Webデザイナーの将来性は?キャリアアドバイザーが今後の需要を解説

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Webデザイナー 将来性SNSやECサイトをはじめとするWebサービスは、今や私たちの生活に欠かせないものとなりました。インターネットを介して世の中や暮らしが変わりつつある中、Webサービスの多様化に伴いWebデザインの仕事は増大。同時に、Webデザイナーの需要も高まっています。

このようにWebデザイナーにとって優位な状況は、これからも続いていくのでしょうか。Webデザイナーを取り巻く環境や、今後も活躍し続けるために身につけたい能力やスキル、気になる将来性について現役キャリアアドバイザーが詳しく解説します。

キャリアアドバイザー プロフィール

Y.Yoshimi

Y.Yoshimi

ECサイト運営企業やゲーム開発企業、アプリ開発関連企業への転職支援を中心に担当。Web・ゲーム業界に特化した専門性と大手企業人事部との幅広いネットワークを持ち、常に最新の情報をキャッチアップ。スピーディーな対応で最適な求人を提案することを心がけている。

Web業界の現状は?

ここではWebデザイナーが活躍する背景として、特に好調なWeb業界の状況について見ていきましょう。

まず経済産業省の「特定サービス産業動態統計調査」(2023年)によれば、2022年のインターネット附随サービスの売上高は2兆2,431億円で、2020年の売上高、1兆9,256億円から16.4パーセント増となり、増収が続いています。

Web業界の売上高が増収となった要因として、主に下記の3つが挙げられます。

1.企業のデジタルシフト

企業 デジタルシフト

近年では、生産性向上や業務効率化のため、企業の経営や財務のほか、マーケティング、商品開発といったさまざまな企業活動においてデジタル化(デジタルシフト)が進んでいます。

また、スマートフォンの普及により、通信販売等がより身近になったことで、消費活動もデジタル化。そのため販促ではWeb広告を用いた広告宣伝へとシフトする企業が増加するなど、企業のあらゆるシーンでデジタル化のニーズは確実に上昇しています。

2.増加する在宅需要

増加 在宅需要

時代の流れと共に変化した生活様式において大きくシェアを伸ばしているのが、増加する在宅需要を捉えたWebサービスです。

家の中にいながらにして、人気店の食事を配達してもらえるUber Eatsや買い物ができるECサイトなどは、その筆頭格だといえるでしょう。もともと便利なサービスとしてすでに利用されていましたが、コロナ禍におけるステイホームをきっかけに、一気にその勢いを増し、業界としての売上も伸びる結果になりました。

3.テレワークの浸透

テレワーク 浸透

コロナ禍では、テレワークの広がりを受け、リモート業務の生産性向上や効率化に役立つ、バックオフィス系のWebサービスにも注目が集まりました。

Web会議システムやクラウド型データ管理システムをはじめ、タスク管理ツール、ビジネスチャットツールといったテレワークで必要なWebサービスの需要が高まり、普及したことで、それらを扱う企業が躍進しWeb業界全体の増収に繋がりました。さらにコロナ禍以降も、テレワークは新しい生活様式の一つとして定着しつつあり、引き続き、安定した需要が見込まれています。

Webデザイナーを取り巻く環境の変化と将来性

Webサービスの好調の波にのって、Webデザイナーのニーズは拡大傾向にあります。

また、Webデザイナーという職業を評価する企業が増えつつあるのが、近年の傾向です。その理由として、たとえば、商用サイトで、ユーザーからの問い合わせや商品購入といった「成果」に繋げるためには、Webデザインが持つ意味は大きく、その重要性を再認識されているからです。

ただ、デジタル系人材のニーズが高まっていても、Webデザイナーの将来が無条件に安泰というわけではありません。実際、AI技術の発達でWebデザインが自動化されるなど、Webデザイナーの将来に影響が出るかもしれないといった話を耳にして、不安を抱いている人もいるのではないでしょうか。

