採用面接に向けて行うべき正しい自己分析方法

採用面接に向けて行うべき正しい自己分析の方法について解説します。応募した企業での選考過程において、自己分析の結果をどのように活かしていくかを考えていきましょう。

応募企業へのあなたの自己アピールの方法は主に「応募書類」と「面接」の二つです。自己分析の成果が現れるのはどちらも同じですが、時間をかけて落ち着いて取り組める応募書類に対して、面接はその場限りの一発勝負の側面もあり、あなた自身のメンタルを支えると言う意味でも自己分析が重要になってきます。

面接というシチュエーションにおいてあなたの言動や思いが、採用担当者にどう伝わるか、そのノウハウを身につけていきましょう。

目次

[Point1]
採用担当者が応募者に求める自己分析

今や採用する企業側でも、就職時・転職時の自己分析は応募者の基本項目となっています。ある程度、経験を持った面接担当者なら、応募者が確かな自己分析、自己評価をおこなっているかどうかを、面接の場で的確に質問してくるはずです。クリエイターを採用する際の採用担当者の基本的な考え方を分析し、採用担当者が採用しやすい(面接を通過させやすい)個人の性質、自己分析のあり方を考えてみましょう。

職種未経験者、経験の浅いクリエイターの場合の自己分析

採用担当者が注目するのは、まずはクリエイターとしてやっていけるかの資質の部分になることが予想できます。応募者がそれをどう自己分析しているかによって、採用者の印象は決まっていきます。「なぜ自分はクリエイターとして働きたいのか?」「自分がクリエイターとして優れている部分は?」「自分がクリエイターとして活躍するために補わなければならない部分は?」といった、あなたが真っ先におこなう自己分析とほぼ同じ視点で採用担当者は問いかけてきます。

もちろんそのまま面接で問われるとは限りませんが、この3点に対して自分なりの明確な答えを持っておくことが少なくとも必要です。そしてやはり大切なのが論理性、客観性です。人の感情は移ろいやすく「好き」が「嫌い」になること、「情熱」が「冷める」ことはよくあることです。「クリエイティブが好きなので」という理由はそれがストレートな感情表現であっても分析ではありません。あなたがクリエイターとして働きたい理由と強み、補うべき弱点をしっかりと自己分析しておきましょう。

経験者・中堅クリエイターの場合の自己分析

経験者がおこなう自己分析は経験やスキル、将来への展望の要素が重要になってきます。ある程度の経験を持ったクリエイターの面接をおこなう場合、面接担当者は未経験者に聞くような「クリエイターとして働く心構え」を改めて聞く必要はありません。注目しているのは「あなたがどんなクリエイターなのか」「どんなクリエイターへと成長していきたいのか」ということ。シンプルにあなたのクリエイターとしての過去と現在、そして未来を聞きたいと考えるはずです。

また、職種経験のある人には、その人ならではの仕事への向き合い方についても聞きたいところです。社会性や人間関係の作り方、所属する会社にどんなことを求めているかなどにも関心があります。自分を見つめ直し、その答えを自分に求めていくこと自体が、あなたにとっての自己分析につながります。

ベテラン・マネージャークラスのクリエイターの場合の自己分析

10年選手以上のベテランクリエイターに求められるのは卓越した高度な専門スキル、もしくはクリエイティブに特化した強力なマネジメント力のいずれか、あるいは両方です。採用のハードルは中堅までのクリエイターよりはるかに高く、面接に進んだ時点であなたの実績は専門スキル、マネジメント力のいずれかで既に高い評価を得ていると考えて間違いないでしょう。あなた自身も自己分析をおこなって、これら仕事上のスキルやマネジメント力の表現で悩むことは少ないはずです。面接で重要となってくるのはそんなスキルやマネジメント力の裏付けとなる「人間性」です。

しかし「あなたはどんな人物ですか?」と尋ねられて答えられる人はなかなかいないでしょう。それはあなたが「自身の情熱的な部分や冷淡な部分」や「豊富な見識を持つ部分や無知な部分」といった相反する側面をいくつも知っているからです。もちろん採用担当者も短い面接であなたのすべてが理解できるとは思っていません。あなたは「仕事と向き合った自分」について、中心に自己分析する必要があるのです。

