【ポートフォリオ】イラストレーターの転職に役立つ重要ポイントを解説!

ポートフォリオは、イラストレーターが仕事を得るとき、あるいは就職・転職活動で、自身のスキルや実績を相手に伝える必要がある場合において、重要なツールです。
この記事では、プロのイラストレーターが転職活動をする際に押さえておきたい、ポートフォリオ作成の重要ポイントを詳しく解説していきます。
目次
ポートフォリオとは
イラストレーターなどのクリエイターにとって「ポートフォリオ」とは、これまでに手がけた作品をまとめた「作品集」のことを意味します。イラストレーターが就職活動や転職活動を行う際には、応募先の企業に対して、自分の実力や実績がどの程度をあるかを示すためにポートフォリオを提示します。
ポートフォリオという言葉にはもともと「紙ばさみ」や「書類を入れる折りカバン」という意味があり、そこから転じて「作品集」「目録」「一覧表」などの意味でも用いられています。
ポートフォリオの意味について、詳しくはこちらの記事も参考にしてください。
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イラストレーターのポートフォリオで企業が見ているポイント
企業がイラストレーターを採用する際、応募者のスキルや経験を判断するために最も重要な材料となるのがポートフォリオです。では、企業の採用担当者は、ポートフォリオのどのような点に注目して応募者を評価しているのでしょうか。
ここでは、採用担当者がイラストレーターのポートフォリオを見る際に注目しているポイントについて解説します。
幅広いテイストの作品が掲載されているか
採用担当者が最も見ているのは「イラストが自社のテイストに合っているか」「幅広いテイストに対応できるか」という点です。
この点を理解していないと企業とのミスマッチが起こり、たとえポートフォリオに掲載されているイラストの質が高くても、「採用の判断基準がない」とみなされて不採用になってしまう恐れがあります。たとえば以下のような場合です。
- 企業はモンスターのイラストを必要としているのに、ポートフォリオには男性キャラクターのイラストばかりが掲載されている
- 企業はポップで明るいイラストを必要としているのに、ポートフォリオには写実的でシリアスなイラストばかりが掲載されている
ポートフォリオに掲載する作品を選ぶ際は、応募先の企業に合ったテイストのものを中心に、幅広いモチーフ、幅広いテイストのイラスト掲載するようにしましょう。
どんなジャンルのイラストが描けるのか
イラストのモチーフやテイストと合わせて、さまざまなジャンルのイラストが描けるかどうかという点にも、企業の担当者は注目しています。
たとえあなたの得意分野がその企業が得意とするジャンルのど真ん中でなかったとしても、さまざまなジャンルのイラストが描けることがわかれば、採用される可能性は高まります。
もしあなたが女性のキャラクターイラストを得意としている場合でも、ポートフォリオには老若男女のキャラクター、メカや小物、背景や建物、ドット絵など、幅広いジャンルのものを載せるとよいでしょう。
もし仕事で手がけたジャンルに偏りがある場合は、自主制作の作品を入れてバリエーションを増やすのもおすすめです。
デッサン力はあるか
基礎的なデッサン力がどれだけあるかによって、イラストレーターが対応できる仕事の幅は変わってきます。そのため、デッサン力があるかどうかも、イラストレーターを採用する際に企業が見ている重要なポイントです。
デッサン力をアピールするためには、モチーフがデフォルメされた平面的なイラストばかりでなく、スケッチやデッサンなどを含む、写実的な作品もポートフォリオに入れるようにしましょう。
もしデッサン力に自信がない場合は、早めに体系的なトレーニングを受けるなど、スキルを高める努力をすることをおすすめします。
制作の過程・担当領域がまとめられているか
ポートフォリオに掲載されている作品が「どのようにして作られたか」という点にも、採用担当者は着目しています。
仕事としてイラストを描く際には通常、複数の人がかかわり、一連のプロセスを経て完成します。どのような過程をたどって制作されたのか、その中であなた自身はどの部分を担当したのか、という情報を企業側は必要としています。
ポートフォリオに掲載する作品のいくつかは、ラフスケッチから彩色、アートディレクターの指示を受けての修正など、完成までの工程と、その中で自分が果たした役割(人物を描いたのか、背景を描いたのかなど)を紹介するとよいでしょう。
アートディレクションができるか
イラストの制作に関して、仕事の流れをどれだけ理解しているか、どれだけ幅の広い業務の知識や経験があるかも、企業側が見ているポイントです。
とくに、自分がイラストを描くだけでなく、ほかの人にイラストを依頼するためのコンセプト作成やアートディレクションもできる人材は重宝されます。
