アニメーターになるための「ポートフォリオ」作成ノウハウ

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アニメーターは、アニメーションの中でキャラクターや背景の動きの元となる原画を描く「作画」を担当する職業です。画力が問われる仕事なので、就職活動や転職活動でアニメーターの求人に応募する際はほとんどの場合、「ポートフォリオ」の提出を求められます。

アニメーター志望者がポートフォリオを作るときには、どのような点に意識すべきなのでしょうか。この記事では、アニメーターを目指す方に向けて、ポートフォリオの重要性や作成のポイントを解説していきます。

ポートフォリオとは

ポートフォリオとはもともと「紙ばさみ」や「書類を入れる折りカバン」という意味ですが、そこから転じて「作品集」「目録」「一覧表」などの意味でも用いられる言葉です。クリエイターの就職や転職という文脈で使われる場合、ポートフォリオとは、応募する仕事に関する自分の実績や実力を示すために提出する「作品集」のことを指します。

紙かWebか、どのような形式で作るのがいい?

作品集といってもしっかり製本されたものではなく、A4サイズやA3サイズのクリアファイルに、自分のプロフィールや過去に作った参考作品を入れて見やすくまとめるのが一般的です。ポートフォリオは1度作ったら終わりではなく、新しい作品ができれば追加し、見せる相手によって作品を並べ替えるなど、常にアップデートしていきます。そのため、入れ替え可能な形式が望ましいといえます。

近年はオンラインで選考を行う企業が増え、オンラインポートフォリオ(Webポートフォリオ)を作る人も増えてきました。質の高いポートフォリオを簡単に作成できる、無料のポートフォリオ作成ツールもさまざまなものがあります。紙は一覧性の高さ、Webは郵送や持参の手間がかからない手軽さなどのメリットがあります。それぞれのよさを生かしながら、両方用意しておくとよいでしょう。

アニメーターの就職・転職でポートフォリオが重要な理由

アニメーターを募集している企業やスタジオは、応募者の実力を評価するためにポートフォリオを重視しています。どれだけ経歴や人柄が優れていても、プロのアニメーターとして必要な作画力が不足していたり、企業が求めている人材像と応募者の目指す方向がずれていたりしたら話になりません。そのため採用担当者は、まずはポートフォリオから「この人は募集しているポジションに必要なスキルがあるか」「どんなクリエイターを目指そうとしているのか」という点を読み取り、求める人材像に合致する応募者のみに面接を行うケースが多いのです。

求人に応募するクリエイター側にとっても、ポートフォリオは自分の実力を相手にプレゼンテーションする大切なツールです。ポートフォリオを活用することで、単に作品を見せるだけでなく、より多くの情報を伝えることもできるためです。アニメーターを目指す人にとってポートフォリオが重要な理由を3つご紹介します。

理由1実際の作品で画力を証明できるから

1つ目の理由は、ポートフォリオにさまざまな作品を載せ、あなたが実際にどのような絵をどの程度のクオリティで描けるのかを証明できることです。

履歴書や職務経歴書でも、これまでに学んできたことや携わった作品については伝えられますが、「実際にどのようなカットを描いたのか」「仕事で携わった作品以外にどのような絵が描けるのか」「今後どんな絵を描いていきたいか」といった詳細までは伝わりません。

ポートフォリオがあれば、これまでに仕事や学校の課題などで描いたもの以外にも、オリジナルのイラスト、好きな作品の模写、デッサンやスケッチなどさまざまな作品を通じて、描画スキルはもちろんのこと、あなたの個性や目指している方向性、今後の可能性まで伝えることができます。入りたい職場に採用されるためにも、採用後の活躍や成長のためにも、ポートフォリオは重要な役割を果たすのです。

理由2制作時に意識したことなどを言語化して伝えられる

ポートフォリオでは、作品をビジュアルで見せるだけなく、言葉による説明などを加えることもできます。

作品にわかりやすいラベルをつけて整理したり、アピールしたいことをキャッチコピー化して作品に添えたり、表現のロジックやこだわりなどについて解説を入れたりすることで、作品の背景にある意図や、制作に対するあなたの考えを効果的に伝えることができます。