あなたが自身のどんな特性によって専門スキルを発揮しているのか。またはあなたのどんな人間性に魅力を感じて周囲のクリエイターはあなたのマネジメントを受け入れているのか。説得力のある答えを自己分析から導き出し、面接の質問に対応していくのが採用担当者にあなたを正しく評価させる一番の近道なのです。

[Point2]
クリエイターとしての自分を見つめ直す自己分析

自己分析におけるこれまでのクリエイターと他職種との違い

続いては、一般的な転職とクリエイターの転職での自己分析の違いについて見ていきましょう。一般的なビジネスパーソンの転職の場合、その人の持つ社会性であったり、協調性あったり、コミュニケーション能力であったり、いわゆるビジネスシーンで有効な性質について注目されています。

それに比べるとクリエイターのパーソナリティーは、これまで創造性や独創的な感性に注目される傾向があり、強烈な個性もクリエイターの魅力とされてきました。自らの個性を尊重できる職種としてクリエイターという仕事を選ぶ人も多かったはずです。

デジタル時代のクリエイターに必要な感性を自己分析で再チェック

しかし近年のクリエイターの傾向をみるとWebやゲームといったインタラクティブなメディアでのクリエイティブにおいては、「いかに多くのユーザーのニーズをくみ取れるか」が重要となってきました。データとして表れるユーザーの反応に敏感に応えていけるデジタルマーケティングの発想こそがクリエイターにとって必要な感性となってきているのです。

そしてその感性は、デジタル領域に留まらず、旧来のメディアにも波及しています。ものづくりの上で、全く新しいものを生み出す感性はもちろん重要です。しかし、それだけではビジネスを成功に導くクリエイティブは起こせないと考えられるようになってきているのです。

デジタル時代を生き抜くクリエイターとして活躍するには、今やデジタルマーケティングの感覚がなくてはならないもの。これまでのクリエイティブとは違うデジタルな感性が自分に備わっているかを一つの自己分析のテーマにしてみてください。

デジタルマーケティングで求められる数字との親和性と創造力

それでは、デジタルマーケティングを標榜する上で必要な感性とはどういったものでしょうか。自己分析というテーマでこれを捉えれば「数字との親和性」といえば分かりやすいでしょう。

あなたがクリエイティブをおこなう上で、どのように数字を活用しているかを考えてみてください。数字とはいうまでもなく、Webサイトやゲームなどでのユーザーのアクセス数、クリック数、滞在時間、リリース時や改変時反応など、フィードバックされる解析データのことです。

これらの具体的な数字をどのようにしてクリエイティブに取り込んでいくか。今やむしろこの数字を前提にコンテンツを企画していくという考え方が業界の先端を走るクリエイターの基礎となっているのです。自己分析を行うことで自分と数字との親和性や、それを活かした創造力のあり方について表現できるようにしておきましょう。

面接で問われるデジタル、非デジタルの違いについて自己分析してみる

このデジタルリテラシーともいえる感覚は、新たなWebやゲームなどのデジタルコンテンツの制作に取り組む企業ではもちろん、ユーザーへの即応性を求められる運用会社や、事業会社でのコンテンツマーケティング部門でも強く求められています。また、既存のマスメディアにおいても、インタラクティブ性が高まっていて、積極的にデジタルマーケティングの発想を取り入れようとしている企業が多くあります。

クリエイターとして企業に応募し、面接を受ける際に自分がデジタルマーケティングに対してどのような認識を持っているかをアピールすることは今や必要不可欠です。実際には「マーケティングは得意ですか?」「作品づくりにWebデータの活用をおこなっていますか?」など面接ではさらりと触れられるだけかも知れません。

しかしあなたのクリエイターとしての感覚が、デジタルに対応できるのかできないのかを採用者はしっかりと見極めようとしているのだと考えてください。この分野での自己分析は今のデジタルクリエイターには不可欠といっても過言ではありません。