もしあなたにアートディレクションの経験があるなら、自分自身が描いた作品でなくても、イラストへの赤入れや修正などのプロセスがわかる資料をポートフォリオに掲載するとよいでしょう。
イラストレーターがポートフォリオを作成する際に注意したい4つのこと
イラストレーターのポートフォリオを見る際に、採用担当者が何を見ているのか理解できたら、それを踏まえて実際にポートフォリオを作ってみましょう。
ポートフォリオを作るときに大切なのは、応募する企業の採用担当者の気持ちや立場を想像してみることです。採用担当者はどんな状況でポートフォリオを確認するのか、あなたについてどんなことを知りたいのか、よく考え、以下の4つの点に注意して作りましょう。
1掲載作品はただ多ければいいのではない
採用担当者は、採用の判断材料としてできるだけさまざまなジャンルやテイストの作品を見たいと思っています。その一方で、大勢の応募者のポートフォリオをチェックしなければならないので、あまり隅々まで目を通す余裕はありません。
だからこそ、ポートフォリオに掲載する作品は、むやみに数を増やせばいいというわけではないのです。多様な作品を載せるだけでなく、1点1点の品質もしっかり確保する必要があります。種類を増やすためだけに中途半端な出来のものを追加してしまうと、品質のばらつきが目立って逆効果になってしまう場合もあるので気をつけましょう。
応募企業に対してどの作品を選ぶべきか迷ったとき、転職エージェントを利用していれば担当のキャリアアドバイザーに相談することもできます。ポートフォリオ作りに自信のない方は、転職エージェントの活用も検討してみてください。
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2最新の作品を掲載しておく
採用担当者が知りたいのは、現在のあなたがどれだけの実力を持っているかということです。たとえ昔作った作品のほうが応募企業のテイストに合っていたとしても、最新の作品もあわせて掲載しましょう。
ポートフォリオは1度作ったら終わりではなく、常にアップデートし続けることが大切です。忙しさにかまけてポートフォリオの更新を怠ってしまうと、企業の採用担当者から「最近は何も仕事をしていないのか」「最近の作品を載せないなんて、入社意欲が低いのか」と思われてしまう場合があります。
最新の作品を掲載せずにチャンスを逃すのは、非常にもったいないことです。ポートフォリオを提出する前に、必ずアップデートしましょう。
3コンセプトについての説明をする
採用担当者は、あなたの技術だけでなく、与えられた条件からイラストを構想する企画力も知りたいと考えています。ポートフォリオに入れる作品には、細かい指示に忠実に従って描いたものなのか、自分なりの解釈や工夫を入れた作品なのかがわかるよう、補足情報を入れましょう。
たとえば男性アイドルキャラが赤色の浴衣を着ているイラストであれば、「夏まつりのゲームイベント用に作成した」「赤色はこのキャラクターのイメージカラー」などです。
作品の目的やコンセプト、工夫した点など、クリエイティブの背景や込めた思いのほか、たとえばオリジナルのキャラクターであればキャラ設定なども入れると、より説得力のあるものになります。
4作業内容、作業時間、使用ツールを明確にする
採用担当者は、最終的なアウトプットだけでなく、どのような技術に対応でき、どのくらいのスピードで仕事ができるのかも知りたいと考えています。あなたのスキルレベルを伝えるためにも、作品を制作するうえであなたが担当した作業の内容とあわせて、作業時間、使用ツールについての情報も載せましょう。
それによって、あなたが入社したらどのような作業をどのようなボリュームで担当できそうか、採用担当者がより具体的にイメージできるようになり、採用を判断する材料となります。
イラストレーターのポートフォリオの構成
ポートフォリオに入れる作品をどのような基準で選び、どのような情報加えたらいいか、具体的にイメージできてきたでしょうか。
ポートフォリオに掲載する作品を選んだら、次に、掲載順を決めていきましょう。
ここからは、イラストレーターが転職活動をする際に、採用担当者の印象に残りやすいポートフォリオの構成について解説します。
【前半】受ける企業のテイストに合った作品
ポートフォリオの前半部分は、あなたの作風や実力を印象付けるパートです。応募する企業が求めるイラストのテイストに合わせつつ、あなたの代表作や自信作と言えるような、インパクトのある作品を選びましょう。
現在のあなたの実力を示すという意味で、あまり古いものは避けて最近の作品を選ぶことをおすすめします。大きめのサイズの背景入りの一枚絵や、描き込みの多い作品など、担当者の目を引く作品があるとよいでしょう。
【中盤】プラスでアピールになりそうな作品