Webデザイナーの将来性においては、具体的に下記のような懸念点が挙げられます。

簡易的にWebサイトを作れるサービスの台頭

インターネット技術の発達により、誰でも簡単にWebサイトを作れるサービスが登場しています。「プロに頼まなくてもこれくらいで十分」というニーズを満たすシンプルなデザインであれば、こうしたサービス内で完結できるケースも少なくありません。そのため、技術力が発展途上であるWebデザイナーにとって、これらのサービスは脅威と言えそうです。

Webデザイナー人口の増加によって競争率が高くなる

デジタル化の進展や、スクールなどで学ぶ機会の増加により、Webデザイナーを目指しやすくなったことで、Webデザイナー人口は増加傾向にあります。競争率が高くなった分、UI/UX、フロントエンド、ディレクションのスキルも兼ね備えるといった、自分の強みを作っていくことが大切です。今後はWebデザインのみならず、そこから派生した幅広いスキルにも目を向け柔軟に対応できるWebデザイナーが求められます。少ない武器でしか対応できないWebデザイナーは淘汰されてしまう可能性があるでしょう。

売上アップに貢献するプラスαのデザイン力が求められている

企業がWebデザイナーに求めているデザインは、単なる見た目の美しさだけではなく、企業のビジネスを加速させるものです。言われたことを忠実に表現しただけのWebデザインは、いずれAIに取って代わられてしまうかもしれません。

これからのWebデザイナーには、見た目の美しさに加えて、企業価値の向上や売上アップに貢献するためには、どういったデザインが求められるのかロジカルに考えデザインに落とし込む能力が求められるようになるでしょう。

Webデザイナーに関連する職種の将来性は?

Webデザイナーの将来性を客観的に把握するために、Web業界で関連性の高いほかの職種の将来性と比較してみました。ここでは、3つの職種の将来性を見ていきましょう。

Webプログラマー

WebサイトやWebシステムの見える部分を作る(デザインする)Webデザイナーに対して、見えない部分の仕組みを作るのがWebプログラマーです。Webプログラマーは、WebサイトやWebシステムの要件定義や仕様書に沿いながら、機能的な部分の開発を担う重要な存在として、Webデザイナー以上に需要の拡大が見込めるでしょう。

ただし、長期的なキャリアを見据えるなら、単一のスキルだけでは生き残りが難しくなるかもしれません。「WebデザインができるWebプログラマー」のように、関連する職種の仕事を理解して活かすことができると、他者にない強みとしてキャリアアップに役立ちます。

Webディレクター

Webディレクターは、Webサイト制作に関わるさまざまな職種をとりまとめる仕事です。自社やクライアントの売上に繋がるWebサイトを目指して、Webデザイナーをはじめ、制作物の企画や制作を担当するメンバーへの指示出しのほか、クライアントとのコミュニケーション、進行管理などを担当します。Webデザイナーとは役割が異なり、いわば、Web制作現場の監督者と言えるでしょう。

今後もさまざまなWebサイトやWebサービスのニーズが高まる中、企業やクライアントの目的を達成するためにはどういったものを作るか、何が必要かを考え、作り出すことが重要なので、Webディレクターの将来性は引き続き安定していると言えそうです。

Webディレクターは、WebサイトやWebサービスのデザインや機能を実装する人をディレクションするのが仕事なので、自らそれらの実装ができなくても役割を果たすことはできます。しかし、ディレクションするうえでプログラミングやWebデザインのほか、Webマーケティングなどの知見を深め、Webにまつわる最新の技術についてもキャッチアップしておくことは大切でしょう。

グラフィックデザイナー

グラフィックデザイナーは、一般的に雑誌の広告やポスターのほか、商品パッケージ、カタログといった印刷物のデザインを担当します。紙媒体からWeb媒体への移行が進んでいるとはいえ、すぐに紙媒体がなくなるということはなく、今後も一定の需要は見込めるでしょう。

