20代のゲームプロデューサーが理想のキャリアを築くために実践すべきこと

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以前よりも、日常的に完成度の高いゲームに触れる機会が増えた背景もあり、20代でゲームプロデューサーを志す人がかなり増えました。しかし、ゲームプロデューサーという肩書きがついたからといって、ただ作りたいゲームを作ればいいというわけではありません。個人の趣味やインディーズでも開発できる近年のゲーム業界で、ゲームを作る以上はヒット作を生み出すことを求められています。 そのためには、多くの人の力を結集して、ひとつのゲームを創り上げていくことが重要になります。そして、ゲームプログラマーやゲームプランナー等のスタッフを集め、旗振り役を担うのが、ゲームプロデューサーという仕事です。

本記事では、20代のゲームプロデューサーが、今後キャリアを積みながらヒット作を生み出し続けていくにあたり、今のうちに経験しておきたいこと、知っておくべき事を解説していきます。

20代のゲームプロデューサーが歩むべきキャリア形成について

最初はだれもが未経験者です。いきなり20代で、ゲームプロデューサー業での採用もありますが、現場を知らない未経験者がいきなりゲームプロデューサーとして辣腕を振るうことは、かなり稀です。まずはアシスタントやゲームプランナーの仕事を経験し、少しずつ現場を知りながら...、ゲームプロデューサーに、というケースがほとんどでしょう。

では、まだ駆け出しの新人が順調にキャリアを積んでいった場合、どのようなキャリアパスがあるか考えてみましょう。

ゲームプロデューサーの想定されるキャリアパス

想定されるキャリアパス

キャリアが積まれればその分、年収に跳ね返ってきます。通常業務でも円滑化が図れて、コンスタントにゲームをリリース出来るようになれれば一人前のゲームプロデューサーです。しかも、携わったタイトルがヒットするようなことがあれば、社内でも実力を認められ、ぐっと年収が増えていきます。また、ヒットした作品を足がかりに、転職や起業という道も見えてくることでしょう。そういった意味で、ゲームプロデューサーは、成果でキャリアを形成できる(逆に言えば、成果にキャリアが直接左右されやすい)職種と言っても良いでしょう。

20代のゲームプロデューサーがゲーム企画で抱えがちな悩み

20代のゲームプロデューサーで、まず出てくる悩みといえば、「ヒットタイトルが作れない」ということではないでしょうか。専門学校のプロデューサー養成コースなどでも、カリキュラムの中にヒット作を出そうという講義はあっても、ヒット作を出す方法までは教えてはくれないものです。「こう作れば、ヒットする」という決まった方程式はなく、企画を練って、練って、アイデアを膨らませて、熟考を重ねた上でもヒットするとは限りません。ゲームに盛り込んだアイデアが「今の時代」にマッチできたかで変わっていきます。理想は今より半年先に流行るものが如何に取り入れられるかどうかと言われています。

半年先といわれる理由は、今よりほんの少し新しくて、リリースして浸透し始めた頃にそれが受け入れられた際、先行者優位でヒットする可能性があります。もちろん、半年先というのはリリースの半年先ですので、制作開始時ではもっと先をみている状態です。その半年先を知るには、どれだけ世の中の情報にアンテナを張っているかが重要で、それを新しいゲーム企画に反映できるかが鍵です。昨今のゲームユーザーの裾野はだいぶ広がって、年齢層的にはかなり幅があるかと思いますが、それでも時代を引っ張っていくプレイヤーの中心は20代です。その中心的立場である20代ならではの企画を出し合って、議論することが大切です。

半年先の流行を見越したゲームの企画・開発 またよく聞く悩みに「このままでいいのか解らない」ということがあります。ビックタイトルを持っているゲームメーカーで働いている人は、続編をどう扱っていくかというのが悩みの種ですし、中小のゲームメーカーで働いている人は、いい企画を出せても様々な制約で実現できないということに悩んでいるかと思います。会社によって状況は違っても、それぞれの立場で起こるしがらみや制約の中、このまま続けて大丈夫かと考えがちになります。

しかし、そういう点において、20代のゲームプロデューサーは有利です。人間の形成と同じで、人間の感情というものは20代で形成されます。これは仕事に対しても同じ事で、20代の頃に仕事に対してどれだけ考え抜いたかどうかが、その先の30代や40代に繋がります。

悩みの解決方法は人それぞれで、決まったマニュアルのようなものはありません。現在直面している悩みこそが、将来飛躍するあなたの糧となります。だからこそ、20代のうちに多くの事を考え、仲間と議論をし、深く考えることこそが、マニュアル通りではできないような、クリエイティブなものを生み出す原動力になります。

