考えると、やはりポートフォリオは、Webを中心に作成した方がいいのではないか、と考えてしまってもおかしくないでしょう。Webデザイナーである自分の作品を、より最適な環境でアピールしたいと考えるのは当たり前のことですから。

しかしそれでも、「Web・ゲーム系のデザイナーに、紙ポートフォリオは必要ない」という判断は少し早すぎます。また、「補完的な二次資料として、紙ポートフォリオを作っておこう」という声もありますが、これも違うでしょう。

クリエイターの転職エージェントである私たちは、「紙ポートフォリオ」の存在を非常に重要視しています。例えWeb・ゲーム系のデザイナーであっても、紙ポートフォリオは、決して補完的な二次資料ではなく、丁寧に作り、準備しておくべきです。理由は明確です。紙ポートフォリオは、Webポートフォリオと「用途が異なるだけ」で、転職活動におけるその「重要度は全く同じレベル」のものだからです。

では、Webデザイナーの転職において、紙ポートフォリオは、なぜ必要なのでしょうか。次は、その必要性を「面接時に発揮できる強み」という視点でお話できればと思います。

Webデザイナーの転職に紙ポートフォリオが必要な理由

転職活動でポートフォリオが必要となる場面、それはやはり面接です。面接担当者は、事前にあなたが提出した履歴書や職務経歴書、ポートフォリオなどの資料を軸に、様々な質問をしてきます。その際、紙ポートフォリオは、Webにはない利便性を発揮します。紙とWebの性格を考えながら、その強みとは何かを確認しておきたいと思います。

紙ポートフォリオがもたらす2つの強み

面接会場の「環境」に依存しない迅速性

当たり前のことですが、紙に印刷された情報は、それを読むためにインターフェースを必要としません。面接会場にネット環境がなくても(もしくは不安定でも)、手に取り、ページをめくることで、「確実に」必要な情報に触れることができます。

一例ですが、よくある光景として、面接担当者がいくつかの作品を比較したい時、Webページは同時に複数のページを比較することができません。マルチモニター環境下で複数のブラウザを同時に開けば別ですが、面接会場にそのような設備があることはほとんどないでしょう。

一方、紙ポートフォリオであれば、会場の環境を確かめる必要もなく、「それであれば、この作品を見ていただくとよくわかります」と、当該の作品ページを、「素早く」比較して見せることが可能です。

面接担当者の「デジタルリテラシー」に依存しない機動性

転職希望者は、応募する企業の面接担当者がどんな人か、事前に見当もつきません。応募企業が制作会社であれば、実際にWebデザイナー(もしくはWebデザイナー出身)が、採用を担当する可能性も高く、もしかしたらデジタル領域に詳しいかもしれません。しかし、デザイナーを抱えてない事業会社などの担当者は、そのリテラシーが高くない可能性もあります。

また、一次面接は、人事部が面接担当者であったり、最終面接では役員や社長であったりもします。これらが皆、Webデザイナーであるあなたと同じようにデジタルのリテラシーが高いと言えるでしょうか。ほとんどの場合、あなたの方がリテラシーは高く、そのレベルに合わせられない担当者は、Webの扱いにとまどうことでしょう。

その点、紙ポートフォリオは有利です。例えば、面接担当者が「この作品、ちょっと上司に見せたいのでお借りしてもよいですか?」と、要望してきた場合でも、紙ポートフォリオであれば、「そのまま即座に」手渡すことが可能です。このように「どんな相手でも資料を物理的に手渡しできる」という点も紙ベースの大きな強みと言えるでしょう。

面接は、基本的に人間と人間がコミュニケーションをする場です。ポートフォリオはそのコミュニケーションを円滑に進めるためのツールであり、相手の環境やリテラシーにレベルに合わせるような親切心が大切です。

よく会議などで見られるような、「なかなかPCが起動しない...」「あれ、プロジェクターが上手く写らない」「後ほど、メールにて送ります」のような時間のロスやツールの操作などに、面接担当者の注意力が削がれることは、非常にもったいないことです。

