スクウェア・エニックスがサウンドのエディター・プログラマーを募集!ゲームへの情熱とこだわりで、インタラクティブな音空間へ ―― 伊勢氏・土田氏インタビュー

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Web・ゲーム業界のキーパーソンを特集する「Creator's File」Vol.27

第一線で活躍しているクリエイター達のリアルな声をお届けしています。自分とは異なった環境で働くクリエイター達の熱意や考え方を、ぜひ、あなたらしいキャリア形成のためにお役立てください。

株式会社スクウェア・エニックスでは、現在サウンドエディターとサウンドプログラマーを募集中だ。『ドラゴンクエスト』や『ファイナルファンタジー』といったRPGで知られるゲームメーカーが求める人材について、スクウェア・エニックス サウンド部のマネージャー・サウンドディレクターの伊勢誠氏と、テクニカルディレクターの土田善紀氏にお話をうかがった。

前職の経験を活かし、スクウェア・エニックスのサウンドに携わるポジションへ

―― インタビューにご協力いただきありがとうございます。まずはこれまでのキャリアについて聞かせてください。

伊勢氏:1997年に旧スクウェアに転職で入社しました。『ファイナルファンタジーIX』の時にハワイへ出向し、それ以降はサウンドディレクターとして仕事をしつつ、マネージャーとしてサウンド部の運営にも関わっています。

土田氏:私は1996年に入社しました。最初は『ファイナルファンタジータクティクス』でAI関連のプログラミングを担当し、2007年にはサウンド部に所属するプログラマーのリーダーをやってくれと言われて現職に就きました。それまでにも趣味でFM音源のサウンドドライバを組んだりしていましたが、職業としてサウンド関連のプログラミングをしたのはこれが初めてです。

―― 前職はどのような環境だったのでしょうか?

伊勢氏:アニメーションやCMの効果音を作る会社に所属していました。子供の頃からずっとゲームを遊んでいたということもあり、ユーザーさんの操作に反応して音の世界が変化する、インタラクティブなものを作りたいと考えて転職しました。面接を受けた時点ではPCも使えなかったのですが、前職での経験を買われた形となります。

土田氏:前職はIT関連のプログラマーでした。『ファイナルファンタジーVII』のCMを見て、日本最高峰の技術者集団であると感じたことが転職したきっかけです。

―― サウンドプログラマーとサウンドエディターとしてのスキルをどのように学んでいかれたのでしょう?

伊勢氏:僕の場合は実践がメインでしたね。単品の効果音から1セクションを、そしてゲーム1本を任されるようになり、今はディレクターとして複数本のゲームに関わっています 。昔はサウンドで使用出来るメモリが少ない上、BGMと折半しなければいけませんでした。前職では音の容量を問われるようなことはありませんでしたから、最初は戸惑いましたね。

土田氏:私は他の部署でプログラマーとしてのスキルを積んでから現在の部署に配属され、リーダーとしてキャリアを始めた形になります。AIやグラフィックなど、サウンドプログラマーにない技術を沢山持っていたので、これをサウンドプログラムに取り込み、3Dサウンドや、キャラクターのモーションに合わせて効果音を出す自動発音といった分野に取り組んでいきました。

―― サウンド部はどんな仕事をするのでしょうか?また、今回募集される職種は?

伊勢氏:弊社にはゲームなどの商品の企画開発を行うビジネス・ディビジョンが複数有りますが、サウンド部はこれらのビジネス・ディビジョンから依頼を受けてサウンドを作っていきます。今回募集するのは、効果音を作るサウンドエディターと、音源周りのプログラミングを担当するサウンドプログラマーです。

裁量労働制を採用した、ワークライフバランスの取りやすい職場

―― ではサウンド部では皆さんどのように働かれているのでしょうか?

伊勢氏:弊社は全体的にオープンなので、サウンドエディターは和気あいあいと仕事をしています。複数のビジネス・ディビジョンの案件にまたがって仕事をしていますから、皆で相談しながら作業を進めていくという感じですね。

土田氏:サウンドプログラマーも似たような感じですね。色々な相談をいきなり廊下で始めるようなこともあります。

伊勢氏:他のプロジェクトのために作ってもらった機能を少しカスタマイズしてもらうなど、サウンドエディターとサウンドプログラマーは密にコンタクトを取りながら仕事を進めています。望んだ形で音の世界を表現するにはサウンドプログラマーの力が絶対に必要になりますから、コミュニケーション能力が凄く大事ですね。

土田氏:サウンドプログラマーにとってもコミュニケーション能力は重要な要素です。いくら能力が高くても、サウンドエディターから相談された際に「できる」「できない」とただ返すだけではいけない。例えば「言われたような機能は作れないけれど、代わりにこういうやり方もありますよ」と提案できなければならないからです。

―― ワークライフバランスは取りやすいのでしょうか?

