内定後のオファー面談で事前に知っておきたい4つのポイント
この記事では内定後に企業が行うオファー面談と内定者に送られる労働条件通知書について紹介していきます。希望に合った企業からの内定の獲得は転職者にとって最も大きな目標の達成です。続いて企業からオファー面談についての通知や、労働条件通知書が届くなど、入社に向けての進展があるはずです。喜びもひとしおの瞬間ではありますが、ここはぐっと気持ちを落ち着けて、オファー面談や労働条件通知書への対応もスマートにクリアしていきましょう。
目次
オファー面談と労働条件通知書の基本的なルールを知っておこう
オファー面談とは、内定者に対して企業が雇用の条件などを最終的に確認する面談の場で、近年この呼び名が一般化しましたが、以前までは内定者面談、入社意志確認など、企業によって呼び方も違いました。労働条件通知書についても、企業により呼び方が異なり、「労働条件確認書」や、「オファーレター」と呼ばれることがありますが、内容は同じで、企業側から内定者に対して「この条件でいかがですか?」と呼びかけるための書類です。
オファー面談のフローについて
最初に、内定からオファー面談、入社までのフローを確認しておきましょう。
企業側から内定をもらった後、労働条件通知書を踏まえた進行となります。労働条件通知書は内定後に送付される場合と、オファー面談で渡される場合の2パターンあります。オファー面談ののち、入社する上で問題がければ、入社承諾書に署名して期日までに送付し、晴れて内定承諾となり、入社へ向けた段取りと進んでいきます。
雇用に関するルールが以前より明確化している現在では、オファー面談と労働条件通知書にも一定のルールがあります。次では、オファー面談と労働条件通知書についてのポイントを見ていきましょう。
実は思い違いをしている人が多いオファー面談
内定した企業から通知が届いて「最終面接が終わったはずなのにまた面接?」と憂鬱な気持ちになる人が意外に多いのがこの「オファー面談」です。
まず大前提として知っておいていただきたいのは、オファー面談は企業側にとって選考フローではないということ。内定後の入社予定者に向けて行う雇用条件に関するすりあわせをするのが主題です。ストレートに言えばオファー面談で企業側から内定を取り消すことはできません。内定通知を受け取ったその瞬間からあなたは法的に企業の内定者として守られ、万が一内定を取り消す場合には、あなたの採用での申告に虚偽があったなど、内定を取り消すのに妥当な重大事由があった場合にしか認められません。企業側の事情で内定を取り消す場合には企業は損害賠償などの社会的責任を負うことになるのです。あなたがその会社に入社することを既に意志決定しているならば「これからお世話になります」と言う気持ちで、リラックスして面談に臨めばOKです。
そして大切なのは、あなた自身が企業に入社を決定する段階となり、不明点や疑問点を払拭しておく必要があるということ。面談などの選考フローでは聞くことをためらってしまう質問もあります。これを明確にしておくのがオファー面談の場なのです。つまりオファー面談は、あなたと会社の雇用関係に関する契約内容の最終確認の場です。社会人として契約内容をよく理解しないまま契約することはないはずです。場の雰囲気に流されてうやむやのうちに入社を決めてしまうということのないよう、雇用契約について話し合わなければならない点について、自分でも確認し、必要な場合は質問する用意をしておきましょう。
労働条件通知書だけでオファー面談をしない企業もある
内定者は労働条件通知書についても知っておく必要があります。労働条件通知書は企業が内定した人にその企業で働く条件について明示し、通知するもので企業側に法的に義務づけられています。一方オファー面談には法的な決まり事はありませんので、企業が行うのも、行わないのも自由。内定者がオファー面談を断るのも自由です。企業によっては労働条件通知書の通知だけしてオファー面談を行わない場合もあります。
最終面接までの話し合いで十分な意志の疎通ができていたならオファー面談なしで入社日を待つのも問題ありません。しかし、労働条件通知書については、内定後必ず受取、内容を確認しておく必要があります。
労働条件通知書に記載されている基本項目
- 労働契約の期間
- 就業場所
- 業務内容
- 始業/終業時刻
- 休憩時間
- 休日/休暇
- 賃金の計算方法/締日支払日
- 解雇を含む退職に関する事項
労働条件通知書のサンプル
労働条件通知書は直接内定者に送付されるか、オファー面談の場で渡されるなど企業によって扱いは異なります。しかしあなたの労働に関する条件を必ず書面にして通知することは企業側に義務づけられていますので、もし届かないようでしたら人事など内定した企業の担当者に確認してみましょう。少なくとも労働条件通知書の内容を確認しないまま、入社を確約することは避けなければなりません。
労働条件通知書を受けた上であなたが書面などで入社に同意した場合、それは雇用契約の成立となります。しかし、見本のように労働条件通知書は内定者が入社を決定するためのすべての条件が記載されているとは限りません。それまでの面談で企業側との十分なコミュニケーションが図られており、書類が簡易でも問題ないという場合もありますが、あなたがその会社に入社するための条件が網羅されているかを入社前に確認しておきましょう。
