Webデザイナーに求められる「ビジネス視点」とは? - 今までのWebデザイナーと今後のWebデザイナー

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Web業界において、当たり前のように使われている「Webデザイナー」という言葉。職種を表す言葉でもあり、役割を表す言葉でもあります。しかし、変化の速いWeb業界では、様々に「Webデザイナー」へのとらえ方があるようです。

キャリアアドバイザー 吉見 幸浩今回は、「今までのWebデザイナーと今後のWebデザイナー」をテーマに掲げ、「そもそもWebデザイナーってどんな人?」という根本的な部分から「今後のWebデザイナーとはどうあるべきか?」という将来像まで、私自身が、日々転職や採用のコンサルタントをする中で直に感じたことをお話しできればと思います。

そもそもWebデザイナーの定義とは?

Webデザイナーと言うと、皆さまはどのようなイメージをお持ちでしょうか?一般的にWebデザイナーとは、一連のサイト制作を担う役割のことを指すと思われがちですが、実際に「Webデザイナーの定義とは?」「具体的にどのような作業をする人のことですか?」と聞かれると、人によって様々な答えがあるようです。

PhotoshopやIllustratorなどでインターフェイス側のデザインをする人?設計する人?それともコーディングする人のこと?どこからどこまでの範囲をWebデザイナーと呼んでいいものなのか、明確な線引きは難しいものです。

はたしてWebデザイナーはどのような役割を持ち、どのような作業をする人のことを指すのでしょうか?そもそもWebデザイナーの定義は存在するのでしょうか?

現在の一般的なWebデザイナーの定義と役割

Wikipediaで検索すると、一般的なWebデザイナーの定義は以下になるようです。

Webデザイナーとは?

Webデザイナーとは、インターネット上のWebサイトのデザインを行うデザイナーのことである。どちらかと言えばビジュアルな要素の設計を担当するが、近年では画像素材の制作からCSSコーディングまで、その作業範囲が広がっており、分業化が進むにつれ十把一絡げに「Webデザイナー」と扱うことを疑問視する声もある。よく似た呼び方にWebクリエイターがある。

Wikipedia参照(2014.3.1時点)

ざっと読む限りでは、かなり抽象的な表現です。もしくは、言葉の変化の途上にあるといいましょうか…。 続いて、このようなことも追記してあります。

必須の知識

HTML XHTML CSS
配色、色彩心理学 レイアウト、人間工学

望ましい知識

今日のWebデザイナーが操作を習得している、望ましいとされるソフトウェアの例を次に示す。ただし、特定のソフトウェアは常に変化し、いつ廃れるかわからないため、必ずしも特定企業・特定開発者の製品を習得することが望ましいとは限らない。最低限、上記の必須の知識に上げられているW3Cの勧告に沿ったマークアップ言語やWeb標準に準拠したソフトウェアを使いこなすことが重要である。

プログラミン JavaScript、Ruby、PHP、Perl、Python
CMS WordPress、Movable Type、MODx、PHP-Nuke、OpenCms、Zope、XOOPS
Webオーサリングツール Adobe Dreamweaver、Microsoft Expression Web、Aptana
HTML5ムービー作成 Adobe Edge Hype
Flashムービー作成 Adobe Flash
動画・音声配信 QuickTime Streaming Server
写真編集ソフトウェア Adobe Photoshop、Pixelmator、GIMP、Adobe Fireworks。ほかに、Adobe Illustrator、CorelDRAW、Inkscapeなどのドロー系ツールも必要となる場合もある。
データ転送(FTP, SFTP, SCP, WebDAV クライアント) FFFTP、WinSCPなど。ウェブオーサリングツールに内蔵されているため、利用されないこともある。

うーんなるほど…、という印象です。この説明を見てみると、まさにこのような表現に落ち着くしかないのかな、と私自身も思ってしまいます。実をいうと、Webクリエイターの転職や採用を専門にコンサルティングしている私たちの立場からも、このWebデザイナーの定義を一言で語ることができず、ましてや、Webデザイナーの皆さまご自身から聞く「Webデザイナーの定義」さえも、本当に種々様々なものがあるのです。

Webデザイナーは一括りにできない幅広い仕事

例えば、日々コンサルティングの中で、以下のようなWebデザイナーとしての経歴(経験)を持つ転職希望の方々とお会いする機会があります。

前職時のWebデザイナーとしての担当業務は?

