仕事の実績を示すだけでなく自主制作で自分の主張を。ありきたりから脱出するポートフォリオを作る ―― 株式会社セガゲームスインタビュー

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ゲームクリエイターから絶えず注目され、希望する転職先として名前が挙がる企業に株式会社セガゲームスがある。コンシューマーゲームでオリジナリティの高いゲームを数々生み出し、業界を代表するゲームメーカーの1つである。

今回『MATCHBOX REVIEW』では、そんな同社に取材の機会をいただき、同社を代表するコンシューマータイトル「龍が如く」シリーズ、「ソニック」シリーズの制作に携わり、アート部門のマネージャーを務める三嶽氏、川村氏のお2人からお話をうかがった。それぞれの職場の雰囲気から、採用におけるポートフォリオの注目ポイント、さらに『MATCHBOX』に触れてみてのざっくばらんな感想まで、同社に関心のある人にはぜひ注目していただきたい。

プロフィール紹介

三嶽 信明氏(写真右)
第1事業部 第1開発1部 セクションマネージャー

川村 幸子氏(写真左)
第2事業部 第2開発2部 副部長

「龍が如く」シリーズ、「ソニック」シリーズのアートディレクションを手がけるキーパーソン2人

―― 今回はインタビューにご協力いただきありがとうございます。まずはお2人のお仕事とポジションについて教えてください。

三嶽氏:私は『JUDGE EYES:死神の遺言』「龍が如く」シリーズなどリアルな大人向けハイエンドゲームを手がける第1事業部でアートディレクターをやっています。数年前からマネージャーも務めていて、応募書類の審査や面接など、3DCGデザイナーの採用にも関わっています。

川村氏:私は「ソニック」シリーズや「ぷよぷよ」シリーズ、「マリオ&ソニックオリンピック」シリーズなどのファミリー向けタイトルや、「新サクラ大戦」や「戦場のヴァルキュリア」など、アニメ系キャラクターの登場するゲームを手がける第2事業部で仕事をしています。シニアアートディレクターというポジションで「ソニック」シリーズを中心に広い範囲でアートディレクションを行っています。私も第2事業部の副部長としてデザイナーの採用を行っています。

―― それぞれの開発部(スタジオ)のデザイナーの特色を教えてください。

三嶽氏:開発するタイトルを見ていただいてもわかるとおり、第1事業部では、フォトリアルなハイエンドゲームの開発を行っています。『JUDGE EYES:死神の遺言』や「龍が如く」シリーズで用いられる、実在の役者さんやタレントさんを3Dスキャンしてゲームの登場人物とする独特の手法で、リアルな世界観を創り出しています。デザイナーに求められるのはスキャンデータをもとにした多彩な表現で、登場人物の表情や動き、写実的な背景など、タイトルに応じたデザインを行っていきます。実在するものをいかにして3DCGにしていくか。デザイナーとして「形にしていく力」が重要ですね。

川村氏:第2事業部では「ソニック」や「ぷよぷよ」シリーズのデフォルメの強いキャラクターや、「サクラ大戦」「戦場のヴァルキュリア」などの日本のアニメーション的なキャラクターと、さまざまなスタイルのキャラクターが活躍します。デザイナーにはデフォルメされたものを創り出すセンスが求められますね。デフォルメと言っても、基礎的な描写力の裏打ちがあったうえで、少ない線で端的に伝えるデザインと、タイトルに合わせた存在感を与える表現が必要とされます。

リアルとデフォルメ。デザイナーにとって魅力ある仕事場を提供する開発環境

―― それぞれの事業部の雰囲気・開発環境はいかがですか?

