Webライターとは - Webライターの仕事内容や年収について解説
Webライターは副業や在宅ワークができる職種として人気があり、Web業界の成長によって需要も伸び続けている仕事です。しかし、Webライターとはどんな仕事なのか、どうすればWebライターになれるのか、年収はどの程度なのかなど、その実態はあまり知られていません。
この記事では、Webライターを目指している方に向けて、Webライターの仕事内容や、働き方、収入、求められるスキル、Webライターになる方法などについて、キャリアアドバイザーが解説していきます。
目次
Webライターとは
Webライターとは、クライアントからの依頼を受けて、Webサイト上に掲載される記事を書くことを仕事にしている人のことを指します。文章を書く仕事には、主に書籍や雑誌などの紙媒体に掲載する文章を専門とするライターや、広告コピーを専門に手がけるコピーライター、専門的な技術に関わる文章やマニュアルなどを手がけるテクニカルライターなどさまざまありますが、その中でもWebに特化した文章を書くのがWebライターです。
Webライターとブロガーの違い
Web上に文章を書く仕事といえば、Webライターのほかに「ブロガー」も存在します。Webライターとプロのブロガーの違いは、Webライターがクライアントから仕事を受け、文章を執筆して対価を得ているのに対して、ブロガーは自分でメディア(ブログ)を運営し、広告や有料コンテンツなどで収入を得ている点です。
Webライターの仕事内容
Webライターの仕事内容は、Web上でより多くの人に読んでもらえるよう、Webの特性を踏まえたうえで構成を考え、文章を書くことです。たとえば、検索結果の上位に出てくるような記事の書き方、読者にクリックしてもらいやすいタイトルのつけ方、SNSでシェアされやすい記事の作り方など、「ただ文章を書く」というだけではなく、Webの特性に関する知識と、Webに適したライティングのスキルが求められます。これら一連のスキルを「SEOライティング」と言います。詳しく見ていきましょう。
SEOライティングとは?
SEOライティングとは、SEO(Search Engine Optimization)=検索エンジン最適化の施策であり、自分のページが検索の上位に表示されるような文章を書くことです。
SEOの基本は、文章にタイトルや見出しをつけて構造化し、「このページにどんなことが書かれているのか」「このページの内容は、ユーザーの検索意図に合っているのか」ということを、ユーザーに対してもGoogleなどの検索エンジンに対してもわかりやすく示すことです。検索上位を狙いたいキーワードに対して、ユーザーの検索意図にマッチし、なおかつ信頼できる情報がページ内に盛り込まれていれば、検索エンジンからの評価が上がります。
Webライターの働き方
Webライターの働き方には、会社に所属する企業内ライターとして働く方法と、企業などから仕事を受けるフリーランスとして働く方法の2種類があります。それぞれ、具体的にどのような働き方なのか詳しくご紹介します。
企業で働く
Webライターの求人は、出版社や制作会社、ECサイトやコミュニティーサイトを運営する企業、自社サイトへの集客のためにコンテンツマーケティングを行っている企業など、多岐にわたります。
所属部署は制作部門、広報部門、マーケティング部門など企業によって異なり、働き方も各部門の一員として多岐にわたる業務の一環でライティングをする場合と、専門スタッフとしてライティングのみを行う場合があります。雇用形態も正社員から派遣社員までさまざまで、通常の転職活動と同様の手続きを踏んで就職をすることが必要になります。
求められるスキルや経験は企業によって異なるため、求人情報をよく調べ、自分に合ったものを探しましょう。
フリーランスで働く
フリーランスのWebライターには、専業ライターとして働いている人のほかに、空き時間を使って副業で働く人もいます。Webライティングの仕事は、資格が不要で場所や時間も選ばないため、未経験者や地方・海外在住者、学生や主婦(主夫)などにも始めやすい仕事といえるでしょう。