伊勢氏:弊社は裁量労働制を採用しています。コアタイムこそ決まっているものの、その前後は融通が利きます。そうした意味では、ワークライフバランスを取りやすい仕事ではあります。ゲーム開発の仕事というのは、職場に住み着いて寝袋で寝るのが当たり前のようなイメージを持たれがちですが、ここ最近はかなり状況が改善されました。

土田氏:例えば、「子供を迎えに行かないといけないので早く帰る」と言ったことも自由ですので、家庭と仕事のバランスは取りやすいと思います。

伊勢氏:クオリティに妥協できないあまりに帰宅が遅くなってしまうようなことも起こりますが、裁量労働制だと出社時間を調整できます。クリエイターとしてのこだわりと家庭を両立できるわけです。ただ、自由であるが故に、しっかりと自己管理する必要がありますね。

土田氏:自由すぎて、コントロールが利かなくなる人はどうしても出てきてしまいます。どうしても朝に起きられないとか、遅くまで会社に残ってしまうとか。

伊勢氏:社会人ですから、そこはしっかりと責任感を持った上で、裁量労働制をうまく使って欲しいですね。

スマートフォンアプリからアーケードゲーム、そしてシステム構築まで。「音屋」に留まらない、幅広い取り組み

―― 仕事をしていてやりがいを感じるのは、どのような時ですか?

伊勢氏: サウンドエディターとしては、音の空間を設計するのが上手くいったときですね。単に音を鳴らすだけではなく、例えば「洞窟」にいるときは音を反響させるなど、ユーザーさんの操作によって音を変化させ、インタラクティブな音空間を作り上げていく。ゼロベースから世界を構築していく喜びがあるんです。

―― サウンドに携わるエンジニアとしての喜びと、エンターテイメント業界ならではのやりがいを同時に味わえるという事ですね。

伊勢氏:弊社ではアーケードゲームも作っていますが、ロケテストの際には実際にゲームセンターに行ったりもします。やはり、楽しく遊んでくださる方を見ると勇気を貰えますね。

土田氏:色々なプラットフォーム、ジャンルのゲームを作るのがスクウェア・エニックスです。サウンド部は複数のビジネス・ディビジョンから仕事を請けますから、1つの会社にいながら色々なゲームに関われるわけです。

―― 家庭用ゲームからスマートフォンアプリ、そしてアーケードゲーム。様々なサウンドを手がけることで経験も積めそうですね。

伊勢氏:意欲さえあればR&D的な仕事にも携わって頂けますよ。僕の場合ですと、キャラクターの動きに自動で効果音を付けていくシステムを開発しています。キャラクターが持つボーン(骨組み)の速度を見て、ゆっくり動いている時は歩いている音を出し、動きが速くなったら走っている音に切り替える、というような作業を自動でやってくれるシステムです。

土田氏:効果音の自動切り替えといったところですね。これまではキャラクターの色々な動作に対して人間が一つ一つ音を付けていましたから、とても時間がかかっていたんです。ただ、コンピューターに自動判定させているため、意図した通りに音が鳴らない判定ミスが起こってしまうのが現時点での悩みの種です。改善するためには、サウンドエディターとサウンドプログラマーのコミュニケーションが重要になっています。

