自己PRで「柔軟性」をアピールするには?【転職用例文あり】

社会人として重要な資質である「柔軟性」は、転職活動の自己PRでも評価されやすい強みの1つです。柔軟性とは柔らかくしなやかな性質のことで、仕事の文脈においては、その場その場の状況に応じて適切な判断や行動ができることを指します。

この記事では、転職活動中の方に向けて、企業が応募者の柔軟性を評価する理由や、柔軟性をアピールする自己PRの作り方、柔軟性をアピールする際の注意点、職種別の例文などをご紹介します。

目次

企業が「柔軟性」を評価する理由

中途採用をしている企業が応募者の「柔軟性」を評価するのは、柔軟性の有無が、入社後の活躍や組織への定着に大きく関わるためです。以下、主な3つの理由を詳しく見ていきましょう。

新しい環境でも活躍が期待できるから

1つめの理由は、応募者が組織の文化に対してカルチャーフィット(カルチャーマッチ)しそうかどうか、周囲のメンバーと問題なくコミュニケーションを取って活躍できそうかどうかを知るためです。

柔軟性の高い人は、新しい環境にスムーズになじめる傾向があります。周囲をよく見て状況を理解し、その場に適切な判断や行動をとることができため、周囲のメンバーとうまくコミュニケーションを取って早期に活躍できる可能性が高くなります。

逆に、柔軟性に欠ける人は、自分のやるべきことがわからず指示待ちになってしまったり、自分のやり方を押し通そうとして周囲とぶつかったりして、コミュニケーション上の問題や精神的なストレスを抱えてしまう場合があります。入社後の生産性低下や休職、離職などのリスクを避けるためにも、企業は応募者の柔軟性を重視しているのです。

急な依頼などへの対応力に期待できるから

企業が応募者の「柔軟性」を重視するもう1つの理由は、不測の事態が起こったときの対応力を知るためです。

仕事においては、チームメンバーの急な欠席、顧客都合による急なスケジュール変更、自然災害やシステムトラブルなど、思いがけない事態への対応が求められることがしばしばあります。柔軟性のある人は、そんなときにも落ち着いて状況を判断し、やるべきことに優先順位をつけて、必要な相手との相談や調整を行うことができます。

柔軟性が低い人は、予想外の出来事に直面すると混乱して何もできなくなったり、判断を間違えて余計なことをしたりして、事態を悪化させてしまう場合があります。

いつでも起こりうる緊急事態において、重要な対応や社内外との調整を任せられるかどうかは、採用において重要なポイントなのです。

キャリアプランの選択肢に幅がありそうだから

もう1つの理由は、「柔軟性」がキャリアプランの幅を感じさせるためです。

応募者が中長期的にどのようなキャリアプランを持っているかは、会社にとっても重要な関心事です。企業で長く働く間には、昇進や異動といったポジションの変化があり、ときには組織の期待と個人の希望が一致しなくなることもあります。

そんなとき、キャリアプランを幅広くとらえている人であれば、自分の希望に合わないポジションも一時的に受け入れ、長期的には自分の希望が通るようにするなど、組織の都合にもうまく対応することができます。しかし、自分の考えるキャリアプランが絶対と考える人であれば、意に沿わない異動が離職に繋がるなどのリスクがあります。

採用した社員にできるだけ長く働いてもらうためにも、企業は応募者の「柔軟性」を評価するのです。

「柔軟性」が伝わる自己PRを作成する3つのステップ

ここまでの内容で、転職活動の自己PRで「柔軟性」が評価される理由について理解できたでしょうか。もしあなたが「自分の強みは柔軟性だ」と思うのであれば、柔軟性をアピールする自己PR文を実際に作成してみましょう。

作り方の手順を3つのステップで説明します。

Step1

チームで業務をすすめた経験を探す

まずは、これまで仕事において自分が「柔軟性」を発揮した経験を探しましょう。

個人の強みとしての「柔軟性」は、複数の人と一緒に仕事を進める際に効果を発揮します。チームで仕事を成功させるためには、それぞれが自分の仕事だけでなく周囲にも目を配り、自分がどのように立ち回るべきかを意識する必要があるためです。コミュニケーション不全に陥っているチームに柔軟性の高い人が1人加わっただけで、仕事がうまくまわりだすケースもあります。