三嶽氏:第1事業部は扱っているタイトルが「大人向け」をテーマにしているのでハードな印象が強く、強面のメンバーがいて怒号飛び交う職場なのではと誤解されていますが、いたって普通にゲーム作りを行う和気あいあいとしたスタジオですよ。

川村氏:第2事業部はデフォルメされたかわいらしいキャラクターから大人うけするシックでスタイリッシュなものまで、タイプの違うさまざまなデザインに取り組んでいます。デザイナーは、自身の得意分野を活かしながら、いろいろな経験をつめる環境になっていると思います。

三嶽氏:どちらの事業部も、開発環境の整備には力を入れていますよね。扱っているタイトルの内容が違うので、それぞれ力を入れている部分は違いますが、ゲーム作りで妥協しない考え方は同じで、それを実現するための開発環境作りに手を抜かない。それはセガゲームス全体で共通する考え方だとも言えます。

川村氏:スタジオ同士で人的交流も活発で、第1事業部を含めデザイナーはいろいろなスタジオで違う経験をしてまた違うスキルを身に付けて帰ってきてくれます。セガゲームスには第1、第2だけではなくて、他の事業部もありますから、新たな挑戦や、学べる環境がたくさんあると思います。

スキルの幅と質。ポートフォリオでは仕事で作ったものよりも自主制作した作品にその人の思いが表れている

―― 採用に関わる中で、ポートフォリオはどんなところに注目されていますか?

三嶽氏:第1事業部ではやはりフォトリアルな作品に対してどんなデザインができるかに注目しています。ただ、うちのスタジオに近いフォトリアルな作品に仕事として取り組んだことがあるかを見ているわけではありません。違うタッチのデザインであっても、基礎があるか、リアルに対応できるかは作品を見ればある程度わかります。しかし、自主制作でも良いので携わりたい作品をイメージしたものをポートフォリオに載せていただくとありがたいです。「龍が如く」のイメージで作ってみましたとポートフォリオにデザインを載せてくれる方がいますが、私は100パーセント見ています。仕事での作品だと、その人の技量を推し量ることはできますが、その人が本当に作りたいのは何なのかが見えてこない場合も多いのです。自主制作の作品にはそんな思いが必ず込められているので、私たちも注目しているのです。

川村氏:第2事業部は作るタイトルの種類が多いことから、これまでデザインからモデリングまでできるオールマイティな人の採用が多かったです。そのため、ポートフォリオも、その人の持つスキルの幅に注目していました。自分のできることのバリエーションをしっかり見せていただきたいと思っています。そのうえで自分の得意分野をアピールしていただければ、私たちもその方にセガゲームスで活躍していただけるイメージが湧きやすくなります。また、応募者の熱意はポートフォリオでも感じることができます。自主制作の作品が入っていると私も熱意の表れと感じることが多く、募集の際に求めるスキルには少し足りないと思っても、その人の熱意から面接で会ってみたいと思うことはよくあります。

三嶽氏:第1事業部ではモデリングでは基本的に「Maya」を使っています。後はモデリングツールの「ZBrush」、テクスチャー制作で「Substance Painter」、エフェクトや背景制作では「Houdini」。ゲームエンジンはインハウスのものを使っていますが、基本的な考え方は市販のゲームエンジンと変わらないので、「Unreal Engine」の操作経験があれば問題ないでしょう。

川村氏:第2事業部でも制作環境はまったく一緒ですね。業界で主流のツールがほとんどですので、中途入社の人も制作環境で悩まれることは少ないと思います。ポートフォリオでも一番自信のあるスキルをどんどん見せていただきたいですね。

『MATCHBOX』のフォーマットに頼るのではなく自分を表現するポートフォリオツールとして使いこなす

ノートパソコンで『MATCHBOX』ページを開き、実際の操作感を体験していただきました

―― 続いてはお2人に『MATCHBOX』を実際に触っていただきたいと思います。操作してみた率直な感想をお聞かせください。

三嶽氏:画像などのビジュアルにコメントがつけられるんですね。ポートフォリオって、これが正しいという正式な形があるわけではありませんので、人それぞれなんですよね。私が応募で見るポートフォリオは作品がぽんと載せてあるだけのものも多くて、何をどう判断すればよいのか迷うことも多いんです。デフォルトで解説をつけるスタイルの『MATCHBOX』は好感が持てますね。

川村氏:たとえばその人がアートディレクターだったとしても、その作品の中でどんな仕事をしたのかがわかりません。何人でどのくらいの期間で仕事をしたのか、その人はどんな役割を担当したのか。それが『MATCHBOX』でポートフォリオを作ると自然に問われて書き込める形になっているので応募者も発想しやすいですし、書類審査をする側も欲しい情報が得やすいのでよいと思います。

―― 実際に作り方を見ていただいたうえで、現実に採用で『MATCHBOX』で作られたポートフォリオがあったとしたらどういう印象を持たれますか?