未経験から仕事を始める際には、クラウドソーシングで経験を積む場合が多いようですが、実績があるライターならクライアントから直接仕事を受けることも可能です。初心者向けの仕事は、商品説明文やSNSなどに投稿するコメントの作成など、フォーマットが決まった短文が多め。一方、取材や編集スキルがあれば、より難易度の高い仕事にも挑戦できます。
一般的に、細かい指示に沿って定形の文章を書く仕事は単価が低く、企画や編集の要素も含まれる仕事や、専門知識を必要とされる仕事は単価が高くなります。
Webライターに求められるスキルや知識
Webライターに求められるスキルは、案件よって異なりますが、クライアントのニーズを汲み取る力や、情報を適切に扱うスキルなどは、基本的に必要とされます。Webライターに求められるスキルや知識について、以下に詳しくご紹介しましょう。
クライアントの意向を汲み取るコミュニケーションスキル
Webライターが、クライアントから指示を受けて文章を書く際には、相手の意向を汲み取り、指示を的確に理解するためのコミュニケーションスキルが求められます。あいまいな指示や情報不足などの不備があった場合は、失礼のないように質問し、情報提供を依頼することも必要になるでしょう。
良好なコミュニケーションは、新たな視点や気付きが得られるなど、仕事の質を高めます。また認識の食い違いによる手戻りを防ぎ、効率的に仕事を進める効果も期待できるでしょう。
正確な情報を収集するスキル
Webを参照しライティングする際に大切なのは、信頼性の高い情報源を選別するスキルです。誤情報は簡単に拡散し、ユーザーの利益を損なってしまう可能性があります。他サイトの情報を参考にする際には、「誰が書いているのか(執筆者や監修者、サイトの運営会社など)」「何を根拠に書いているのか(引用元)」を確認し、情報の真偽を判断することが必要です。
また、情報の正確性を確保するためには、一次資料の調査や関係者への問い合わせなど、手間を惜しまない姿勢や行動力も問われます。さらに、情報提供者の著作権やプライバシーを尊重しながら情報を記事に反映させるスキルも不可欠です。
オリジナリティの高い文章を書ける構成スキル
多数あるWebページの中からユーザーに選ばれるコンテンツを作るには、Webライターに、オリジナリティの高い文章を書けることが求められます。
他サイトの文章との違いは、独自の情報かもしれないし、ほかにはない切り口や視点かもしれません。また、たとえば会話風や物語風の文章、コミカルなテイストが入っているなど、ほかとは違う見せ方や読ませ方かもしれません。
クライアントの目的やユーザーのニーズに応じて最適な構成やテイストを提案できるようにするためには、普段から多様な文章や表現に触れ、ライターとしての引き出しを増やしておくことが大切です。
得意分野に関する専門知識
プロのライターはクライアントの求めに応じてさまざまな分野の記事を書きますが、専門知識を持つ得意分野が1つでもあると有利です。仕事や趣味、普段の生活を通じた経験を元に書くことができる分野があれば、より少ない手間で、より生き生きとした文章を書くことができるからです。
ニッチな分野の知識や経験も、ライターとしての差別化に繋がる場合があるので、今一度「自分の得意分野は何なのか」棚卸しをしてみることをおすすめします。
SEOライティングに関する知識
SEOライティングの基本は、文章を構造化することと、ユーザーの検索意図に合った文章を書くことです。SEOライティングで必要とされる知識には、検索上位を狙いたいキーワードをページのタイトルや見出しで強調するといった基本的なことだけでなく、検索エンジンの仕組みやWebサイトの構造に関する知識なども含まれます。また、検索キーワードや検索上位サイトの内容を分析し、ユーザーニーズを把握するスキルなども求められます。
Webライターの年収
ここまで見てきたようにさまざまなスキルが求められるWebライターですが、どれくらいの収入が得られるものなのでしょうか。会社員とフリーランスの両方について見ていきましょう。
会社員の場合
マイナビクリエイターに掲載している「Webライター」の求人情報から導き出したWebライターの平均年収は549.5万円※です。2022年時点における日本人の平均給与は443万円(男性545万円、女性302万円)※なので、会社員のWebライターの給与は男女とも日本人の平均よりも高いと言えます。
