3DCGデザイナーのポートフォリオの作成方法やポイント、注意点を解説
ポートフォリオは単なる作品集ではなく、3DCGデザイナーとしてのスキルやセンスを採用担当者に効率よくアピールするための重要な資料です。魅力的で見ごたえのあるポートフォリオを作成することで転職の成功率を高めることができます。
そこで本記事では、3DCGデザイナーのポートフォリオが必要な理由と合わせて、おさえておくべき4つのポイントや作成ステップ、3つの注意点を解説します。
目次
3DCGデザイナーとは?
3DCGデザイナー(3D Computer Graphics Designer)とは、3Dグラフィックスを使って三次元(立体)の作品を制作するクリエイターのことです。
【3DCGデザイナーの主な工程】
- モデラー:キャラクターや建物などの3D形状(モデル)を作成する
- アニメーター:実際の動き(アニメーション)をつける
- その他:エフェクト・照明・カメラの設定など
3DCGデザイナーになるには専門的な知識やスキルが欠かせません。映画やアニメーション制作 に強い「Maya」、グラフィック制作の総合ツール「Blender」、ゲーム制作で多く用いられる「Unity」「Unreal」「3ds Max」などの専用ソフトを使いこなすスキルが不可欠です。また、具現化するにあたってクリエイティブな発想やセンス、表現力も必要です。さらに、3DCG業界は技術の進化やトレンドの移り変わりが早いため、常に学び続ける向上心も求められる仕事です。
3DCGデザイナーはゲーム・映画・アニメなどのエンターテインメント業界から建築・製品デザインといった産業分野、メタバース・XR(VR・AR・MR) など活躍の場もどんどん広がっている注目の職種です。またそのニーズも年々高まっており、3DCGデザイナーを目指す人も増えています。
【合わせて読みたい】
3DCGデザイナーのポートフォリオが必要な理由
3DCGデザイナーの転職にはポートフォリオの作成が不可欠です。自分の表現力やスキルを視覚的に伝える最も効果的な手段だからです。
ポートフォリオは、自分のスキルやセンス、そしてこれまでの実績を視覚的にわかりやすく伝える証明書のようなものです。採用担当者が知りたい情報について、ひと目で伝えることができます。
- どんな作品を作ってきたのか
- どの工程に携わってきたのか(モデリング・テクスチャ・アニメーション など)
- どのような個性(センス・作風・表現力)を持っているのか
また、ポートフォリオを作成する過程は、自分のスキルや方向性を客観的に見つめ直す機会にもなります。自分の作品について整理していくうちに強みや得意分野・ジャンル、まだ未熟な部分、伸ばすべきスキルなど自己理解が深まり、3DCGデザイナーとしての自分の軸を明確にすることができます。
3DCGデザイナーのポートフォリオで重要な4つのポイント
3DCGデザイナーのポートフォリオは、次の4つのポイントを必ず押さえて作成するようにしましょう。
クリエイティブがリアルタイムのものか否かを明確にする
3DCGの作品は、大きく分けると次の2つに分類されます。
- リアルタイムで映像が処理・表示されるもの(例:ゲームなどで、プレイヤーの操作に応じて即時変わるもの)
- あらかじめ計算・レンダリングされた映像や静止画などのプリレンダリング(例:映画やアニメのCG映像、静止画パースなど)
この2つは同じ3DCGであっても制作環境や必要なスキルセットが異なります。ポートフォリオの掲載作品がどちらかを明示しておくことで、専門性や得意分野、保有スキルを正確にアピールできます。
使用したツールを記載する
ポートフォリオは、作品ごとに使用したツール・ソフトウェアを明記しましょう。
3DCG制作にはさまざまな専門的なツールが使われます。
【3DCGデザイナーが使用する主なツール】
- Blender:モデリングからレンダリングまで幅広く対応できるフリーのソフトウェア
- Maya:映画やアニメ制作の現場で定番の総合3Dソフトウェア
- 3ds Max:総合3Dモデリング・アニメーションソフトウェア
- MotionBuilder:モーションキャプチャー編集や3Dアニメーション制作向けのソフトウェア
- ZBrush:デジタルスカルプティング(彫刻)に特化した3Dモデリングソフトウェア
- Unity:ゲームやXRコンテンツ制作の定番のリアルタイム3D開発エンジン
- Unreal Engine:高品質なグラフィックス表現に強みを持つリアルタイム3Dゲームエンジン など