20代のゲームプロデューサーが30代を迎えるまでに実践すべき事

ゲームプロデューサーは進行管理が一番の仕事

ゲームプロデューサーというと、一般的なプロデューサー同様、人を集めたり、スポンサーやお金を集めたり、取引先を集めたりと、なにかと動き回る仕事が多いように思うかもしれませんが、一番重要な仕事はゲーム開発のマイルストーンを敷いて、どのように制作を進めていくかを考える事が仕事です。

ゲーム仕様書、システム設計書、シナリオやキャラクターデザイン、イラスト制作など、作業している人は多岐にわたります。それらは分野別や項目別に細かくマイルストーンとして表に落とし込み、全体のスケジュールを把握できるようにしておく必要があります。

マイルストーン見本 一例では、縦列にジャンルや項目、担当者や内容を記し、横の列には日時を入れます。誰かの作業が終わらないと次の作業に入れない人がいますので、ここがゲームプロデューサーとして一番調整力が求められます。しかも、クリエイターや協力会社は、今自分が進行しているゲーム以外にも仕事をしている事があります。そのため目の前のスケジュール以外のスケジュールも把握しながら進めなければならないことが多々あります。

クリエイターや協力会社との折衝などで、人と会う機会も多くなります。20代の頃は上司のゲームプロデューサーから指示された通りに動くだけでなく、自分なりに改善点を見いだし、スケジュールを調整できるかでゲームプロデューサーとしての手腕が問われるでしょう。

プラットフォームによってプロデュース方法は変わっていく

黎明期から現在までのプロデュース方法 ゲームをリリースする方法は時代と共に変化しています。ゲーム黎明期は遊技機でゲームセンターなどに遊びに来て、その場でお金を払って遊んでもらっていました。やがて、家庭用のコンシューマーゲームやパソコンゲームなど、ユーザがハードウェアを所有しソフトウェアを購入して遊ぶようになります。その後、携帯電話で「最初は無料」というゲームが流行し、今はその流れを汲んだアイテム課金タイプのスマートフォン向けのアプリが主流となっています。時代の変遷でリリース方法が変わり、プロデュース方法も変わってきています。しかし、遊技機や、コンシューマーゲームを好む層もそれなりにいるため、上記のリリース方法はどれも健在です。

遊技機に対しては、あまり長時間プレイすることは考えず、その場で楽しめるような仕組みが求められています。コンシューマーゲームのように販売するゲームの場合は、ある程度長時間のプレイも想定されるボリュームのあるゲームが求められるようになりました。遊技機は都度お金を投入してプレイしてもらうスタイルですが、購入型のゲームの場合は、メーカーとしては購入された時点で完了です。遊技機は如何に何度もプレイしてもらえるようにするかが鍵で、コンシューマーゲームはいかにユーザにゲームを購入してもらえるようにするかが鍵となります。そのためコンシューマーゲームは、「購入してくれたらこんなに楽しいよ」という要素を前面に打ち出し、ユーザの購買欲をどれだけ煽れるかがゲームプロデューサーに求められるのです。

そして今の主流、アイテム課金タイプのスマートフォン向けゲームの場合は、ゲームのインストールは無料、プレイするのも無料、有利にゲームを進めるためには課金してもらうという方法を使っています。コンシューマーゲームの場合、1本購入するには数千円かかります。これは莫大な制作費を多くの人から均等に回収するために決められた設定金額です。しかし、ユーザからみたらどういったゲームか判らないものに、ぽんと数千円出せないという人も少なくありません。そこでスマートフォン向けアプリゲームの場合は、ユーザがゲームを手に取る敷居を低くして、気に入ったら課金して下さいというスタイルになっています。

売り切りタイプと違い、スマートフォン向けアプリゲームは、KPI(Key Performance Indicator:重要業績評価指標)として、「継続率」や「課金率」などが重要視されます。初期にどれだけリソースを突っ込めるか、普段の運用でいかにユーザを引き留めていられるかというプロデュース力が期待されることになります。

どうしたら人とお金を集められるかを理解する

まず、ゲームディレクターを選ぶ必要があります。時に、ゲームディレクターとゲームプロデューサーの違いが混同してしまうことがあるかもしれませんが、開発し、いいものをつくるのがゲームディレクターで、ゲームプロデューサーはゲームディレクターの上位にいるようでなければなりません。そして、ゲームを作るのに必要なシナリオライターなどをアサインしていくのもゲームプロデューサーの仕事です。

ゲームプランナーが考えるゲーム設計や、ゲームプログラマー、インターネットを介したゲームならばサーバエンジニア、視覚的に満足させられるゲームデザイナーなどのスタッフィングを行っていきます。ゲームプロデューサーとして、このスタッフィングが一番大変です。開発に周知して、興味を持続させなければなりません。さらに制作発表会をやって、世間にも興味を持ってもらう必要があります。このやり方は、映画業界と同じです。