ポートフォリオの中盤には、応募する企業が主に求めているテイストにプラスしてアピールできそうな、さまざまなテイストやモチーフの作品を入れましょう。
目的は、自分はどのようなテイストのイラストが得意なのか、どの程度幅広いジャンルに対応可能なのかを伝えることです。1つのモチーフを異なるテイストで描き分けたり、1つのキャラクターの表情やアングルを変えて描いたりしたバリエーションを入れてもよいでしょう。
小物や建物、動物や乗り物、背景や風景などさまざまなモチーフを入れたり、制作のプロセスを見せたりするのもこのパートが向いています。
【後半】自主制作や学生時代の作品
後半には、仕事以外に趣味で手がけた自主制作の作品や、学生時代の作品なども入れます。実務経験が少ない人は、スキルでアピールするためにこのパートに力を入れましょう。デッサンやスケッチなどはここに入れるとよいでしょう。
なお、模写や二次創作、ファンアートなどは著作権に注意し、どこまでが既存のアイデアをもとにしたもので、どの部分がオリジナルかを明確に示すようにしましょう。スキルをアピールする目的で入れるとしても、オリジナリティーが感じられない作品の割合は少な目にすることをおすすめします。
在籍した企業の時系列順に作品を掲載するケース
ここまで紹介してきた前半・中盤・後半という構成で作品を掲載する方法のほかに、在籍した企業別に時系列順に作品を掲載する方法もあります。
その場合には、前半に直近の企業のものを載せ、後ろに行くほど古い時代になるよう並べましょう。そうすると、仕事に合わせて作品のテイストが変化する様子や、過去から現在にかけてのスキルアップの様子なども伝わりやすくなります。それによって採用担当者は、あなたを採用したあとの成長や活躍をイメージしやすくなるでしょう。
イラストの守秘義務について
過去に仕事で手がけたイラストをポートフォリオに掲載する際には、守秘義務や著作権について十分な注意が必要です。
会社員として働く際は社員と会社との間で、会社がクライアントから仕事を受ける際には会社とクライアント企業との間で、通常は秘密保持契約を結んでいます。公開前の情報などをうっかり外部に漏らさないよう気をつけましょう。
また、仕事で作成したイラストの著作権は基本的に、所属先の企業やそのクライアントに属します。イラストレーター個人が自由に使っていいものではないことをしっかり自覚しておきましょう。
ポートフォリオを作成する際に知っておきたい守秘義務や著作権について、詳しくはこちらの記事をご覧ください。
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よくある質問
最後に、イラストレーターの転職活動用ポートフォリオ作成に関してよくある質問と、マイナビクリエイターのキャリアアドバイザーからの回答をご紹介します。
Q.1会社での経験が少ないときはどうすればいいですか?
仕事の実績として掲載できる作品が少なかったり、ジャンルやテイストが偏っていいたりする場合は、学生時代に学校の課題で制作した作品や、自主制作の作品も入れて問題ありません。
たとえ実績が少なくても、学生時代の作品も含めてスキルをアピールできれば、採用に繋がる可能性はあります。また、学生時代の作品であっても依頼を受けて有償で作成したものがあれば、仕事の実績としてプラス評価に繋がる可能性があります。
制作した時期にかかわらず、学校の課題なのか、趣味絵なのか、仕事絵なのかは明記しておくとよいでしょう。
Q.2趣味絵などSNSで高評価を得た絵は掲載してもいいのですか?
自分のSNSアカウントを応募企業に知られても問題ないのであれば、掲載しても問題はありません。
ただし、ポートフォリオに載せる作品は、応募する企業の求めるテイストに合っているかどうかが重要なため、趣味絵の掲載がプラス評価に繋がることもあれば、逆にマイナス評価に繋がる場合もあります。応募企業との相性をよく考えて掲載するかどうかを決めましょう。
イラストレーターとしての実力が伝わるポートフォリオを作ろう
イラストレーターが転職活動をする際に、企業があなたにどれだけ興味を持ってくれるかは、ポートフォリオの内容に大きく左右されます。
たとえあなたに豊富な経験や優れた実績があったとしても、それがポートフォリオで表現できていなければ採用担当者に伝わりません。たとえ忙しくても、ポートフォリオ作りは手を抜かず、あなたの実力が十分に伝わるものを作りましょう。
ポートフォリオのレイアウトやデザインをコスパ高く作成するには、マイナビクリエイターが提供する『MATCHBOX』など、ポートフォリオ作成サービスの利用もおすすめです。
また、マイナビクリエイターでは、ポートフォリオ作成に関する記事を多数提供しています。ほかの記事もぜひ参考にしてください。
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