退職届に印鑑は必要ではない?使用する印鑑の種類や押し方を解説
退職届を作成する際にそもそも印鑑を押す必要があるのか、どの種類の印鑑を使えばよいのか迷う人も多いと思います。
そこで本記事では、退職届に印鑑が必要なのかについて、使うべき印鑑の種類や印鑑を押す際のルールやマナー、押印に失敗したときの対処法とあわせて解説します。
目次
退職届に印鑑は必要?
法律上、退職届に印鑑を押さなければならないという明確な規定はありません。つまり、押印がなくても退職の意思は有効であり、受理されるべきものです。しかし、現実には多くの企業が印鑑の押印を求めており、それが社会的な慣習やビジネスマナーとして根付いているのが実情です。
特に中堅企業や伝統的な社風をもつ企業では、「書類=押印あり」という形式が重視されることが多いため、印鑑を押さないことで「非常識」と見なされるリスクもあります。退職届がトラブルなくスムーズに受理されるよう、迷ったときには印鑑を押したほうがよいでしょう。
就業規則を確認する
法的には退職届に印鑑を押す義務はありませんが、会社によっては就業規則で押印が求められるケースもあります。特に最近では、手書きの退職届は筆跡で本人確認ができるため、印鑑が不要な場合があります。一方、パソコンで作成した退職届には、本人確認や信頼性を高めるために、印鑑を押すことを求める会社も増えています。
そのため、退職届に印鑑が必要か迷った場合は、まず自分の会社の就業規則を確認するのがおすすめです。会社によっては退職届のフォーマットや用紙が指定されている場合もあるため、事前に確認しておくことで退職の手続きがスムーズに進み、トラブルなく円満に退職することができるでしょう。
印鑑を押す位置
退職届に印鑑を押す場合、自分の氏名のそばに押すのが基本です。縦書きの場合は氏名の真下に、横書きの場合は氏名の右側に押印するのが一般的なルールです。印鑑は名前にかぶらないようにし、にじみやかすれがないよう、はっきり押しましょう。
また、会社によっては印鑑を押す位置や形式が就業規則で決まっている場合もあります。間違いを防ぐためにも事前に確認しておくと安心です。

印鑑の種類、退職届に使うには何がいい?
退職届には基本的には認印を用います。実印や銀行印を使用すると、個人情報の悪用や漏洩のリスクが高まる可能性があるため、使用は避けましょう。また、認印を使用する際には朱肉を使ってていねいに押すことも重要です。
実印
実印とは市区町村の役所で印鑑登録をした正式な印鑑のことで、各種印鑑の中で最も法的効力が高く、個人印の中では一番重要な印鑑です。主に家・土地などの不動産、車の購入、ローン契約、遺言書など高い法的効力が求められる重要な書類に使用されます。
実印は本人確認の証明として法的に強い効力を持つものであるため、他人に印影(印鑑の形)を知られてしまうと、悪用やなりすましのリスクが高くなります。そのため、退職届に押す印鑑として実印を用いるのは避けましょう。
銀行印
銀行印とは、銀行や信用金庫などの金融機関に口座を開設する際に届け出をした印鑑のことです。金融機関で口座名義人の本人確認の証明となるものであり、振込手続きや手形・小切手の発行、名義変更や住所変更の手続きなどの取引・手続きを行う際に必要となります。
法的効力は実印には劣りますが、金融機関に登録されている重要な印鑑の1つです。銀行印も個人情報漏洩のリスクを避けるため、退職届に用いるべきではありません。
認印
認印とは印鑑登録・届出をしていない個人の印鑑のことです。朱肉を使って押すのが一般的で、「確認しました」「承認しました」といった意思表示をする際によく使われます。たとえば、下記のような場面で使用されることが多いです。
- 宅配便の受け取り
- 学校・職場・町内会などの書類の確認
- 公共機関の軽微な提出物や確認
- サイン代わりの簡易な押印
法的効力は低いものの、本人の意思を伝える1つの方法として退職届には認印が最適とされています。
印鑑の種類 | 登録先 | 法的効力 | 用途 | 使用シーン |
---|---|---|---|---|
実印 | 市区町村役所 | 高い | 法的効力を持つ重要書類 | ・不動産契約 ・ローン契約など |
銀行印 | 銀行など金融機関 | 中 | 金融機関での取引 | ・口座開設 ・金融取引 ・各種手続きなど |
認印 | 特になし | 低い | 日常生活・ビジネスシーンでの確認等 | ・荷物の受け取り ・書類の確認 ・提出物 |
認印とシャチハタの違いは?