※マイナビクリエイター調べ(2023年1月)
※国税庁 令和3年分 民間給与実態統計調査より
フリーランスの場合
フリーランスの場合、案件やライターの経験・実績などによって収入は大きく異なります。たとえばクラウドソーシングの募集では文字単価0.5円というものもあり、2000文字(原稿用紙5枚分)書いて1000円の計算なので、ほとんどの場合は時給換算で最低賃金以下になってしまいます。
経験豊富でスキルのあるライターや、専門知識を持つライターであれば、文字単価15円〜20円、もしくはそれ以上の単価で仕事が受けられるようになります。一般社団法人編集制作協会の編集制作料金基準表「ホームページの部」によると、原稿作成・リライトの料金は「1ページあたり30,000〜」※とあります。文字単価15円であれば2000文字で30,000円なので、現実的な料金と言えるでしょう。1ページ分の原稿作成に要する時間を1日として、月に20ページの仕事をコンスタントにこなせば、年収は720万円にもなります。
※『広告制作料金基準表 アド・メニュー'22-'23』宣伝会議 2022年 P.249より
Webライターに向いている人の特徴
Webライターは未経験者でも独学で目指すことができます。ただし、Webライターが誰でもできる簡単な仕事かというと決してそうではなく、人によって向き・不向きがあります。ここからは、Webライターに向いている人の特徴をご紹介します。
文章を書くのが好きな人
当たり前の話ですが、文章を書くのが嫌いな人よりも、文章を書くのが好きな人の方が、Webライターには向いています。普段から日記やブログを書いていたり、SNSに比較的長い文章を投稿していたり、家族や友人に近況報告の手紙やメールを日常的に書いている人は、文章を書くのが好きな人と言えるでしょう。
文章を書くのが苦にならず、自分の書いた文章を人に読んでもらうことに喜びを感じられるならば、楽しく仕事に取り組み、スキルアップしていくことができるはずです。
相手の気持ちを考えるのが得意な人
相手の立場に立って考えることができる想像力や、相手のニーズに応えるホスピタリティを備えている人は、Webライターに向いています。Webライターは、常にクライアントの要望やターゲットユーザーのニーズを汲み取り、それに応じたコンテンツを作成することが求められるからです。
そのため、Webライターは自分のスタイルを押し付けるのではなく、まず相手のことを考え、目的に合ったコンテンツを提供することが重要です。
好奇心が旺盛な人
知的好奇心が旺盛で、知らないことを調べたり、新しいことを勉強することが好きな人はWebライターに向いています。その反対に、普段から受け身で積極的に調べ物や勉強をしない人は、Webライターに向いていないかもしれません。
Webライターの仕事では、クライアントからの資料を読み、記事のテーマに沿って取材やリサーチをすることで、常に新しい情報を吸収します。慣れないテーマについても学び情報をインプットする、そのプロセス自体に面白さを感じられる人は、Webライターの仕事にやりがいも感じられるはずです。
自己管理能力が高い人
自分で目標を決めて計画を立て、着実に仕事を進めていける人はWebライターの仕事に向いています。
ライティングは多数の関係者が関わるWeb制作における1つのプロセスですが、記事の作成自体はライターが個々で進めます。とくにフリーランスの場合、自己管理が重要で、納期と品質を守る責任があります。スケジュールやタスク管理が苦手な人は、Webライターの仕事を始める前にその点を克服しましょう。
Webライターになるには
ここまで、Webライターの仕事や、向いている人の特徴について解説してきました。では、今からWebライターを目指すには、まず何をすればいいのでしょうか。ここでは2つの方法について解説します。
独学でWebライターを目指す
独学でWebライターを目指すなら、まずは普段自分がWeb上でよく読むメディアやブログの記事を研究し、その書き方や構成を真似て記事を書いてみることです。さらに、自分の得意なテーマでブログやWebサイトを立ち上げ、そこに自分の書いた記事を掲載しましょう。SEOを勉強して検索で上位表示させたり、SNSを活用するなどでアクセスを増やしたりできれば、Webライターとしての仕事に応募する際のアピールポイントになります。