ビジュアルと言語の両方を使ったプレゼンテーションにより、チームで仕事をするために必要なコミュニケーション力を証明することもできます。

理由3描画ツールなどの使用スキルを証明できる

ポートフォリオに入れる作品がデジタルツールを使って描いたものであれば、描画や加工に用いたアプリなどについても記載することで、それらの使用スキルを証明することができます。

募集要項に必要スキルとして特定のアプリの使用経験が記載されている場合や、実際の制作環境で使用されているツールがわかっている場合は、スキルがあることを示すためにも必ず使用ツール名を入れるとよいでしょう。

アニメーターがポートフォリオに入れる作品を選ぶ際のポイント

ポートフォリオの重要性が理解できたら、次は、ポートフォリオに入れる作品を選びましょう。ここでは、作品選定時のポイントを4つご紹介します。もし「このポイントを満たすためには手持ちの作品が足りない」と感じたら、応募する企業に合わせてポートフォリオに入れる新たな作品を作るのもよいでしょう。

Point1

さまざまなタイプの作品を入れる

作品選びで最も大切なのは、作品のバリエーションを意識することです。採用する側としてはできるだけ幅広い仕事に対応できる人を採用したいと考えるためです。

人物の絵なら、キャラクターの性別、年齢、服装や小物、ポーズや動き、アングルなどを変えて、できるだけ多様な絵を入れるようにします。そのほかに、乗り物などのメカや、建物、家具、空間、風景、動植物なども含めます。色合いや世界観なども複数のタイプのものを提示し、偏りがないようにできるとよいでしょう。

細かく描きこんだ完成度の高い作品ばかりが必要なわけではありません。アイデアスケッチや落書き的なもの、顔や手足などパーツのみの絵を集める方法もあります。できるだけ作品にバリエーションを持たせることで守備範囲の広さをアピールしましょう。

Point2

線画が見やすい作品を選ぶ

アニメーターを採用する際に、企業が重視するのは基礎的な描画スキルです。描画スキルはデッサンなど、生の線画で判断される傾向があります。

ポートフォリオの作品がGCで加工された絵や、アニメ的に色で塗りつぶされた絵ばかりだと、採用担当者が応募者の描画力を評価しづらくなってしまいます。デッサンやスケッチ、クロッキーなど、モノクロで線の強弱が伝わる線画を多めに入れ、彩色する作品も水彩調の淡彩や色鉛筆など、生の線のタッチがわかるものを中心にしましょう。

Point3

相手が負担なく見られる作品数にする

作品のバリエーションを重視するといっても、あまり多くの作品を詰め込みすぎると、見るのに時間がかかって相手に負担をかけてしまいます。ポートフォリオのページ数はプロフィールなども含めて15~30ページ程度が目安です。作品が少なすぎるのは意欲が感じられないため論外ですが、どんなに多くても50ページを超えない範囲で収めるようにしましょう。

必ずしも1ページに1作品である必要はありません。同じキャラクターのポーズ違いや衣装違いといったバリエーションや、アイデアスケッチなどのラフな作品は、1ページにいくつもの絵を入れてもよいでしょう。ただし詰め込みすぎには注意。大きく見せる作品、縮小して複数を見せる作品のメリハリをつけ、負担感なく見られる構成を心がけましょう。

採用する側は、目次や構成など、ポートフォリオ自体の見やすさや完成度も評価の対象としています。自分本位ではなく、見る相手のことを考えて作品を選び、構成を考えてみてください。

Point4

しっかりと企業研究をして作品を選ぶ

複数企業に応募する場合、1つのポートフォリオを使いまわすのではなく、応募する企業に合わせて作るようにしましょう。自分が見せたい作品ばかりを入れるのではなく、その企業の作風を理解したうえで、応募する企業の作風に近い作品や、募集要項で求められているスキルをアピールできる作品を選びます。