これまで複数の人と仕事を進めた経験を思い出し、その中に、「自分が柔軟性を発揮したことで仕事を成功させたケース」がなかったか、考えてみてください。

Step2

エピソードを具体的に書き起こす

自分が仕事で柔軟性を発揮した経験を思い出したら、箇条書きでもいいのでエピソードを具体的に書き起こしてみましょう。

自己PRを作るうえで大切なのは、自分の考えや行動が、どのような成果に繋がったのかを論理的に伝えることです。書き起こす際には、以下のような点をできるだけ具体化できるように書いてみましょう。

具体的に記載する点

  • どのような状況だったのか
  • 自分はどのような課題意識を持って取り組んだか
  • どのように行動したか
  • どのような成果に繋がったか
  • そこから何を学んだか
Step3

主体的に課題を解決したエピソードをピックアップする

いくつかのエピソードを書き出すことができたら、その中から「自分が主体的に行動し、課題解決などの成果に影響を与えた」ものをピックアップしましょう。もし複数ある場合は、その仕事や意思決定の重要度や、成果に対する自分の影響度がより高いものを選んでください。

自己PRに盛り込むエピソードが1つに決まったら、エピソードを中心に自己PR文を組み立てます。文章作成が苦手な人は、Chat GPTなどの生成AIを使って箇条書きから文章化し、それをもとに手直しして仕上げると早い場合もあります。

自己PRで「柔軟性」をアピールする際の注意点

自己PRにおいて「柔軟性」は企業に評価されやすい強みですが、取り上げるエピソードや表現の仕方には注意が必要です。書き方を間違えると、「優柔不断」「主体性がない」など、マイナスのイメージに繋がってしまう場合もあります。

以下、自己PRで「柔軟性」をアピールする際に意識すべき3つの注意点について解説します。

注意点1ただ周囲に流されるのは「柔軟性」ではない

まず意識しておきたいのは、単に周囲に流されるのが柔軟性ではない、という点です。

状況や相手に合わせて発言や行動をコロコロ変えたエピソードは、「優柔不断」「八方美人」など、信頼できないイメージに繋がってしまう場合があります。また、「聞き役に徹した」というエピソードからは、「受動的すぎる」「仕事では指示待ちの姿勢になるのではないか」というマイナスの印象を持たれてしまう場合もあります。

エピソードの選定や文章化を行う際には、この点に十分留意しましょう。

注意点2目的意識を持って柔軟性を発揮したことをアピールする

自己PRで「柔軟性」をアピールする際に重要なのは、しっかりと目的意識を持ち、主体的に柔軟性を発揮していることです。

仕事には必ず、組織の目標達成、案件の納品などの目的があります。その中で、技術的な課題やコミュニケーションの課題、予算やスケジュールに関することなど、さまざまな課題に直面します。

どんな状況で、どのような成果を得るために、どのように柔軟性を発揮して課題を解決したのか、相手に明確に伝わるように説明しましょう。この目的意識や主体性といった点を明確に伝えないと、「単に流されているのではないか」と思われてしまう場合があるので、気をつけてください。

注意点3協調性を大切に自らの意見を柔軟に変化させたことを伝える

目的意識や主体性が大切とはいっても、「ただ自分の意見を押し通している」ように受け取られてしまうと、「協調性に欠けるのではないか」などマイナスの印象に繋がってしまう場合もあります。

周囲の意見を取り入れ、自分の意見や行動を柔軟に変化させて成果に繋げたエピソードなど、目的意識や主体性を持ちつつ協調的に課題を解決したことをアピールできるとよいでしょう。

自己PRで「柔軟性」をアピールした例文

注意すべき点を踏まえて作成した、Web/IT・ゲーム業界の職種別例文をご紹介します。

なお「柔軟性」という言葉をそのまま使うとかなり幅広い意味になるため、アピールする内容に合わせてより伝わりやすい言葉に言い換えるとよいでしょう。たとえば「柔軟な対応力がある」「柔軟な発想力がある」「順応性がある」「臨機応変」「応用力が高い」「機転が利く」などです。