もし、労働条件通知書の内容がそれまで採用フローでの提示と違ったものになっていた場合は、単なる書類上のミスなのか、企業側の採用の条件なのかを確認し、あなたが納得できなければさらに話し合う必要が出てきます。その場合、内定者からオファー面談の機会を求めることもできます。企業との信頼関係を築けるコミュニケーションを行っていきましょう。
オファー面談の本質を理解し、「転職成功」を「転職大成功」に変える
希望の企業からの内定獲得はあなたにとって転職の成功です。しかしその成功をさらに大きくできる可能性があるとしたら、あなたはどうしますか?そのチャンスは実はオファー面談の中にあるのです。オファー面談はあなたと企業が最終的な労働条件について決定する場であることは前項で紹介しました。
最終決定の場であるということは、更なる好条件を引き出せる可能性もあるということ。オファー面談の本質的の本質を踏まえ、自分の理想となる労働環境を手に入れるため、ポジティブに面談へ臨みましょう。ここでは引き続きPoint3とPoint4をご紹介します。
オファー面談で勝負をかけてきているのは企業側
採用フローにおいて転職希望者が「選ばれる側」としてどうしても受け身になってしまうのはやむを得ない部分があると思います。応募者側にはまず内定を獲得することという目的があり、自分希望云々よりも、企業のニーズにどう自分をあてはめていくかに成りがちではないでしょうか。そんな意味でオファー面談はこれまでの考え方を180度転換させて、企業を選ぶのは自分だと考えましょう。企業はあなたを採用したいと既に意思表示しており、それに応じるかどうかをあなたが決めるのがオファー面談なのです。
採用担当者の頭は「選考すること」から「あなたを獲得すること」に変わっている
前述の通り、選択すると言う意味で、オファー面談では企業と内定者の立場はそれまでと逆転していると考えて良いでしょう。企業は、あなたの人材としての価値を吟味した上で、入社を確定させるために面接時よりも好条件を提示してくることもよくあることです。企業からオファー面談の通知を受けながらオファー面談を辞退するのはそんな機会を自ら潰すことになりかねません。また企業側は内定するまで採用フローにおけるあなたに対する評価もコメントを控えるのが通常です。
しかし、オファー面談では「○○さんの●●な部分を高く評価し、採用を決めました」と率直に話してもらえることも多いです。担当者は、「応募者を選考すること」から「あなたを入社させること」に仕事の目的が変わっていることを理解して、労働条件通知書などで企業側が提示してくる条件を精査して入社をゼロベースから再検討してみましょう。
入社企業の最終選択で大逆転もあるオファー面談
複数の内定を獲得している人にとってオファー面談のスケジュールは悩みの種。自分の中で企業に対する優先順位が決まっていて、一番入りたい企業に内定をもらっていれば他の企業の内定は関係ないと考える人も多いようです。しかし内定企業同士のスケジュールが合致してしまい、どちらかを選ばざるを得ないという場合以外は、極力内定企業のすべてのオファー面談を受けてみることをおすすめします。オファー面談は入社を承諾する場ではありません。あなたは内定を獲得した企業が提示する最終的な労働条件を聞くことができるところまで来ているのです。労働条件をより好いものに変えていける交渉の余地がオファー面談にはあるのです。
「他に内定を受けている企業はありますか?」と質問される場合もあるでしょう。オファー面談は交渉の場でもありますので、他にも内定企業や応募中の企業がある場合は隠す必要はありません。あなたの価値が他社にも認められていることを示しましょう。用意されるポジション、待遇、職場環境など、あなたが働く上で重要なポイントは色々とあります。あなたを獲得するために、企業が条件の調整を行ってきた場合、あなたが入社する企業の優先順位そのものが変わってくる場合もあるのです。
マイナビクリエイターでの転職状況でも、「オファー面談で内定企業の優先順位が変わった」「入社企業がオファー面談で変わった」という事例が多くあります。オファー面談で大逆転を目指しているのは実は企業側なのです。内定や労働条件通知書など、日本の労働関係の法律は労働者保護の観点で作られているものが多いです。最終的な入社の決定権を持っているのはあなた自身です。ミスマッチを起こさないためにもオファー面談で内定者の権利をしっかりと行使していきましょう。
ノープロブレムであっても最終回答は後日に
あなたの納得のゆく形でオファー面談が無事終了。しかし慌ててその場で入社を承諾してはいけません。全く問題がない場合でも、書類への署名を含め「○日までにご返事させていただきます」と最終回答は後日にするのが通常です。人はどうしても目の前にいる人の喜ぶ顔がみたいものです。オファー面談の担当者に熱心に勧められれば「入社を決めました。よろしくお願いします」といいたい気持ちが出てくるのが普通です。しかし、労働条件の確認を怠ってしまったり、さらに条件の良い企業の入社を逃してしまったりするのは、そんな目の前の人の言葉に流されてしまった結果の場合が多いのです。企業の提示するすべての条件を確認した上で、もう一度自分一人で冷静に考える機会を持つようにしましょう。
自分の思っていた条件と違う!そんな時の対応法は?