ただし、紙媒体のみのグラフィックデザインしかできない場合、いずれ仕事の幅は狭まり、仕事量も減少していくと考えられます。10年先も今と同じような仕事があるかというと、グラフィックデザインのみのスキルでは厳しいといわざるをえないでしょう。

動画を含めて、時代に合ったグラフィックデザインの技術を磨き、早めにWebデザインにも取り組んでおくことをおすすめします

Webデザイナーとして活躍し続けるために、身につけたい能力とスキル

デジタル技術の進化により、目まぐるしい変化を遂げるWeb業界において、Webデザイナーの需要は高まっていると言えるでしょう。しかし、今後もWebデザイナーとして活躍していくには、スキルや情報を常にアップデートし、インプットとアウトプットをする習慣を身につけることが重要です。

続いては、Webデザイナーとして活躍し続けるために、身につけたい能力とスキルを詳しく解説します。

能力1 | 情報収集力

情報収集力

目まぐるしく変わる業界だからこそ、これからのWebデザイナーに求められるのは、情報感度の高さと情報収集力です。デザインのトレンド、最新技術、ビジネスにおけるデザインのあり方など、Webに関わる職種にとって、情報のキャッチアップは非常に重要です。

Webツールやプログラムなどの使い方をまとめたWebサイトや、海外アートや無料素材を集めたWebサイトをはじめ、技術のヒントやアイデアの種となる情報源はいくつかピックアップしておき、定期的にチェックしましょう。著名なデザイナーが発信しているSNSや関連書籍に目を通したり、セミナーに参加したりするのもおすすめです。

直接デザインと関係がないようでも、社会・経済ニュースやAIに関する情報のほか、SEO、解析・分析、マーケティングなどについても専門サイトをチェックする習慣をつけておくとよいでしょう。知識の幅が広がり、Webデザイナーとしてより多角的な視点で物事が捉えられるようになるので、柔軟な発想力が身に付き、新しいデザインを生み出すことにも繋がるはずです。

能力2 | 思考力

思考力

さまざまなデジタルツールが発達し、多くの情報を分析できるようになったことで、ユーザーがいつ、どんなときに、どんなものを求めているのかなど、細かくわかるようになってきました。そんな多様化するユーザーのニーズを正しくくみ取り、常に最新かつニーズにマッチしたものを提供するために求められるのが思考力です。

近年は、Webデザイナー以外の職種でも、ユーザーの潜在的なニーズを見つけ、仮説を立てて実装・リリースして、高速でPDCAサイクルを回して変革を起こす「デザイン思考」が注目されるようになりました。

たとえば、Webサイト等で過去に認められたWebデザインに固執して、同じような手法を繰り返していたり、目を引きつけるための工夫を怠ったりすれば、ユーザーはすぐに離れていってしまいます。

資料請求や商品購入といった成果が求められる商用サイトであればなおさら、ユーザーが潜在的に求めているものは何か、競合相手にあって自分たちにないものは何かといったことを考え、Webデザインに落とし込んでいかなくてはなりません。ユーザーのニーズを追求し、課題解決のために何をすべきか考え抜くこと、それがデザイン思考です。

現状に満足せず、常に次の手を考え続ける習慣を身につけましょう

能力3 | 調整力と提案力

調整力と提案

Webデザイナーは、企業やクライアントの利益に繋がるようなWebサイトをデザインすることが求められます。そのためには、利益に繋がるロジカルな考えを持ちつつも自身のデザインに固執することなく、クライアントやその先にいるユーザーの思いを汲み、調整しながら、デザインの落としどころを探っていく調整力が不可欠です。

