転職活動は自分自身のプレゼンの場。シンプルで確実に相手に伝わるポートフォリオを ―― 清水彩さん(26歳・女性)
クリエイターがポートフォリオで表現したいと思うことは様々だ。自分の実力を理解してもらいたい、自分の才能を感じて欲しい、自分の仕事への思いを表現したい。転職活動においては、それらすべてが正解であり、不正解である可能性もはらんでいる。今回インタビューに登場いただいた清水さんはポートフォリオづくりにおいて、これまでのWeb制作の経験に基づいて徹底して「シンプルでわかりやすい」ことを目指したとのこと。彼女の一連の転職活動を振り返って、転職成功の理由を探ってみよう。
プロフィール紹介
清水彩さん
Webディレクター
大学では商学部マーケティング学科を専攻。趣味で絵画教室に通い油絵を描いていたが、個展で作品を販売したことをきっかけに、作品づくりで対価を得る仕事に就きたいと感じるように。大学卒業後、通販事業会社に入社し、アパレルとホテル事業のWebサイトの制作を担当した。経験に合わせてWebデザイナーからWebディレクターへと仕事内容をシフト。さらに大きな市場規模のフィールドでダイナミックな仕事をしたいと考え、人材関連大手にWebディレクターとして転職。
成果があってこそのクリエイティブ。もっと市場規模の大きなステージで活躍したい
―― この度はインタビューにご協力いただきありがとうございます。まずは清水さんのこれまでのお仕事について教えてください。
清水さん:新卒で通販会社に4年間勤務しました。入社から2年間はWebデザイナーとして、後半の2年間はWebディレクターとしてWebサイトの制作を行っていました。担当していた領域もWebデザイナーの期間とWebディレクターの期間で違い、前半はアパレルで後半はホテル事業でした。
―― Webの世界に入ったきっかけは?制作のスキルはどうやって身に付けられたのですか?
清水さん:私は商学部マーケティング学科の出身で、Webの制作に関するスキルはほとんど通販会社へ入社した後に身に付けました。クリエイティブの仕事をやりたいと思ったきっかけは、大学時代に趣味で油絵を描いていて、個展を開いて絵を売ったりしていたんですが、これが意外と売れまして。自分の作品が評価され、それが報酬につながることに喜びを感じました。そして大学でマーケティングを学んだことからも、「ものを売る」という成果がはっきり見える仕事に魅力を感じていました。だから通販会社でのWeb制作という、「ものづくり」と「ものを売る」という2つの面をあわせもった前職を選んだのです。
Webデザイナーとして働いた最初の2年間でPhotoshop、HTML、CSS、JavaScriptなどのWeb制作に必要なツールは一通り扱えるようになりました。それでアパレルECサイトでのデザイン制作、コーディング業務に取り組みました。次はアパレルからホテル事業へと異動になって、Webディレクターに。デザインに加えてGoogle Analyticsを使ったデータ分析のスキルも身に付け、ワイヤーフレームの作成、アクセス解析等、PDCAサイクルを回しながらの運用全般を行っていました。Web広告運用などのプロモーションにもタッチしていました。
―― これまでのお仕事の成果や、清水さんの仕事のやり方について教えてください。
清水さん:いまも最初のワイヤーフレームは紙に描くくらい、私のデジタルなスキルは高いほうではありません。でもお客様に「ものを買ってもらう」ということへの意欲は強くて、どうすればお客様の注目を集められるか、どうすれば商材の良さがお客様に伝わるかを常に考えてデザインやディレクションを行っていました。その執着の甲斐があってか、最終的には70名ほどのメンバーの中で、去年から今年にかけて1年間ずっとトップの成績を獲っていました。やはりWeb制作の仕事はダイレクトに結果が返ってくるのがやりがいになりますね。
―― 順風満帆とも思える清水さんのこれまで職歴ですが、転職しようと思ったきっかけは何ですか?
