エフェクターとは - 3DCGデザイナーのエフェクターが担う役割を詳細解説

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3DCGデザイナーが担うポジション、エフェクターについて解説します。

3DCGゲームには様々なジャンルがあり、ゲームの中でキャラクターや背景、ゲーム音楽などゲーマーが注目するところも人それぞれです。ですが、3DCGデザイナー業務の中でかなり重要なポイントにもかかわらず、あまり注目を浴びないパートがあります。それはゲームのエフェクト効果。ビーム兵器や魔法攻撃で使われる光線の表現ひとつとっても多種多様、また爆発表現も大きいものから小さいものまであります。さらには打撃時の衝撃波なども、ゲーム性や迫力、爽快感を演出するには欠かせない存在です。

今回は3DCGデザイナーの中で、上に述べたようなエフェクト効果を担当するエフェクターというポジションについて解説していきます。なお、エフェクターと同様に、3DCGデザイナーが担うポジションのモデラーについては、「モデラーとは - 3DCGデザイナーのモデラーが担う役割を詳細解説」でも紹介していますので、ご興味のある方は、併せてご覧ください。

3DCGデザイナーにおけるエフェクターの仕事内容とは

3DCGデザイナーのエフェクター担当は、文字通りゲーム中の様々なエフェクト効果をつけていく作業を担当します。3DCGのゲーム、2DCGのゲームに関係なく、かつてはエフェクト効果の程度によっては、主にゲームプログラマーが行っていたため、3DCGデザイナー班の中からエフェクターという専任担当者を決める事は少なかったのですが、ゲーム開発の規模が大きくなるにつれて、その専任性が重要視されるようになってきました。

エフェクターが作成する効果の種類は実に様々で。中でも重要になるのは「攻撃時の効果(プレイヤーにとって有利な状況)」、「ダメージ時の効果(プレイヤーにとって不利な状況)」の2つで、ゲームとしてプレイヤーに伝えなければならない最も重要な部分のインタラクティブ性を効果的に演出をするためのエフェクト効果です。幾つかのゲームジャンルに合わせて、3DCGデザイナーのエフェクター担当が行う作業場の中点を具体的に説明していきます。

シューティングゲームの場合

シューティングゲームの中で、エフェクトが使用される箇所は下記4か所が一般的です。

  • 縦スクロール
  • 横スクロール
  • FPS型(First Person shooter)
  • クォーター・ビューなど、その他の視点

移動画面の4種類 エフェクターに限らず、そのゲームの世界観を大事にした作りにすることは3DCGデザイナーとして重要な留意点ですが、シューティングゲームで攻撃目標が被弾した際のエフェクト効果はとくに気を遣うべきところです。爆発の煙の出し方、爆発光の形、飛び散る破片の量や方向など、ときには物理法則を無視したようなエフェクトも効果的な演出になることもあるでしょう。

シューティングゲームの場合、プレイヤーが一番よく目にするエフェクト効果(特に敵を破壊するエフェクトなど)の出来次第でそのゲームのセールスに影響が及んだりすることさえありますので、エフェクターはとても責任のある業務です。「ただの爆発」と軽く考えないで、いろんなパターンの「被弾による爆発」を考えてみましょう。3DCGデザイナーのエフェクターを目指す上でいいトレーニングになるかもしれません。

対戦格闘ゲームの場合

対戦格闘ゲームの中で、エフェクトが使用される箇所は下記3か所が一般的です。

  • 攻撃ダメージの強弱
  • 必殺技の使用時の効果
  • 決着時の画面

対戦ゲーム画面 ここで3DCGデザイナーのエフェクターが一番気をつけるべき点は「攻撃ダメージの強弱」と「必殺技の使用時の効果」でしょう。「攻撃ダメージの強弱」は浅いヒットだったのか、深いヒットだったのかがプレイヤーにハッキリ分かるエフェクトが理想です。もちろん、そのときのキャラクターのポーズも理解していないとエフェクトが付けられないので、エフェクターはモーション担当との連携が必要になります。「決着時の画面」に至っては完全に勝負が決着したということをプレイヤーにアピールする意味からも、派手な演出が必要になるところでしょう。