また、全体を俯瞰してWebデザインの在り方を考え、課題解決のために複数のデザイン案を用意するといった提案力も求められるでしょう。

能力4 | 数値分析力

数値分析力

商用サイトの場合、いかにセンスのいいデザインでも、問い合わせや商品の購入といった成果に繋がらなければ、ビジネスとして成功したとは言えません。

そのため、ビジネスの成功に貢献できるWebデザイナーになるためには、Webサイトがもたらした成果に、Webデザインがどれだけ寄与しているのか、自身で把握する必要があります。感性だけではなくデータの分析結果にもとづいたデザインができるように意識しましょう

Webサイトを訪れたユーザーがどのように動き、どこで離脱したのか、またどういうときにコンバージョンに至ったのかを数値で分析・把握し、ユーザー行動の傾向をつかんで、Webデザインに活かしていくことが重要です。

スキル1 | UI・UXデザイン

UI・UXデザイン

Webデザイナーが実現すべきものは、やりたいデザインではなく求められるデザインです。Webサイトの操作性を向上させるUIデザインや、製品・サービスを通じてユーザーが得る体験を設計するUXデザインについては、しっかりと知識を身につけておきたいところです。

ストレスのないUIデザインは、UXの向上にも役立ちます。ユーザーがどうすれば操作しやすいのか、Webサイトを通してユーザーにどのような価値を提供できるのかをイメージしながらデザインすることを心がけましょう。

スキル2 | プログラミング

プログラミング

Webサイトを構築しているプログラミングを把握できるようになると、実装することを念頭においたWebデザインができるようになります。また、プログラミングの知識があれば、Webサイトづくりにおいて、接点が多いプログラマーとのやりとりがスムーズになるほか、Webディレクターへのキャリアアップを考える際にも有利になる可能性があります。

スキル3 | Google Analytics

Google Analytics

Webサイトやバナーデザインなどの改善点の洗い出しに役立つのがGoogle Analyticsです。Google Analyticsは、いわゆるアクセス解析のためのツールで、うまく使いこなすと、従来はイメージや勘に頼っていたWebサイト制作を、分析結果にもとづいて行うことができます。

なかなか思い通りの成果が得られないWebサイトや広告を改善する際に、なぜ成果が得られないのか、何をどうすれば改善に繋がるのかを客観的に把握し、エンドユーザーのニーズにフィットするものへと近づけたり、デザイン案の変更を提案したりすることができるでしょう。

スキル4 | SEO

SEO

SEO(Search Engine Optimization)は、日本語では検索エンジン最適化と呼ばれるマーケティング手法です。ほとんどのWebサイトがいかに多くの人を集め、そこからどれだけ成果に繋げられるかを目的としている以上、Webサイトを上位表示させるためのSEOの知識をWebデザイナーも把握しておくことが重要です。

たとえばWebサイトに表示させる画像の軽量化を図ったり、ユーザーにとって見やすくわかりやすい表現を追求することは、結果的にユーザーの離脱を防ぐことに繋がり、SEOにも影響してきます。SEOの考え方がわかっていれば、Webデザインにも大いに活かすことができるでしょう。

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不安要素がまったくないわけではありませんが、デジタル化の進化に伴い、この先もWebデザイナーの需要はなくなることはないでしょう。ただし、求められるWebデザイナー像は、時代によって変わっていきます。Webデザイナーとして今後も活躍していくには、Web業界と業界で用いられる技術の発展に応じて、Webデザイナー自身も進化していく必要があります。

自分に足りないスキルや能力を知って、日々アップデートすることで、Webデザイナーとしての未来を切り拓いていくことが可能です。マイナビクリエイターでは、転職希望者の現在の市場価値を踏まえて、ステップアップの可能性をお伝えします。転職活動でお困りの際は、お気軽にマイナビクリエイターにご相談ください。

この記事を書いた人

マイナビクリエイター編集部

マイナビクリエイター編集部は、運営元であるマイナビクリエイターのキャリアアドバイザーやアナリスト、プロモーションチームメンバーで構成されています。「人材」という視点から、Web職・ゲーム業界の未来に向けて日々奮闘中です。

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