以下の例文を参考にしてみてください。

【例文】Webデザイナー

私の強みは相手に合わせた柔軟な対応力です。

前の職場では、お客様への緻密なヒアリングを経てデザインを提案するのが基本的なプロセスだったのですが、あるときヒアリングが非常に困難なお客様を担当したことがあります。どんな質問を投げても「わからない」「とくにこだわらないから、とりあえず何か作って」という返事ばかりなので、ディレクターとに相談してプロセスを変更し、競合他社サイトを参考にデザインのプロトタイプを作成。画面を共有してお客様とディスカッションしながらその場でデザインを調整していったところ、スムーズに進行できました。

最終的に出来上がったサイトへの満足度も高く、その後のリピート受注と受注額アップに繋がりました。私はこの経験を通じて、ルール通りの対応ではなく相手に応じてカスタマイズすることの大切さを学び、その後は柔軟な対応を心掛けるようになりました。御社でもこの強みを生かし、顧客満足度向上に貢献できればと思います。

【例文】Webディレクター

私は、状況に応じて臨機応変な判断や行動ができます。冷静に状況を理解・判断し、問題解決するのが得意です。

前職でディレクションを担当した企業サイトのリニューアル案件で、コーディング段階での構成変更など、クライアントからの度重なる修正依頼に現場が疲弊してしまい、クライアントと社内メンバーの間で板挟み状態になったことがありました。

悩んだ末に「お互いの状況がよく見えていないせいではないか?」と気付き、納期が迫る中ではあったものの、双方のメンバー全員が一堂に会するミーティングと懇親会を設定。ビデオ会議でしか面識のなかった同士が対面で議論し、飲食を共にしてお互いの人柄や状況を理解することができました。

結果としてそれぞれが譲歩し、クライアント側の希望通りに修正を行う条件として、追加予算の確保と納品日の延期について合意。提案したときは反対意見も多かったものの、その後気持ちよく仕事ができるようになったことで、双方から感謝の言葉をもらいました。もし御社に採用いただけたら、この強みをさらに磨いて、御社のプロジェクト品質向上や、チーム力向上にも貢献していきたいです。

【例文】Webマーケター

私は、問題解決のための柔軟な発想力が強みです。

以前、MA(マーケティングオートメーション)ツール導入プロジェクトを担当したときのことです。マーケティングチームの全体予算は決まっていたので、ツール導入コストと引き換えにコンテンツ制作の予算を減らすことになり、コンテンツの担当者から不満が出ていました。私は、MAを活用すれば新規記事が少なくても目標達成できると考え、コンテンツ担当者を巻き込んでメルマガ施策に注力。結果として、新規記事、既存記事ともメルマガからの流入が増えてコンバージョン率も向上。コンバージョン数は前年対比10%増となり、コンテンツ担当者の評価もアップしました。

困難な状況でも常に仕事の目標を見据えて、枠にとらわれず発想する能力は、きっと御社のマーケティングにも役立てられるものと思います。

【例文】ゲームプランナー

私は、限られたリソースでクオリティの高いゲームを作ることができる応用力が強みです。

前職でオンラインゲーム「〇〇〇〇」のイベント企画を担当していたのですが、ディレクターと共に「必ずヒットする」と確信して立てた企画に対して、デザイナーとエンジニアから「決められた納期に対して、満足のいくクオリティのものが出せそうにない」と難色を示されたことがあります。双方のこだわりがかみ合わずに議論が平行線だったので、率先して落としどころを探りました。売上・ユーザーの楽しさ・ゲームの世界観とのマッチ度など、さまざまな要素について議論した結果、オープニングで世界観をしっかり見せれば、そのほかの部分は絵や動きを簡素化しても問題ないという結論に至りました。

その結果、無事に納期までに仕上げることができたイベントはヒットし、有料アイテムも通常時と比べて売上5%アップを記録しました。このバランス感覚や柔軟性を生かして、御社タイトルの価値向上にも貢献していきたいです。

転職の自己PRで「柔軟性」をアピールしよう

ここまで見てきたように、「柔軟性」は転職の自己PRで企業に評価されやすい強みの1つです。ただし、柔軟性をアピールする際には、選ぶエピソードや伝え方を間違えるとマイナス評価に繋がってしまう恐れもあります。もしあなたが「自分は柔軟性のある人間だ」と思うなら、ぜひこの記事を参考に、注意すべき点をしっかり押さえて、自己PRを作成してみてください。

マイナビクリエイターでは、自己PRの書き方・作り方についてさまざまな記事を発信しています。こちらもぜひご覧ください。

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