三嶽氏:デザイナーとひと口に言っても、キャリアの長さであったり、専門分野によってもポートフォリオの作り方は違ってくると思います。『MATCHBOX』というフォーマットを使って、自分をしっかり表現できていれば問題ないと思います。

川村氏:私はこういったサービスを知っていて「情報通な人だな」と思いますね。ネガティブな印象は特にないです。ただ、採用を行う人の中にはデザイナーという職種を考えると単に楽をしようと思って『MATCHBOX』を使うという応募者によい印象を持たないという人もいるのではないでしょうか。フォーマットがあるということは、ともすればみんな同じに見える危険性もあります。ありきたりから脱出する作戦を自分の中で立てて、『MATCHBOX』のフォーマットを使いこなせていればプラスの評価に繋がるのではないでしょうか。

―― これまでの採用の中でよいと思うポートフォリオはどんなものですか?

三嶽氏:一つひとつの作品のクオリティも大切ですが、どんな構成でポートフォリオが作られているかも大切です。最初の扉から最後を締めくくる作品まで、その人の実力がストーリーとして訴えかけられてくる。そんなポートフォリオは印象に残り、採用に繋がっていますね。

川村氏:ポートフォリオには適量があると思います。ベテランだから莫大な量のポートフォリオが必要かというとそんなことはなくて、初期の作品より、今の実力を見せたいのが本当のはずです。同系統の作品をいくつも載せるより、自分のポイントとなるスキルをしっかり厳選して収録してある方が私の中で評価も高いです。そして「うまい」と感じる絵があること。なぜそう感じるか定義しきれないのですが、ポートフォリオの中でその人の持ち味を表す作品に出会えると、私たちのテンションも一気に上がります。

―― 最後に転職を考えているクリエイターにメッセージをお願いします。

三嶽氏:当社でのデザイナーの採用はモデリング、モーション、エフェクトの3つのポジションを基本に行っています。実際の業務ではさまざまなキャリアを持つ人が多いですが、ポートフォリオで自分の得意分野をしっかりアピールしてください。

川村氏:第1、第2事業部だけでなく、デザイナーとしてもいろいろなところで活躍できるのがセガゲームスのよいところです。社内で新しい方向性を見つけて違う現場で活躍する人もいます。転職は今よりもっと上を目指すチャンスではないでしょうか。ベテランであっても次のステップへの強い意欲を持っている人に注目しています。

インタビューを終えて

「龍が如く」シリーズの多くの作品でアートディレクターとして活躍する三嶽氏、「ソニック」シリーズの人気キャラクター「チャオ」の生みの親である川村氏。ゲームファンにはメジャーな2人だが、特に川村氏がメディアに露出するのはレアなケースである。今回はクリエイターにとって重要なポートフォリオに関する記事ということで、お2人には特別にご協力いただくことができた。

マネージャーを務めながら自身も第一線のクリエイティブを行う両氏は、採用では技術そのものよりも応募者の持つ熱意に共感することが多いとのこと。自分はクリエイターとしてすでに完成しているという人よりも、新しい環境でもっと学びたい、何かを得たいと考える人に関心が湧くそうだ。

セガゲームスというビッグネームを聞くと、採用は難関と考えてしまうのはゲーム業界をよく知る人ほどやむを得ない。しかし同社のビジネスは今グローバルへと広がっており、採用意欲がかつてないほど高まっていることも是非知っておくべきだろう。このチャンスに難関の扉をこじ開けることができるのは、クリエイターの最大の武器である渾身のポートフォリオしかない。

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マイナビクリエイターに申し込むと、MATCHBOXを無料ですぐにご利用できます。ぜひご活用ください。

MATCHBOXの詳細はこちらをご覧ください。

この記事を書いた人

マイナビクリエイター編集部

マイナビクリエイター編集部は、運営元であるマイナビクリエイターのキャリアアドバイザーやアナリスト、プロモーションチームメンバーで構成されています。「人材」という視点から、Web職・ゲーム業界の未来に向けて日々奮闘中です。

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