採用担当者がすぐにわかるように、ポートフォリオの作品にはどのソフトを用いたのか必ず記載しましょう。得意なソフトや技術の幅、専門性をより正確にアピールできます。
デッサンを必ず入れる
ポートフォリオにはデッサンやスケッチ作品を必ず含めましょう。
3DCGでリアルで説得力のある形状を作るには形の認識力や再現力が不可欠です。ポートフォリオにデッサンを入れることで3DCGの基礎力(観察力や造形力、デザイン力)があることをアピールすることができます。
自分の担当領域・制作時間を明確にする
ポートフォリオの作品には、自分が担当した範囲や制作にかかった時間を明記します。
たとえば、「キャラクターモデリングを担当した(期間2週間)」「背景のテクスチャを1人で制作した。制作期間は約1週間」などを記載することで、自身のスキルや作品に対する貢献度、制作スピードについて正確に伝えることができます。
3DCGデザイナーのポートフォリオの作り方
次に3DCGデザイナーポートフォリオの作り方のステップを見ていきましょう。自分のスキルを効果的にアピールするには、ポートフォリオの構成も重要です。
自己紹介を記載する
ポートフォリオでは先に自分についての簡単な紹介文を入れましょう。
- 名前
- 得意な工程
- 主に使っているツール
- 学歴・経歴
採用担当者が最初に目を通す部分なので、わかりやすく簡潔に記載するのがポイントです。
パートごとに分類する
掲載作品は担当した企業順や制作時期順ではなく、パート(制作工程)ごとに分類しましょう。自分の実績やスキル、得意分野が採用担当者に伝わりやすいポートフォリオとなります。
【パート】
- モデリング
- テクスチャ
- リギング
- アニメーション
- エフェクト
- 照明
- カメラ
作品ごとにこだわった点や工夫した点などもひと言加えるとさらによいでしょう。
パート内の作品の掲載順位は自信のある順序
それぞれのパート内の作品は、時系列ではなく自信のあるものから順に掲載していきましょう。印象に残りやすい最初の部分に優先的に載せることで採用担当者にアピールしたい内容をしっかり見てもらえます。
自己PRを作成する
自分の強みを盛り込んだ自己PRを作成します。
たとえば「アニメーションでナチュラルなキャラクターの動きの制作に自信がある」「リアルで没入感のある背景や演出作りが得意」などポートフォリオ作成時に気付いた自分の強みについても書くことで、より説得力を持つアピールができます。
3DCGデザイナーのポートフォリオの注意点
3DCGデザイナーのポートフォリオを作成する際は次の3点に配慮しましょう。
1パートごとに5~6個ほど作品を掲載する
ポートフォリオには各パートごとに5〜6作品程度の掲載が理想的です。
作品が多すぎるとかえって見づらくなり、アピール力も落ちてしまいます。特に見てもらいたい作品を厳選して自信のある順に掲載しましょう。
2エフェクトかモーションであればデモリールを作成する
エフェクト・モーションなど静止画では作品の魅力が伝わりにくいものは、動きのあるデモリール(動画)で提出します。
ぱっと見ることができるように1~2分程度にコンパクトにまとめ、名前や使用ツールなども記載しましょう。
3著作権に注意する
プロとしての仕事への向き合い方や意識の高さを伝えるために、掲載作品に関する著作権や機密事項には十分に注意しましょう。
ポートフォリオは自分のスキルや実績をアピールするためのものであるだけでなく、信頼できるクリエイターであることを示すためのものでもあります。共同制作物の場合は自分の担当範囲を明記し、企業案件は公開許可を得るのが必須です。また、出典などもしっかり明記しましょう。
3DCGデザイナーへの転職をマイナビクリエイターが支援
本記事では3DCGデザイナーのポートフォリオについて、構成や制作ステップ、注意点について解説しました。ポートフォリオを作成する際は、「1クリエイティブがリアルタイムのものか否かを明確にする2使用したツールを記載する3デッサンを必ず入れる4自分の担当領域・制作時間を明確にする」の4点を押さえることで、あなたがどんなクリエイターなのか、採用担当者により伝わりやすいポートフォリオを作成できます。
3DCGデザイナーへの転職を検討している方は、クリエイター専門の転職支援サービスであるマイナビクリエイターにお気軽にご相談ください。経験豊富なキャリアアドバイザーがしっかりサポートいたします。ポートフォリオ作成時には採用のプロがつくったポートフォリオサービスMATCHBOXもぜひご活用ください。