清水さん:私はやはり数字を追いかけるのが好きなのかも知れません。ホテル事業では、良い成績を収めることができましたが、ホテル自体が日本のどこかの地域にあるものなので、どうしても対象が局所的で成功にも限界があります。もっと全国を舞台に大きな市場規模の仕事がしてみたいと思ったのが転職の最大の理由です。また、社内でトップを走れるのはうれしいことではありましたが、「これで満足していいのか」という思いもありました。これまでとは違うビジョンで仕事をしたい。もっと成長できる環境で自分を試したいというのが私が留まるか転職するかについて出した結論でした。
No.1ではなく、No.1を目指せる企業で働きたい。その企業の持つ熱量で入社を決意
―― 転職先の業界は特に限定されなかったと聞きましたが、どんなところを基準に応募する企業を決められたのですか?
清水さん:私の転職活動はマイナビクリエイターと、もう1社の転職エージェントに登録して、企業を紹介してもらう形でスタートしました。最初に転職の条件を聞かれるのですが、私は業界はあまり限定せず「No.1を目指せる企業」という条件を入れて応募する企業を探してもらっていました。Web制作で、アパレル、ホテルと経験して、どんどん仕事が面白くなっていましたので、そのままや後戻りではなく、次の扉を開きたい。そう思って転職先を探していました。
―― 入社を決められたのが人材関連の大手で、他にSNS大手からも内定を獲得されていたとのことですが、決断はどのようにされたのですか?
清水さん:人材関連もSNSも市場規模がとても大きく将来性があります。それぞれ私の希望通り「No.1を目指せる企業」でしたので、採用フローをクリアしながら、最後まで悩みました。最終的に人材関連企業に決めたのは、面接をしていただいた方々の熱量でした。その会社は人材関連企業の中では老舗です。でも大きな変革を繰り返していて、伝統を持ちながら常に新しいことにチャレンジする気風を持っています。そんな会社のモチベーションが面接でも私に強く伝わってきました。転職はやっぱり相思相愛がベストだと思います。私により強い関心を示してくれた人材関連企業に転職を決めました。
残業は悪。だったらポートフォリオづくりに時間を掛けるのもおかしい
―― 転職活動で困ったり、悩んだりしたことは他にありませんでしたか?
清水さん:特に思いつきませんが、敢えて挙げるとしたらポートフォリオづくりでしたね。転職活動においてポートフォリオがあったほうがいいことはわかっていましたが、できれば作らずに済ませたいと言うのが私の本音でした。だから私は担当のキャリアアドバイザーさんに「ポートフォリオなしじゃダメですか?」と相談してみたんです。すると、「転職の可能性を広げるためには必ず作ってください」と言われました。そして『MATCHBOX』を使ってポートフォリオを作ることを勧めてもらったんです。
もちろん転職活動で日常の業務プラスアルファのことをしなければならないのはやむを得ません。でも私にとってポートフォリオづくりは仕事の延長のように思えて、作ろうとすると残業をしているような気分になるんです。仕事をする上で「残業は悪」だと思っていた私はなんとかポートフォリオづくりをパスしたいと思っていました。
―― 『MATCHBOX』でのポートフォリオづくりも大変でしたか?
清水さん:いやいやながらサイトをのぞいて、他のクリエイターが作ったポートフォリオの見本を見てみました。すると自分が応募する企業に見せるべきポートフォリオが簡単にイメージできたんです。『MATCHBOX』はWeb制作のスキルを持っている人なら誰でもちょっと肩すかしに感じるほど、簡単にポートフォリオができてしまうのではないでしょうか。どのコンテンツを載せるかは私の中で決まっていましたので、実質の作業時間も2時間ほど。その短い時間で応募する企業に見せられて自分も納得できるポートフォリオを作ることができました。
自分の思い入れよりも見る人にシンプルに「伝わる」ものを。Web制作と同じ流儀でポートフォリオを作成
―― どんなテーマでポートフォリオづくりを行ったのですか?