[Point3]
自己分析における成長の予測

自己分析においてこれまでの自分を振り返るのも重要ですが、自分の将来に対して目標設定をおこなっていくことも面接で採用担当者が注目している部分です。具体的なビジョンを示せるように、しっかりと分析しておきましょう。しかし「自分の将来」というと誰もが漠然としてしまいがちです。転職における自己分析としては、まずは転職直後の目標設定から時系列に沿って自分自身をイメージしていくのが良いでしょう。この自己分析でもやはり、客観性と具体性が大切です。

これからの仕事人生を予想しタイミング別に自己分析する

自己分析タイミング - 入社後すぐ

転職に成功したら、自分がまず何に取り組みたいかを検討していきます。この条件は応募する企業や職種によって当然変わってくることと思います。面接に際しては応募企業によってビジョンを改めることもやっておきましょう。入社によって自分がどのように変わるか、既存の経験やスキルをどう活用できるか、新たな環境で学び、身に付けなければならないことについて予想、認識しておきましょう。次のステップへの自分の心構えを明確にしていきます。

自己分析タイミング - 入社後1年で

職種や経験によっても変わってきますが、入社後1年は転職先企業に溶け込むことができ、戦力として本格的に活躍をはじめている自分を想定して目標設定を試みてください。入社時に設定した目標の達成度や、長期的な目標の進行状況なども検討していきます。1年の経過を振り返って、転職前と転職後の違いを具体的に予想していきます。

自己分析タイミング - 入社後5年で

転職後のステップアップを視野に入れたビジョンを想定していきます。クリエイターならば、専門スキルを高めその道でのスペシャリストを目指すか、マネジメント力を身に付けてチームを率いてプロジェクトに向かうポジションに移行するかを決めていく必要があるタイミングです。当初からマネージャーとして転職した人なら、会社から既に一定の評価を獲得していなければならない時期でもあります。客観性をもった分析に取り組みましょう。

自己分析タイミング - 入社後10年で

10年というスパンで、社会や業界全体の変化も予想し、自分のいるべきポジション、取り組むべき仕事について考えていきます。企業の成長と自分自身の成長を比較・予想し、できるだけ具体的な目標設定をしていきます。メディアの変革期である現在を考えると、クリエイターにとっての10年後は、想像を超えた技術革新や全く新しい表現が生まれているはずです。それに対応できる自分の強みと、補強すべき弱点を分析しておきましょう。

自己分析タイミング - 仕事人生全体を見渡して

自分がクリエイターとして「達成したいすべて」について改めて検討し目標設定していきます。ここでは「これまでに達成できたこと」「これから達成していくこと」という、過去・現在・未来につながるビジョンも含めて考えていきましょう。「自分がどんなクリエイターでありたいのか」をまずはシンプルに抽出し、それを軸に計画性をもって自分の成長を促していく方向性を考えて行きましょう。これができれば自己分析における「なぜ今転職が必要なのか」「どうしてその会社に転職したいのか」必ず明確になってくるはずです。

[Point4]
自己分析のマイナス面をどう捉えていくか

自己分析によって、自分の長所、短所がはっきりしてきます。長所を伸ばすことはもちろんですが、面接では短所をどう克服するか、あるいはその短所を何らかの方法で長所へと転換していくかについて応募者自身がどう考えているかが注目されています。自己分析において自身の短所にどう向き合っていくかを考えていきましょう。

面接で意外に多い「あなたの短所は?」という質問

自己PRにおいて自分の長所に対してスムーズに答えられる人は多いでしょう。その一方で「あなたの短所は?」と問われた際の回答に失敗する応募者も意外に多いのです。採用担当者にとって長所は応募書類などでも知ることができますが、短所については対面で相手の表情を見ながら聞くのが最も分かりやすく、ぜひ面接で質問しておきたいことの一つなのです。

短所が不明確だったり、客観的でなかったり、自己弁護的な場合は、自己分析が不十分で、応募者の信用性すら疑われてしまいます。自身の短所を自己分析できるかどうかはその人の客観性を知る上で有効です。面接で短所について聞くのは担当者にとって応募者の人間性を判断する上での一つの指針ともなっているのです。