これらのように、紙ポートフォリオは、何よりも「会話のリズムを途切らせる心配がなく集中できる」という強みがあります。当たり前のように聞こえるかもしれませんが、緊張感の漂う面接現場では、これは非常に重要なことであり、これを「徹底」するだけでも、他の応募者よりもスムーズに面接を進めることができるでしょう。

Webポートフォリオの作成に注力するWebデザイナーは、どうしても紙ポートフォリオの作成が後回しになってしまうこともあると思います。しかし、いざ転職を考える際は、しっかりと紙ポートフォリオの「必要性を認識」し、作成に着手することをおすすめします。

採用担当者が知りたいのはポートフォリオの素晴らしさではなく「あなたの人材価値」

ポートフォリオはあなたを知ってもらうための手段

それでもやはり、「最大限に自分の力を伝えるには、Webポートフォリオがいい!」というWebデザイナーもいるかもしれません。確かに、作品によっては、Web一本で勝負した方が、伝えたいイメージのズレも生まれにくいという考えもあるかもしれません。

しかし、「ポートフォリオはそもそも何のためにあるのか?」「面接でポートフォリオを提出することによって何を評価されたいのか?」そこを考えてみましょう。

面接担当者

転職におけるポートフォリオの最終的な目的は、あなたの作った作品がどれだけすばらしいものかを伝えることではありません。ポートフォリオを通して、あなたの「人材価値」を評価されることです。

もちろん、Webデザイナーとしてあなたが完成させた作品、築いた実績は自己PRの一つです。がしかし、それ以上に採用担当者の最終的な興味は、「当社の一員となったとき、どれだけ会社に貢献してくれるだろうか?」という一点に、絞られていることを忘れてはなりません。

つまりポートフォリオは、紙であろうとWebであろうと、転職においては、あくまで「手段」であり、企業が評価しやすい「手段」を選ぶべきだということ。デザイナーは本能的に、「作品の優れた部分を理解してほしい」と考えてしまいがちですが、転職におけるポートフォリオは単なる作品集ではありません。あくまでも主役は作品ではなく「人材としてのあなた」です。この点を理解し、作品を通じてあなたのプロとしてのスキルとキャリア、つまり人材としての価値を評価してもらえるよう心がけましょう。

学生や未経験者でも同じ意識で!

プロとしての実務経験がない学生の就職や、他の職種から未経験のデザイナー職種への転職を希望する人の場合は、キャリアというものがありませんから、自分のスキルを中心にアピールすることになります。しかしそれでも、扱えるソフトの種類や習得している技術、そして制作スピードなどを通し、「プロとして、どれだけ企業に貢献できるか?」が、採用担当者に伝わるようなポートフォリオの作成が望ましいでしょう。

紙ポートフォリオ作成のためのコツと押さえるべき基本

インパクトを大切にしよう - 紙ポートフォリオ作成のコツ

紙ポートフォリオを採用担当者に見てもらえるのは、面接の際のごく限られた時間であることを強く認識しましょう。忙しい採用担当者は、あなたに質問しながら、紙ポートフォリオをパラパラとめくります。何十冊、あるいは何百冊といった多くの応募者の紙ポートフォリオを眺めている採用担当者の手を止めさせ、あなたに興味を持ってもらうためには、それなりのインパクトが必要です。

自由にリンクをたどれるWebと違って、紙ポートフォリオは「表紙からページを順にめくる」ということを前提に作られています。したがって、できるだけビジュアルインパクトの強い作品を紙ポートフォリオの冒頭に載せましょう。作品に対する自信とは別に、「最初に強いインパクトを与え、後に続く全体をじっくり見てもらえるようにする」という構成は、紙ポートフォリオならではの作成のコツとも言えるでしょう。