シャチハタ(シヤチハタ)はインキ内蔵型のスタンプ式印鑑を製造する会社「シヤチハタ株式会社」のゴム・天然樹脂で作られたハンコ(商標名)です。インクが内蔵されていることから朱肉がなくても手軽に使えるため、認印と同様に荷物の受け取りなど日常のさまざまなシーンで用いられています。
しかし、シャチハタのゴム印は認印とは異なり、印影が変形しやすく、同じ印影のものが広く出回っていることから本人確認にはふさわしくないとされています。また、朱肉と異なり、インクは時間経過によって薄くなることもあるため、長期保存される書類に使うには不適です。そのため、退職届でシャチハタを用いるのは控えましょう。
退職届の印鑑で失敗した場合の対処法
退職届の印鑑の押印で失敗した場合、状況別の対処方法を詳しく解説します。
印鑑が薄い場合
印影が薄かった場合は、訂正印と再押印で対処します。

絶対にやってはいけないのが、薄い印影の上に重ねて押印することです。印影がブレたり、にじんだりして、正しく押された印鑑として認められません。押印に失敗した場合は、失敗した印影に二重線を引いたうえで、訂正印と再押印という形で対応するようにしましょう。
印鑑が曲がった場合
退職届に印鑑を押す際、印鑑の向きがずれてしまい、斜めに押してしまうことがあります。そのような場合も、訂正印と再押印で対応できます。
多少の傾きであれば受理されることもありますが、退職届は最後に提出する正式な文書です。できる限りまっすぐ、ていねいに押印しましょう。
一部では「おじぎをしているように見えるから」として、あえて印鑑をやや左に傾けて押すケースもありますが、一般的な慣習ではありません。かえって不自然に見えることもあるため、ビジネス文書では避けたほうが無難です。
よくある質問
最後に退職届の印鑑についてよくある質問2つを解説します。
Q.1退職届の印鑑はシャチハタでもいいですか?
退職届の印鑑にシャチハタを用いることは避けましょう。
シャチハタはインクが内蔵されており、手軽に使えて便利な印鑑です。しかし、インクは朱肉と比べて劣化しやすいため長期保存に不向きであり、ビジネス文書には適していません。また、シャチハタはゴム製のため、印面が変形・劣化しやすく印鑑としての信頼性が低いと考えられています。そのため、公的な書類である退職届の印鑑としてシャチハタは適していません。
退職届には認印を用い、朱肉を使って押印しましょう。
Q.2印鑑を忘れてしまった場合、どうすればいいですか?
退職届に印鑑を忘れてしまった場合、会社の就業規則や慣習に従いましょう。
退職届は印鑑がなくても法的効力に影響はありませんが、就業規則で印鑑が必須となっている会社では印鑑なしの退職届は受理されません。そのため、印鑑を忘れたことに気付いた時点で担当者に速やかに連絡をして指示を仰ぎましょう。
印鑑が必須ではない会社の場合、印鑑がなくてもそのまま退職届が受理されるケースもあります。しかし、一般的なビジネスマナーとして本人の印鑑のない退職届はあまり印象はよくありません。後々のトラブルを防ぎ、円満に退社をするためにも、印鑑を押し忘れてしまった場合は担当者にその旨を申し出て、会社・担当者の判断に従うほうがよいでしょう。
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退職届に印鑑は法的には義務ではありませんが、本人の意思表明や退職届の信頼性の確保のために印鑑を押すのが一般的です。具体的には「1氏名の後の部分に押す2認印を用い朱肉で押印する3正しい向きで押す」のがポイントです。しかし、退職届の印鑑を不要とする会社や「自筆の場合は不要、パソコンで作成した場合は必要」という会社もあるため、印鑑が必要かどうかは事前に就業規則や担当者に確認しておくとよいでしょう。もし退職届の印鑑の押印で失敗してしまった場合は、訂正印・再押印で対応しましょう。
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