自己分析の中で自分の短所とどう向き合っていくか

例えば「私は気が短いです」「熱中すると他のことが見えなくなってしまいます」というように短所といわれて自分の性質を思い浮かべる人も多いと思います。しかし人の性質とは曖昧なもので、その尺度は自分にしか分かりません。転職の自己分析において軸となるのは、これまでの仕事の経験やその仕事をするために学んできた過程です。より具体性をもった答えを導き出していきましょう。

これまでの人生、特に仕事においてのあなた自身の失敗やトラブルを思い出し、起こった物事をもう一度客観性をもって分析してみてください。そして起こった失敗やトラブルに対してあなたがおこなった対処がどのようなものであったかが短所を克服する方法の鍵となるはずです。

失敗やトラブルが起こった際に誰かのサポートを受けたなら、そのサポートの内容にも注目してみましょう。自己分析の中でそんな事例にいくつか取り組めば、あなたの主観ではなく、客観的で具体性をもったあなたの短所を見つけていけるはずです。

なお、短所・弱みの答え方に関しては「短所・弱み系の質問は面接対策の要!NG回答から学ぶ正しい答え方」の記事でも詳しく掲載されていますので、是非ご覧ください。

短所の克服と長所への変換、または自分の個性として受け入れる

自己分析をおこなえば短所を克服することができたり、短所を長所へと変えていくことができます。また短所といっても知識や経験で補えるものと、本人の性質的な部分とがあります。前者は経験によって克服していくことが可能ですが、後者は意識していても容易には修正できない場合もあります。自己分析によってその性質を自分の中で明確にし、意識していくことで改善する努力をしたり、その性質を活かす方向性を見出すことが重要です。

例えばクリエイターにとって「物事に没頭しやすい」ことは「制作への集中力」につながり、決して悪いことではありません。「自己主張が苦手」なことが自分の弱点と考えるなら、「周囲との協調を大切にできる」自分を引き出して、活躍の場を拡げることを目標にしていきましょう。誰にとっても自分の短所と向き合うのは難しい事ですが、それができたからこそ踏み出せる次の一歩があるのです。

転職はニュートラルに物事を考えられるチャンスの機会でもあります。ぜひこの際に短所をに向き合う自己分析に取り組んでおきましょう。

まとめ - 面接では自己分析による一貫した人物像を表現する

皆さんも自己分析により自分自身を形づくっている様々な性質を再発見することになるのではないでしょうか。そこには相反する二つの面があったり、自分でも解釈不可能な自己矛盾があったり。自己分析をおこなって、かえって自己アピールの方法に悩んでしまう転職希望者もいるはずです。そんな時に方向性として打ち出すのは、「職業人としての自分」です。趣味趣向や、あなたの持つ性質に気を取られすぎると、あなた自身が「どんな働き方をしたいのか」という一番大切な命題にたどり着けないことになってしまいます。面接で相手を混乱させてしまうことのないよう、あなた自身の人物像を描いていきましょう。

クリエイターとして転職のための自己分析をおこなうなら、あなたが実現したいクリエイター像をしっかり思い描いておくことが必要です。ここまでの項目でも触れたように、入りたい企業や働き方はもちろん、社会や業界の状況、将来も含めた具体的な理想のクリエイター像です。そして現状の自分の位置を測り、理想像との距離を見定め、次のステップに必要なのは何かを改めて考えてみることが転職を行動に移す上でも必要な自己分析方法なのです。

面接で評価されるためにはこの「理想像と自分の距離が正確に見定められていること」が重要になります。面接であがったり、緊張したりするのは、誰もが自分自身の表現に迷ってしまうからです。将来にわたるワークライフを見渡して、自分の理想像をまず設定します。そしてそれにどのように近づいていくかをしっかりとイメージすることができれば、自分の向かうべき方向性がはっきりします。あなたにとって「現状はこうであっても、この方向に進みたい」という明確な意志になり、クリエイターとしてあなたが目指す人物像が出来上がるのです。

こんな自己分析があれば、面接でどんな質問を投げかけられてもあなたは迷わず回答することができるはずです。それは採用担当者にとってとても理解しやすいあなたの個性となり、面接でのあなたの正確な評価につながります。仕事に向かう自身をシンプルに見つめ、あなたの理想を発見し、自己分析を成功させてください。

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