―― 単に指示された通りに音を作るだけでなく、よりクリエイティブな仕事ができるという事ですね。

土田氏:こうした取り組みができるのは、サウンド部専属である私達のようなプログラマーがいることが大きいと思います。

伊勢氏:サウンド専門の部署を持っているスクウェア・エニックスならではの強みですね。入られた方全員に、こうしたところにまで関わって頂きたいです。

土田氏:音を作って納品するだけではなく、サウンドプログラマーと一緒になって、メモリの管理や処理の負荷といったところまで考えて仕事をして頂きたいですね。

サウンド部で求めるのは、好奇心旺盛で柔軟な知識を持ち、ゲーム制作への情熱に溢れた人物

―― サウンド部が求める人物像について教えてください。

伊勢氏:好奇心旺盛で、柔軟な意識を持っており、行動力も伴っている方ですね。面接の時点で技術力が足りなくても後から覚えて頂ければいいわけですし。

土田氏:サウンドプログラマーとしては、技術に対する情熱のある方でしょうね。プログラミングの環境というのは10年も経てば大きく変化してしまいます。新しい技術を追いかけるのが大好きな人でないと、時代の流れに対応できないでしょう。そうした意味では、家に帰っても趣味でプログラミングをしているような、プログラミング大好き人間が向いていると言えるでしょう。

―― スクウェア・エニックスへ応募する上では、『ドラゴンクエスト』や『ファイナルファンタジー』といった有名IPの知識は必要になるのでしょうか?

伊勢氏:全く知識が無い状態で応募して頂いてもいいと思います。ただ、ゲーム自体は好きな方が良いでしょうね。実際に仕事をする上でも、ゲームを遊んできた経験を活かして色々なアイデアを出せますから。面接でも「スクウェア・エニックス以外で好きなゲームはありますか?」と聞いたりもします。

土田氏:入社時点でのスキルが若干低くても、ゲーム制作に情熱がある人の方が伸びしろは大きいですからね。

―― スクウェア・エニックスといえばRPGを多く作っているメーカーですが、RPGが好きだったり詳しかったりする方が良いのですか?

伊勢氏:必ずしもそうとは限りません。どんなゲームジャンルの知識であっても、絶対に無駄にはなりませんから。

土田氏:折角新規に募集するのですから、我々の知識が足りないジャンルに詳しい方に来て頂いた方が良いですね。

伊勢氏:まったくゲームを知らない人でも、 代わりになるスキルや知識をお持ちであれば全く問題ありません。

―― 応募するに当たって、サウンド関連のエンジニアとしての得意分野をしっかりと持っておいた方がいいのでしょうか?

伊勢氏:決まっていなくても大丈夫ですし、何らかの分野に特化している方も歓迎です。ゲーム業界はもちろん、ポストプロダクションのスタジオに勤めていた方や、音関連のエンジニアをやっていた方、遊技機業界から来られた方もいます。

求められる人物像

  • 知的好奇心と柔軟な思考、行動力を兼ね備えていること
  • ゲーム好きであること。但し、『ドラゴンクエスト』や『ファイナルファンタジー』に関する知識はマストではない
  • 自己管理ができること。裁量労働制で時間が自由に使えるだけに、しっかりと責任感を持って働けること
  • 単に音を作るだけではなく、R&D的な所にまで関われるだけの意識の高さを持っていること
  • 自分から進んで新しい技術を追い続けられること

「興味がある」「やってみたい」という所で止まらず、実際に手を動かす事が大事

―― 最後に、それぞれの職種を志す人にメッセージをお願いします。

伊勢氏:サウンドエディターの仕事は、ゼロから世界を構築できる本当に楽しいものです。興味のある方は是非応募して頂き、一緒にこの仕事をして行ければと思います。

土田氏:プログラミングというのは難しいものではないので、とにかく手を動かしましょうということですね。私は専門学校や大学に行く機会も多く、サウンド関連のプログラムに興味があるという人にもよく会います。しかし、みんな「興味がある」「やってみたい」という所で止まってしまっていて、実際にプログラムを書く人は本当に少ないんです。難しさで言えば、プログラムよりも数学の勉強をする方がよほど困難だと思います。ですから、弊社では手を動かす人にいつでも門戸を開いてお待ちしています。

インタビューを終えて

スマートフォンアプリからコンシューマーゲーム、アーケードゲームまで幅広いジャンルに関わることができ、裁量労働制によってクリエイター生活と家庭も両立できる。業界大手のスクウェア・エニックスだけに、意欲さえあればサウンド技術者として様々な経験を積めるのだ。

ゲームサウンドは、ゲーム開発においてはとても重要な要素だ。インタビューからも読み取れるように、作曲とは違い、効果音の作成・プログラミングと、専門的なスキルが必要になるが、その分やりがいはとても大きい。

サウンドエディター・サウンドプログラマーに興味のある方は、これを機にエントリーしてみてほしい。

この記事を書いた人

マイナビクリエイター編集部

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