内定をもらって勇んでオファー面談にいくと面接時に言っていたこととは全く違う条件に。正社員雇用のはずが契約社員に、マネージャーのはずがメンバーとして、希望と違う職種でオファーされてしまう。企業の雇用姿勢に社会的責任が問われる現在では、そんな対応をする企業は随分少なくなりました。しかし今もってそんな場合がゼロではありません。そんな時の対応をしっかりと検討しておいてオファー面談に臨みましょう。
面接での企業側の発言や労働条件通知書の内容をよく確認しておこう
労働条件通知書はオファー面談の前に送付されてくる場合とオファー面談で提示される場合の2通りがあります。また労働条件通知書には記載されていなくても、募集要項や面接で労働条件について触れている場合もあります。その企業に入社したら自分はどんな形で働くことのなるのか、不明な部分はできるだけ排除しておきましょう。
企業側のオファーにあなたが本当に同意できるか否かが大切
もしオファー面談での労働条件の提示がそれまでと変わっていたらあなたはどう対処するべきでしょうか。オファー面談でいきなり違う労働条件が提示されるのは、2つの理由が考えられます。内定者にどうしても入社して欲しくて、それまでの提示より好条件を示す場合。そしてもう一つは求める人材とは必ずしも一致しなかったが、あなたを企業が採用しておきたいと判断した場合です。内定者にとって前者で問題になるのは稀ですが、後者は再考が必要です。例えばキャリアアップを目指してWebディレクターとして応募していたが、面接の中で既に経験のあるWebデザイナーとしてぜひ採用したいとの方針が持ち上がった。あるいはマネジメント経験が企業の求めるスペックにわずかに届かず、リーダーではなくサブリーダーからのスタートになったという場合などです。
面接などの採用フローで提示されているべきですが、稀に労働条件通知書やオファー面談ではじめて示される場合もあります。「条件が違う」と入社を拒否することも可能ですが、一番大切なのはあなた自身が新たな条件によって働きたいと感じるか否かです。検討の余地のある提示ならば持ち帰ってじっくり考えてみましょう。
条件ダウンの場合、内定者は「自分の価値を安くみられた」と思いがちですが、前述のとおり企業はあなたに既に「内定を出す」というリスクを負っています。つまりは企業としては、今回の採用では規格外と評価しながら「それでも採用したい」という熱意がその背景にある場合もあるのです。条件が変わってきた時こそ、オファー面談で企業側の意志をしっかりと確認しておく必要があるのです。
より好条件の提示の場合でも見落としたくない仕事と待遇のバランス
オファー面談でいきなり応募までよりも良い条件を提示されたら、内定者はつい嬉しくて入社の承諾を早くしたくなるかも知れません。しかし、好条件の提示の際でも注意しておいて欲しいのは、仕事内容と待遇のバランスです。例えばマネージャーなど管理職を提示されているのに、給与条件はそのまま。仕事内容詳細が明示されていないまま給与だけが高く設定されていたりする場合もあります。例え好条件であっても、それまでの提示と労働条件が変わっていた場合は、その理由をしっかりと確認しておきましょう。
高いポジションよりも自分の専門スキルを活かしたい。高い給与よりも家族と過ごせる休日や勤務時間を大切に考えたい。個人の希望は千差万別です。自分の求める仕事のスタイルと企業の求める人材とにミスマッチが起こっていないか、最後にお互いにすりあわせができるのもオファー面談なのです。
交渉が可能だからこそ社会人としてのマナーを忘れない
オファー面談の意味合いがわかってくると、これまで感じてきたプレッシャーのたがが外れてつい強気すぎる態度をとってしまう人がいます。確かに内定には法的な拘束力がありますので、これまでよりも内定者が条件の確認や交渉がしやすいのは事実です。しかし、企業側に無理な要求をして良いわけではありません。
あなたが個人として企業にどんな対応をしたかは結果として残ります。例え入社を承諾する企業でなくとも、社会人としてのマナーを忘れず面談に臨んでください。あなたからも企業からもより本音の言葉を交わすことができるのがオファー面談です。これまでとは違う企業とのコミュニケーションであなたの評価を更にアップすることもできるのです。
まとめ
ここまで読んでもらえればわかるとおり、オファー面談は個人と企業が対等な立場で話せるただ唯一の機会と言えます。この面談に臨むまではあなたは企業に対する応募者であり、入社時にはその企業の社員です。すでにあなたの採用を決めている企業とは違うニュートラルな立場で、もう一度ゼロからその会社への入社を考えてみてください。
契約は双方の合意を元に行われるもの。雇用契約ももちろん同じです。社会人として契約を結ぶという観点から「不明点を残さない完全な合意」を目指してオファー面談に臨んでください。