  • サイト構成とレイアウトを中心に、パーツ画像作成から写真撮影まで行い、ワイヤーフレームからページ全体のビジュアル面を担当していた
  • Webディレクターの企画・構想やコンテンツを、HTMLとCSSを使用しコーディング。ユーザビリティを考慮しながらページ作成を担当していた
  • モバイルファーストなど、トレンドのサイト設計を取り入れながら、SEOを考慮した記事(原稿)をライティングし、集客につながるデザインを行っていた
  • グラフィックデザインはほとんどせず、HTML5とCSS3を駆使し、レスポンシブデザインなどマルチデバイス対応のサイト設計、デザインを担当していた
  • Wordpressなどのオープンソースを使用。ユーザの運用面まで考慮し、クライアントの環境に合わせたサイト構築を担当していた
  • リスティング広告やリマーケティングなどのWeb広告と連動し、ユーザの行動心理に合わせたデザイン設計を中心にLP制作、バナー制作を行っていた

これは、ほんの一例ですが、上記全てがWebデザイナーと呼ぶことが可能です。まさに、Webデザイナーとは言っても一括りにできないことが、生の声を通してわかります。それに加え、常に新しい技術が生み出されているWeb業界であれば、チームの業務フローや関わるプロジェクトの規模によって、身につくスキルや考え方は一人一人全くと言っていいほど異なるものになるでしょう。

Webデザイナーの担当業務以前、Webデザイナーの方が「これをマスターしたらOKだと言えるものがない。だから一生勉強」とおっしゃっていましたが、その言葉の通りです。まさに、Webデザイナーは、他の職種に比べても、より定義が曖昧な職種と言えるかもしれません。

企業は今、Webデザイナーに「ビジネス視点」を求めている

それでは、少し目線を変えて、企業側から見るWebデザイナー、つまりWebデザイナーを採用したい(必要としている)側は、どのようにWebデザイナーをとらえているのでしょうか?

企業のWebデザイナーを求めるニーズは年々増加傾向にあることは、私自身、日々の業務で強く感じていますが、企業は一体、Webデザイナーという人材をどのようにとらえて、具体的にWebデザイナーにどのようなスキルを求めているのでしょうか?

企業は、成果にこだわるWebデザイナーを採用したい

この章では、現在のWebデザイナーに求められる業務領域の広がりについて少しお話をしたいと思います。 いきなり結論になりますが、企業側からは、「ビジネス視点を持ったWebデザイナーを採用したい」というニーズが急激に増加しています。「ビジネス視点」というものを具体的に述べると、Webディレクターからの指示に従ってオペレーション的にグラフィックデザインを行うのではなく、自らPDCAサイクルを回し、デザイン改善をしていくという視点です。

PDCAサイクルターゲットユーザーの掌握、サイトにおける現状の課題、アクセス解析からの考察、改善のための立案というような流れでしょうか。つまり、デザインをどう成果に結びつけるか、という思考性です。

PDCAサイクルとは?

PDCAサイクル(ピーディーシーエー、plan-do-check-act cycle)は、事業活動において生産管理や品質管理などの管理業務を円滑に進める改善手法のこと。

目標売上から逆算したデザイン戦略が、これからのWebデザイナーには必要

Webデザイナーに対して、企業側からこのような「ビジネス視点」のニーズが増えた理由としては、昨今、Webデザインにおいて、テンプレートを使用するシステムが普及する中、誰もが手軽にサイト制作を行える現状が定着してきた背景があります。Webデザイナーにとっての活躍の場は、オペレーション的な作業者としてのデザインの枠を超え、デザインを軸とした戦略領域を担える人材にこそある、と表しているとも言えるでしょう。

では、実際に私たちマイナビクリエイターが、企業からご依頼いただいている「ビジネス視点」を持つWebデザイナーへの採用ニーズを具体例としてご紹介します。

ある大手ネットサービス企業では、Webデザイナーの人材募集の選考ポイントとして以下のようにあげました。

  1. ページデザインだけでなく、ユーザの閲覧行動や離脱率をアクセス解析ツールで集計することができる
  2. コンバージョンページに至るまでのユーザの行動の傾向を、集計された数値から分析することができる
  3. 分析の結果から改善点を洗い出し、柔軟かつ迅速に次のデザインへ反映することができる

以上3点のように、デザインと数値を紐づけ、主体的にPDCAサイクルを回すことができる

これまでのWebデザイナーに求めるレベルとしては、かなりハードルの高いスキルのように感じてしまいますが、大手ネットサービス企業では、ちょっとしたデザインの変更が売上高にして数億円単位で影響するため、昨今、劇的な早さで専属チームが増え、各企業においても重要なポジションとして位置づけられるようになってきました。

今後は、リッチに魅せるサイト制作だけでなく、ユーザーを中心に考えたUI/UXの設計、ユーザーをアクションへと導くための戦略がWebデザイナーに求められていくでしょう。

ビジネス視点また、某ECサイト運営企業のWebデザイナーは、売上に直結する「商品を売るため」のデザインを常に求められています。これまでは、プロデューサーが予算、売上を管轄することが当たり前でしたが、この企業では、Webデザイナーにも常に「ビジネス視点」を持ってもらいたいという希望があってのことです。

広告用のバナーをスピード感を持って制作し、早いサイクルで効果測定や定量的な分析を行い、ユーザの購買心理に合わせたデザインの改善を提案できる人材、つまり、目標売上から逆算してデザイン戦略を考えられるトータルな力が、この企業の採用ニーズになります。また、一つ一つの施策においても、数値に基づいた論理的な説明ができるかどうか、ということも求められていくでしょう。

本来、オペレーション的な存在だったWebデザイナー。しかし現在は、ビジネスの戦略領域にいたるまでの経験、思考性のニーズが高まっている傾向にある、そのことを私たちマイナビクリエイターは日々実感しています。

転職活動におけるWEBデザイナーの「ビジネス視点」のPR方法とは?