スクールやオンライン講座などで勉強する
スクールなどでWebライティングについて体系的に勉強するのも1つの方法です。課題提出を通じて実力が認められれば、講師などの紹介でWebライティングの仕事に繋がる可能性もありますし、スクールが求人情報を紹介してくれる場合もあります。また、スクールの課題で作成した文章は、仕事に応募する際の作品例としても役立つでしょう。
Webライターとして差別化されるための3つのポイント
ここからはWebライターとして差別化されるための3つのポイントを解説します。
世の中には多数のWebライターが存在していますが、Webライティングの仕事だけで生計を立てていける人はそれほど多くありません。高いスキルを持ったWebライターは依頼が絶えず、仕事の単価も上がっていきますが、特色のないライターにはいくらでも代わりがいるので、参入者が増えるほど仕事の機会は減り、単価も下がってしまいます。Webライターとして生き残っていくために、以下のポイントを参考にスキルアップを目指してみてください。
他サイトはあくまでもひとつの参考程度に
まず、決して他サイトのコピー&ペーストで原稿を作成してはいけません。Webライターには、情報の正確性を自ら確認し発信すること、そして著作権やプライバシーを尊重する責任があります。たとえ、匿名の記事であっても自分の書いた内容に責任を持ち、読者に誤解や不快感を与えないよう気を配る必要があります。
他サイトはあくまでも参考に留めること、きちんと自分なりのスタンスを保ち、プロの自負と誠意を持って原稿作成に臨むこと。これができれば、結果的に他サイトの真似ではないオリジナリティのある文章が作成でき、クライアントからの信頼にも繋がっていくはずです。
目的やターゲットを意識したライティングを心がける
とくにWebライター初心者は、「今書いている文章は何を目的とし、誰に向けたものなのか」を意識し、読者目線で客観的にチェックすることが大切です。記事は「読者にとって有益であること」、「ストレスなく読めること」が最低条件。そのうえで、ECサイトであれば商品の販売、企業サイトであれば提供サービスの周知、Webメディアであれば会員登録など、目的に応じてユーザーのアクションを促すことができれば成功と言えます。
常に目的やターゲットを意識し続けながら、クライアントからの厳しいフィードバックも成長の糧にできれば、着実に文章の質は上がり、他のWebライターとの差別化に繋がっていくでしょう。
SEOやサイト構造についての理解を深める
SEOの基本はある程度HTMLを理解し、文章を構造化することです。HTMLには、見出しタグ<h1><h2>や、強調タグ<strong>など、検索エンジンに内容を伝えるタグがあります。Webライターとして仕事をするのであれば、これらのタグをはじめ、WordPressのテキストモードでレイアウトを編集できる程度には、HTMLの知識をつけておくとよいでしょう。自分でHTMLを書いてWebページを作ってみるのもおすすめです。
またGoogleの検索アルゴリズムは頻繁に更新されるため、SEOの重要点も時代によって変化します。SEOなどWeb関連技術の動向はこまめにチェックしておきましょう。
まとめ
Webコンテンツは、時代の変化や検索アルゴリズムのアップデートに合わせて、内容をブラッシュアップし、最適化を繰り返すことで、長くユーザーに役立ててもらうことができます。
またWeb業界で生きていくにはWebライター自身も、技術やトレンドの変化に応じて、新たな知識やスキルを身に付けていく必要があるでしょう。
Webライティングの仕事において目的を明確にし、ターゲットのニーズを汲むこと、そして読みやすい文章を書くことは重要です。読者へのリスペクトや、情報発信にともなう責任を忘れずに、質の高いコンテンツを生み出すことができるライターを目指してください。
この記事を書いた人
マイナビクリエイター編集部は、運営元であるマイナビクリエイターのキャリアアドバイザーやアナリスト、プロモーションチームメンバーで構成されています。「人材」という視点から、Web職・ゲーム業界の未来に向けて日々奮闘中です。