RPGやアドベンチャーなどの場合

RPGやアドベンチャーゲームの中で、エフェクトが使用される箇所は下記3か所が一般的です。

  • 様々な攻撃、回復などのエフェクト効果
  • プレイヤーがレベルアップするときのエフェクト効果
  • ストーリー展開上の要点でのイベントでのエフェクト効果

様々な攻撃・回復エフェクトや、プレイヤーがレベルアップするエフェクトは、ゲーム進行上かなり頻繁に目にする部分ですので、エフェクト作成では気を遣う部分です。RPGではゲーム中の効果で「攻撃」と「回復」など、明らかに正反対の表現が存在しますが、プレイヤーに対して「これは攻撃」「これは回復」とキチンと認識させられる効果をデザインする必要があります。

プレイヤーや登場キャラクターの攻撃、回復魔法のレベルアップなどはRPG定番のゲームシステムなので、1種類のエフェクト効果でもレベルの違いに応じた複数のエフェクトを作る必要があります。そこで注意しなければならないのが、エフェクトの使い分けです。ステータスアップのバフ・デバフなどのシーンで、ダメージを受けたり、HP回復するエフェクトを使いまわすことは避けなければなりません。エフェクトは、それ自体が判断材料として大きな意味を成す場合があります。視覚効果だけと思わず、実装するシーンを見極めて設定する必要があるのです。(ゲーム演出によっては、シーン効果でダメージ・回復を行う場合もあるので、例外もあります。)

シーン別のエフェクトについて

エフェクターがダメージや回復をアピールする場合に重要になるのは「エフェクト効果の色」でしょう。禍々しい色をエフェクト効果にすればプレイヤーに対して「これはダメージを受けるタイプのものだ」とアピールできますし、神々しい光を意識したエフェクターの色なら回復系の効果をプレイヤーに意識させることができます。

効果エフェクトのカラー

国によって変わるエフェクトの色について

余談ですが、ゲーム開発では日本国内向けばかりでなく海外向けのものも同時に、または後から開発する場合がありますが、このときに3DCGデザイナーおよびエフェクター担当が気をつけたいのは国によって色による効果のイメージが多少異なるという点です。これらの具体的なことはゲームの3DCGデザイナーであっても一般的なグラフィックデザインなどの専門書を紐解いてみるのもいいでしょう。

3DCGデザイナーのエフェクターが手掛けるスキル

3DCGデザイナーのエフェクター担当が駆使するスキルを、ここでは大きく「3DCGエフェクト」と「2DCGエフェクト」の2つに分けて説明します。「3DCGゲームだからエフェクトも3DCGでなければならない」ということではありません。それぞれにメリットとデメリットがあり、そのとき必要になるエフェクト効果ごとに判断されて使い分けられます。もちろん、これはゲームプランナーが判断すること部分なので、3DCGデザイナーやエフェクター担当の仕事ではありません。

また、最近のゲームでは画面エフェクト効果の「派手さ」を最重要視することが多くなったようにも見受けられます。この辺の感覚は、日本国内産ゲームと海外産ゲームでプレイヤーに好まれるポイントの違いが観られることもありますので、研究してみると面白いでしょう。

エフェクターが手掛ける3DCGエフェクトスキル

3DCGエフェクトの最大のメリットは、360度どのカメラアングルからの視点にも対応できるということです。例えば、岩が爆発するエフェクトで、爆発している最中にカメラが回り込むような動きをしても、飛び散る破片の軌跡は変わらないので、迫りくる破片を立体的に見ることができ、高い臨場感を演出することができます。

ただ、これは見て楽しむだけの映像作品ではなく、インタラクティブ性のあるゲームでのエフェクトであるということに留意すべきです。つまり、あまりに派手に岩の破片を飛び散らせた爆発の演出にすると、キャラクターに破片の岩が当たってしまうように見えたときの対応を考えなくてはならなくなることです。これらはゲームプランナーの判断によりますので、むしろ3DCGデザイナーのエフェクター担当は、ダメージを「受けるのか」「受けないのか」のどちらかの要求に対応できるような工夫が求められるでしょう。

3DCGエフェクトの構造

エフェクターが手掛ける2DCGエフェクトスキル

こちらも爆発のエフェクト効果で説明してみましょう。3DCGゲームであっても2DCGエフェクトは重要な役割を持ちます。3DCGゲームで2DCGのエフェクトを使うと、カメラ視点が変わったときにそれが平面であることがバレてしまうと思われるかも知れませんが、カメラ視点に対して常に正面を向くように2DCGエフェクト画像を配置することができます。

これだとどんなにカメラが動いてもそのエフェクト画像を斜めから見るようなことにはなりません。ただ、かなり派手にカメラを動かす必要があるときは3DCGのときと違って、爆発のエフェクトは一方向から見た映像のままカメラに付いていくことになります。なので、あまり尺の長いエフェクトや、岩の爆発などの破片が飛び散るような効果には向いていないでしょう。打撃のヒット時などの衝撃波などには破綻なく使えると思います。