著作権への配慮は必要ですが、応募する企業が手がけている作品の模写や二次創作を入れるのもおすすめです。相手がどのような作風を好むのか、どのようなスキルをもった人物を求めているのか、採用されたらどのような仕事をするのかを意識してポートフォリオを構成するようにしましょう。

アニメーター志望者がポートフォリオを作成する際の注意点

作品を選んだら、実際にポートフォリオを作ってみましょう。ポートフォリオの構成を考える際には、「自分がポートフォリオを通じて伝えたいこと」と「相手がポートフォリオから知りたいこと」のバランスをとることが大切です。以下に解説する3つの点に注意して作成してみてください。

注目してほしい作品はポートフォリオ前半に

ポートフォリオは第一印象が大切です。とくにアピールしたい、完成度の高い作品は最初のほうに入れましょう。作品数が多い場合、最初はじっくり見てもらえても、最後は流し見になってしまう可能性も高いためです。

アピールする作品は、自分が得意とするスキルを使って描いた絵や、得意なモチーフを描いた作品、物語の世界観が表現された絵コンテ風の絵、人物と背景が描かれた密度の高い絵、着彩した絵など、できるだけ見栄えのするものがよいでしょう。注目してほしい作品は1ページに1枚のみ、たとえ小さい絵であっても余白をたっぷりとって掲載することで、目を引くことができます。

ただし、自分の見せたい絵を前半に固めることで、相手に与える印象が偏ったものにならないよう、バランスに注意しましょう。

自分の個性を出す

応募する企業の好みに合わせて作品を選ぶことも大事ですが、あまり相手に合わせすぎるとあなたの強みが伝わらない恐れもあります。自分はどんなものが好きで、どんな絵を描きたいのか、さまざまな作品を入れることでクリエイターとしての個性をアピールしましょう。

応募する企業の作品の模写や二次創作を入れる場合も、完璧にコピーすることが重要なわけではありません。表情やポージングなど、自分なりに工夫したことや意識したことをしっかりと表現しましょう。

ポートフォリオに客観的視点を取り入れる

ポートフォリオを作成したら、できるだけいろいろな人に見せて意見をもらいましょう。自分では「いいものができた!」と思っても、ほかの人の目を通すと問題点が見つかる場合もあります。自分で「絵が下手だから恥ずかしい」「構成がこれでいいのか自信がない」と思っている場合はなおさらです。周囲の意見を取り入れながらどんどんポートフォリオをブラッシュアップしていきましょう。

そうは言っても身近な人に見せるのは恥ずかしい、自分の家族など、アニメをよく知らない人のアドバイスを真に受けてよいのかわからない、という人は、クリエイティブ業界に詳しいキャリアアドバイザーに相談するのも1つの選択肢になります。マイナビクリエイターなら、これまでクリエイターの転職を数多くサポートしてきたキャリアアドバイザーが、あなたのポートフォリオを見てアドバイスをすることもできます。ぜひご相談ください。

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これを使えば、採用担当者のニーズを満たす情報を備え、デザイン面でも優れたポートフォリオを、Webと紙の両方で簡単に作ることができます。ポートフォリオで大切なのは何よりも内容です。企業研究や作品選定、構成にしっかりと時間をかけ、ポートフォリオサービスで手早くアウトプットすることで、コスパ高くポートフォリオを作成しましょう。

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アニメーターになるために、ポートフォリオに磨きをかけよう

アニメーターとしての就職・転職を目指す人にとって、ポートフォリオは非常に重要です。採用担当者はポートフォリオを通じてあなたの作画スキルや対応できる仕事の幅、個性や将来性、プレゼンテーション能力などを見極めようとしています。応募する企業に合わせてバリエーションに富んだ作品を効果的に提示できるよう、作品作りや作品選定、ポートフォリオの構成には十分力を注ぎましょう。

マイナビクリエイターは、ポートフォリオ作成に関する記事を多数提供しています。ほかの記事もぜひ参考にしてください。

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