レイアウトのルールを統一しよう - 紙ポートフォリオ作成の基本

そして紙ポートフォリオの一番基本的な部分、レイアウトです。各作品に添付するデータ(クライアント名、制作時間、制作環境など)の配置のルールは、必ず統一しましょう。デザイナーの皆さまにとっては、基本的なことかもしれませんが、その方が採用担当者にとってわかりやすく、短時間で必要な情報を得たり、他の作品と比較したりするのに適していることは間違いありません。再度確認し、調整していきましょう。

実際に、ポートフォリオに掲載する基本的な内容については、「クリエイターの転職必須ツール、ポートフォリオの作り方とは?」ページでも紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。ここでは、紙ポートフォリオを作成する上でのレイアウトの基本、その悪い例と良い例をご紹介したいと思います。

悪い例 - 伝わりにくいレイアウト(ページルールが定まっていない)

良いレイアウト

良い例 - 伝わりやすいレイアウト(ページルールが定まっている)

悪いレイアウト

間違いなく、統一されたレイアウトの方が見やすく、内容が伝わりやすいと思います。また、先述した通り、複数の作品ページを比較したい時、この方が格段にわかりやすいでしょう。

紙ポートフォリオを中心に面接を進める際の注意点

面接時において「紙ポートフォリオを担当者に渡し見てもらいつつ、Webでしか表現できないような内容については、その都度タブレットやノートPCを開いて画面上で補足説明する」、 このような面接の流れを想定した時の注意点をあげておきます。

この際、最低限気をつけたいのは、以下の4点です。細かいなことではありますが、再確認しておきましょう。

  • 紙ポートフォリオの作品順序とWebのリンク構成を一致させ、迷わずに作品が見られるようにしておく
  • ネット環境がない場合でも閲覧できるよう、Webポートフォリオ全体をローカルにダウンロードしておく
  • パソコンの起動時間などのタイムロスを防ぐため、ポートフォリオを開いた状態でスリープさせておく
  • バッテリー切れには十分注意し、事前に充電しておく

また、操作は最低限にとどめ、採用担当者とのコミュニケーションを中心に面接を進めるように心がけましょう。あくまでも、ここはどうしても画面上で見せたいというところだけ、「ピンポイント」でWebポートフォリオを見せるといった意識も、紙ポートフォリオを中心に行う面接には大切です。

まとめ - 紙媒体ならではのこだわりも忘れずに

紙ポートフォリオの必要性に関しては、以上の説明でおよそ理解していただけたかと思います。

最後になりますが、デザイナーであれば、何よりも「紙媒体には物質的実態がある」という点を有効に活用したいものです。例えば、市販のクリアファイルに作品を束ねるだけではなく、出力する用紙にも凝ったり、表紙の装丁を自分でデザインしてみたりして「作品へのこだわり」をアピールしてみるのもよいでしょう。ちょっと大きな文具店に行けば、簡易製本のためのグッズもいろいろ手に入ります。

もちろん重要なのはポートフォリオの中身ですが、数多いライバルから抜きん出て採用を勝ち取るためには、採用担当者の印象を強めるためのあらゆる工夫があってもよいでしょう。繰り返しになりますが、企業は、あくまであなたの「人材価値」を最終的に見てきます。

Webデザイナーやゲームデザイナーであっても、「紙だからこそできる表現」を貪欲に追求する謙虚な姿勢は、あなたを意欲的な人材に見せることに大きくきっと役立つはずです。

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Webデザイナーでも紙のポートフォリオが必要な理由とその作成ノウハウ

なぜ、Webデザイナーでも紙のポートフォリオが必要なのかをしっかりと押さえ、実際に紙で制作する時の基本やコツを学んでいきましょう。転職におけるWebデザイナーのポートフォリオは、単なる作品集であってはいけません。企業に自分の「人材価値」を最大限に評価してもらえるようなものに仕上げるべきです。普段の業務で、紙を扱わないWebデザイナーにとっては、少し大変なことかもしれませんが、紙ポートフォリオを妥協せずしっかり仕上げたこと自体も、採用担当者に良い印象を与えるでしょう。

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