ここまで述べたように、企業がWebデザイナーに求める業務領域が広がるように、Webデザイナーは、転職活動においても、企業側から求められるニーズに合わせたPR方法を広げる必要があります。

それでは、Webデザイナーは、どのようにして自分の「ビジネス視点」をPRしていけば良いのでしょうか?

過去の自分のデザインがどのような結果をもたらしたのかを整理する

基本ではありますが、まずはじめに、ポートフォリオなど、ご自身の成果物を通してのアウトプットの質が重要といえます。

ポートフォリオの質デザインを担当したサイトのキャプチャのみを、ポートフォリオにまとめている方も多くお見受けしますが、それだけではなく、どのようなユーザーに対して、どのようなアクションを起こさせるために、なぜこのデザインにしたのか。その上でユーザーやクライアントに、どのような結果をもたらすことができたのか。この点を押さえておくことが重要です。結果に対しての反省点、改善点についてのエピソードまで落とし込めていければ、さらにプラスの評価につながると言えるでしょう。また、数値という客観的に評価しやすい、定量性をもった分析をしている視点があれば、大きなPRポイントとなるでしょう。

自分のデザインを論理的に説明できるコミュケーション能力を養う

次に、対面での面接においても同様、これらの経験をWebデザイナーとして、どのように考え、対応していたかを論理的に言語化できるコミュニケーション能力を、これからの企業は求めています。しかし、ここでの問題点は、各々のデザインスキルや経験値のリアルな差です。このページを読んでいる皆さまの中にも「デザイナーとしてビジネス視点を持った経験が無いんだけど...」という方もいらっしゃると思います。そのような方は、ご自身のデザイン能力をどのようにアピールすれば良いのか頭を悩ますことでしょう。

しかし、ここでまず、見つめ直していただきたいのは、そもそも「ビジネス視点」を持ち合わせていなかった、というのは本当にそうでしょうか?人は、どんな環境においても直感的にデザインすることはなく、あくまで過去の知識や経験に基づき、何かしらの理由を持ってデザインをしているはずです。それが無意識的であってもです。

まずはご自身の成果物を通して、なぜこのようなデザインにしたのか、ユーザーやクライアントにとってどのような効果をもたらすと考えていたのか、この点を思い出すように掘り下げていただき、それらをアウトプットできるように準備をしておくことが、PRの材料として繋がっていきます。

また、これらの思考を鍛えるためにも、日々業務の中で、様々なサイトを見た時に、どのユーザーに向けたサイトか?どのような効果が見込めるか?収益構造は競合と比較した時どうなっているのか?など、市場分析も含めて、良い点、改善点を洗い出すというような習慣を意識すると、なお良いでしょう。

もちろん制作会社などでは、なかなかユーザーからのフィードバックやサイトにおける効果について把握しきれないケースも想定できます。ただ、そういった状況の中でも、主体的に社内で情報を得ようとしていたか、「ビジネス視点」の思考性を意識し、情報得るための努力を行っていたかといった行動やマインドが、必ず役に立ってくるでしょう。

Webデザイナーに必要なコミュニケーション能力については、以下のページでも詳しく詳細していますので、ぜひご覧ください。

Webデザイナーに必要な3つのコミュニケーション能力とは?

まとめ

今後のWebデザイナーは、これまでのオペレーション的デザインから、事業へ直接的に貢献できるデザインへどれだけ変化できるかがポイントになります。そのためには何か特別なことする、ということではなく、今までのご自身のデザイン性を再度深く掘り下げるだけでも、自己PRのヒントが見つかります。

最後になりますが、私たちマイナビクリエイターではWeb業界に精通したリクルーティングアドバイザー、キャリアアドバイザーが多数在籍しています。デザイナーという分類の中でも、ブランドサイトのようにグラフィカル面の訴求が必要なWebデザイナー、今回の記事で述べたように、「ビジネス視点」を持ち、PDCAサイクルをまわせるWebデザイナーなど、企業が求めるWebデザイナーのニーズを、常に幅広くキャッチアップしています。

その上でWebクリエイターの皆さまにとって最適なキャリアプランのご提案ができるよう、専門性のあるエージェントとして、今後もお役に立てるよう尽力して参ります。 今回は「Webデザイナーに求められるビジネス視点とは?」というテーマで書かせていただきましたが、次回もぜひお楽しみに。 最後までお読み頂きまして、誠に有難うございました。

この記事を書いた人

キャリアアドバイザー 吉見 幸浩

マイナビクリエイターのキャリアアドバイザーとして、Web職・ゲーム業界はもちろんのこと、紙系クリエイティブ職なども含むクリエイター全般の転職を支援している。

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