清水さん:大切にしたのは採用担当者が「このポートフォリオをどのように見るか」というところでしたね。それはこれまでアパレルやホテルで行ってきた集客、販売の手法と同じです。このポートフォリオを評価してくれる人が、どこを見てどんな情報を得ようと考えるのか。入り口から出口=結論までの道筋をしっかり作ることを考えました。私は今回のポートフォリオに2つのコンテンツを載せました。2つのコンテンツの内、立ち上げからフルで携わったコンテンツのほうが思い入れは強かったのですが、ビジュアルでのインパクトが強く、データ的にも昨年対比で大きな効果を出せたもう一つのコンテンツのほうを1番目に配置しました。私は応募書類の作成や面接など転職活動自体が自分自身のプレゼンの場だと思いました。自分が自分をどう思っているかではなく、どうすれば自分の中身を相手に理解してもらえるか考えてポートフォリオを作ったのです。
―― 今回の転職が成功した理由は何でしょうか?ポートフォリオへの採用担当者の反応はいかがでしたか?
清水さん:応募書類として先に提出しましたし、面接にも紙のポートフォリオを持参していたのですが、実は面接でポートフォリオについてあまり質問は出なかったんです(笑)。ただ評価が良くなかったというのではなくて、クリエイターとしてのスキルはポートフォリオを読むだけで理解いただけたということのようでした。その分面接では、その会社の説明や、私が入社したらどんなことをやってみたいかという質問を多くいただきました。ポートフォリオも前向きに取っていただけたことは反応でわかりました。時間こそ掛けませんでしたが、目的に沿った見やすくわかりやすいポートフォリオを作れたことが、今回の転職成功の大きな要因になっていると思います。
―― 最後にこれから転職しようと考える皆さんにポートフォリオについてメッセージをお願いします。
清水さん:私はポートフォリオづくりをこれまでの自分が行ってきたWeb制作と重ね合わせて取り組みました。「自分を表現する」などという壮大なテーマに取り組むと、ポートフォリオはどこから手をつけていいのかわからなくなり、私と同じようにパスしたいと考える人もたくさんいるのではないでしょうか。しかし、私はこれまでに作ってきたサイトやコンテンツのように、見る人に「これだけは知って欲しい」「この良さだけは感じて欲しい」という部分をシンプルに伝えることを目標にすることで、ポートフォリオのイメージをすぐに固めることができました。迷ったら、まず応募する企業に見せたい最初のひとコンテンツだけ、『MATCHBOX』を使ったポートフォリオを作ってみるといいと思いますよ。そこから自分の転職に必要なポートフォリオの完成形が必ず見えてくるはずです。
担当のキャリアアドバイザーからひと言
清水さんの第一印象は明るく、にこやかで非常に人あたりの良い方で、その上強い芯を持っている方でした。どのような環境であっても成果を出してトップを走りたいという強く前向きなマインドをお持ちで、私も胸を打たれました。
清水さんは転職活動を初めたばかりで、ポートフォリオがありませんでしたが、Webデザイナーとしての実績をお持ちでしたので、ポートフォリオを用意した方がこれまでの成果が目に見えると思い、弊社のポートフォリオ作成ツールである「MATCHBOX」をオススメいたしました。また、業界問わず「No1を目指せる会社」でWebディレクターとして躍進することを目標としていたため、会社規模を問わず様々な企業様を紹介いたしました。
面接に進んだ段階や面接の後も小まめに連絡を取り、面接のポイントや面接後の評価を共有したり、清水さんから疑問をいただいて企業に確認をしたりと、密にやり取りができたことも今回成功した一因だと思います。
そして、清水さんのこれまでのスキルと熱意を高く評価されて複数の内定を獲得し、どこを選ぶか最後の最後まで悩まれていたとき、私も一緒に悩みましたが、最終的には清水さんが大切にしている最上志向のマインドを活かせる人材系の企業をオススメいたしました。清水さんの今後のご活躍を心から応援しております!
この記事を書いた人
マイナビクリエイター編集部は、運営元であるマイナビクリエイターのキャリアアドバイザーやアナリスト、プロモーションチームメンバーで構成されています。「人材」という視点から、Web職・ゲーム業界の未来に向けて日々奮闘中です。