また、2DCG画像としての本来の効果(例えば漫画的なフラッシュ光など)が期待できるということもあるでしょう。さらにこの理屈では実写映像も使うことが出来るので、リアルな爆発をゲーム画面に表示させることが可能になります。欠点としては、連番ファイル構成されたアニメーションになりますので、そのアニメ尺分のファイルを用意しておかなければならないということです。

ここでは簡単に2DCGのエフェクトについて触れましたが、2DCGデザイナーの他の役割などが知りたい方は「2DCGデザイナーとは - 4つの役割とキャリアアップについて詳細解説」で詳しく解説しているので、ぜひ併せてご覧ください。

3DCGデザイナーのエフェクターが扱うソフトフェア

最近のゲーム開発に『Unity』や『Unreal Engine』などのゲームエンジンは3DCGデザイナーにとって欠かせない存在になりました。3DCGデザイナーのエフェクター担当が行う各種エフェクト効果はこれらゲームエンジン内で作成することも多くなりましたが、これ以外にもソフトウェアが幾つか存在します。ここでは、3DCGデザイナーのエフェクター担当が良く使うソフトウェアを紹介いたします。

BISHAMON

BISHAMON 画面

参照:BISHAMON

『BISHAMON』はエフェクター専用のソフトウェアで、3DCGで爆発煙や炎、衝撃波などをポリゴンベースで作成することができます。様々な効果を3DCGとして作ることが出来るので、回り込むようなカメラ視点からのビューにも対応した効果が可能です。もちろん『Unity』や『Unreal Engine』などのゲームエンジンにも対応しています。

PopcornFX

PopcornFX 画面

参照:PopcornFX

『PopcornFX』もエフェクター専用のソフトウェアです。3DCGエフェクト表現に優れており、『Unity』や『Unreal Engine』などゲームエンジンにも対応。スクリプト作業が必須であるなど、ゲームプログラマーとの連携が重視されています。花火や砂嵐、水しぶきといったパーティクル(粒子)のエフェクトを作成するのに優れています。

Adobe AfterEffects

Adobe AfterEffects 画面

参照:Adobe AfterEffects

本来は動画素材の画像補正や合成、各種エフェクター効果の追加に使われるソフトで、簡単に説明すると「動画用のPhotoshop」と言うと分かりやすいでしょうか。正直なところ、3DCGデザイナーが必須とするソフトフェアという視点からすれば、前述の『BISHAMON』や『PopcornFX』とは性格の異なるものになります。ゲームよりもむしろテレビ、映画、アニメなどの映像業界では世界的に使われているソフトフェアであり、サードパーティーから発売されている各種プラグインやスクリプトで合成やエフェクト機能の追加や強化が可能です。

映像作成は3Dの概念も持っていますが、基本的にここから書き出されるファイルは2DCG画像なので、ゲームで使用する効果を作る際はアルファチャンネル付きのPNG画像の連番ファイルで書き出して使用します。

まとめ

3DCGデザイナーの主要ポジションであるエフェクターについて解説してきました。前述したように、エフェクターの業務は3DCGデザイナーの中でもかなり重要な業務なのですが、ゲーム業界への就職希望者はどうしてもキャラクターやその他のパートに目を奪われてしまうことが多いようです。

以前のゲーム開発では、3DCGデザイナーのエフェクター担当として開発に関わることは、大手の開発予算の大きいゲームでもない限り、とても稀なことでした。最近は3DCGゲームの割合が多く、さらには『Unity』や『Unreal Engine』などのゲームエンジンの普及も手伝い、エフェクターの存在も徐々に注目されつつあるようです。もちろん、専用のツールソフトがリリースされ始めたということも、その一助になっているのではと思います。本来なら映像でのエフェクト効果と同じくらい「効果音の設定」も重要なのですが、この場では3DCGデザイナーに関連した映像的な部分の紹介に留めておきます。

今後、エフェクターは3DCGデザイナーの中でも確実に重要視される分野ですので、3DCGデザイナーを志したい方、3DCGデザイナーとしてキャリアを考えている方はぜひ注目してみて下さい。また、3DCGデザイナーについて包括的に知りたい方は、「3DCGデザイナーとは - 工程ごとに業務内容を詳しく解説」でも詳しく解説しています。こちらも参考にしてみてください。

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