ゲーム業界は大きそうに見えていますが、実はわりと狭い業界です。人を集める方法は、縁故に頼ることが少なくありません。いまはまだ20代でアシスタント的にクリエイターや協力会社の間を繋ぐような仕事ばかりだったとしても、そういった縁を大事にすることで、いざ自分がゲームプロデューサーとして前に立ったとき、助けてくれる人が必ず見つかります。すぐに見つからなくても、紹介してもらえる機会も多く出てくることでしょう。展示会や交流会にも足繁く通い、顔と実績をアピールしておくことも大事です。そういう地道な行動が、いずれ大きな力となります。人は財産であり、人集めと、資金集めは同じ比重を持っています。

マーケティングは今を理解してからが本番

企画の中には「これが作りたいから!」という強い意志で動き出すものがあります。ずっと温めていた企画のネタがある、という方もいることでしょう。創りたいという、熱い気持ちがユーザに受け入れられてヒット作に繋がることは確かにあります。しかし、自分が好きだからといって、ユーザーに受け入れられるとは限りません。つまり、「好きなもの」と「売れるもの」が異なる場合に、ゲームプロデューサーが頑なになってしまってはヒットのチャンスを逃してしまいます。そこは企画を多くの人と意見をぶつけ合って、よりいいものを送り出して下さい。

そして、マーケティングをしていて陥りがちなのが、「こういうものが売れている」「こうしたら売れるかも」で作ってしまうケースです。マーケティングしたからこその結論という場合があるかもしれませんが、それは「今だから売れている」であって、「今から制作してリリースするときも売れるとは限らない」ことを忘れてはなりません。最初にもお話ししたように、ゲームプロデューサーとしていかに「半年先」を見据えた作品が作れるかどうかです。常にマーケティングを見ていればこそ、次の新しい潮流が見えてくるはずです。

ゲームプロデューサーとして20代から「ゲームの本質」について考える

キャリアパスに沿ってキャリアを積んでいくために、新しい職場へ転職していくことはよくあります。各社で方針や手順は様々あったとしても、共通して言えることは「なにか面白いものを作る」という信念です。新しい環境へ移った際には、前の会社のしきたりに捕らわれず、今の会社を理解できるかどうかで転職後に成功するかが決まります。

ゲームプログラマーの転職だとどの言語が使えて、どのツールが使えますという明確なポジションが見えますが、ゲームプロデューサーはそのようなツールに縛られることはありません。どれだけ人や資金を集められるか、そのバックボーンを持っているかです。最低限、転職するのに持っておきたい知識として、工程管理、外注の出し方・開発工程を出してスケジュール管理が出来る等の、業界としての共通言語ぐらいです。

それよりも20代のまだ駆け出しゲームプロデューサーは、「究極のゲームとは何か」をとことん突き詰めておくと、後々必ず役に立ちます。面白いゲームかどうかを判断できるようになるには、ゲームの本質を理解できるようにならなければなりません。

そこで、20代の頃にやるのは、ゲームの本質を常に考え続けることではないでしょうか。 例えば、カテゴリー別にゲームを全部分類してみます。グラフィック性で分ける、シナリオで分ける、オープンマップなのかなど、自分なりの方法で組み立ててみてみましょう。人がまとめたもので済ましてしまったら、その枠に納まってしまい、あなたならではのプロデュースが出来ません。是非自分の考えたカテゴリーで分類してみて下さい。すると、これからの流行のスポットが見えてくることでしょう。

まとめ

20代でゲームプロデューサーが実践すべき事の流れをここまで解説してきました。いかがでしたでしょうか。ゲームプロデューサーはなろうと思えばなれますが、どれだけ思想を持ってプロデュースできるかで数年後のキャリアは全く違うものになります。先にある流行を踏まえて企画を練り、開発資金を集め、スケジュール管理やメンバーアサインなど、やる事は本当に幅広いですが、自分の生み出したゲームが多くの人に迎えられて、ヒットした時の嬉しさは、ゲームプロデューサー冥利に尽きることでしょう。

どんな状況でも、ゲーム作りを楽しもうとする気持ちが大事です。束ねる立場の人が苦い顔をしてばかりでは、指示を受けて作るスタッフも悩んでしまいます。いいゲームをプロデュースするために苦労は付き物ですが、楽しむ気持ちを忘れずにいることが、ゲームプロデューサーとして理想のキャリアを積む上で重要となることでしょう。

この記事を書いた人

マイナビクリエイター編集部

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