転職後のミスマッチをどう防ぐ?転職活動中に押さえておきたいポイント
転職におけるミスマッチとは、転職を果たした後、転職者本人と企業のいずれか、あるいは双方が「こんなはずではなかった」と、予想とは違う“よくない事態”に陥ってしまうことを指します。
希望に向かって踏み出したはずの1歩が思っていたものと違っていたらどうしよう……。どこかでそんな不安を抱きながら、転職活動をしている方もいるのではないでしょうか。
そこで今回は、転職後のミスマッチを防ぐために気を付けたいポイントと、十分に対策してもなお起こってしまうミスマッチに対してどのように向き合い、そしてどのように乗り越えていくか、具体例を交えながら考えていきたいと思います。
目次
クリエイターの転職で起こりやすいミスマッチとは?
自分に合った会社を選んだはずなのに、「思っていたのと違う」「聞いていたことと違う」といった状況に陥ってしまうミスマッチ。では、実際にクリエイターの皆さんは転職後、どのような点においてミスマッチを感じているのでしょうか。まずは「業務内容」「待遇・職場環境」「人間関係」の3つの視点から、実際に起きたミスマッチがどのようなものなのか、見ていきましょう。
業務内容によるミスマッチ
- 海外案件があると聞いて入社したが、割合としてはほんのわずかだった
- ディレクターとして入社したものの、実際には裁量権がなく、オペレーター業務ばかりだった
- 繁忙期の仕事のボリューム、スピード感、残業時間が想像以上だった
- コーディングスキルが磨けると思って入社したが、すでにチーム内に専任のコーダーがいたため、仕事を任せてもらえなかった
- メンバーとして入社したはずが、仕事に慣れる間もなく「チームを引っ張ってほしい」とマネジメントまで任されることになった
待遇面・職場環境によるミスマッチ
- 1年後には正社員になれるという話だったが、結局、雇用形態の改善は見られなかった
- 操作環境が当然Macだと思っていたら、Windowsだった
- 給与額が違った
人間関係によるミスマッチ
- クリエイターとして入社したが、上層部の役員がクリエイティブを大事に思っていなかった
- 面接時はデジタルマーケティングを担うメンバーとして期待され無事採用となったが、入社後、一部の上層部がデジタルマーケティングに関する理解がなく、一方的に業務を妨害された
これらはあくまでも一例であり、誰にでも起こりうることです。では、こういったミスマッチを未然に防ぐためには、具体的にどのような対策をして転職活動に臨めばいいのでしょうか。詳しく見ていきましょう。
ミスマッチを防ぐために、押さえておくべき4つのフェーズ
転職後のミスマッチを防ぐためには、転職活動中の各フェーズで、いかに具体的な対策をするかがポイントです。ここでは、見過ごすと後にミスマッチが起こりやすくなる「自己分析」、「企業・業界研究」、「面接」、「労働条件の最終確認」という4つのフェーズを取り上げ、どのような対策が必要なのか解説します。
1.自己分析 - 自分自身と向き合い「転職の目的」を明確にする
転職活動を始めるにあたって、最初に取り組むべきは「自己分析」です。自己分析というと抽象的なイメージを持つかもしれませんが、簡単にいうと、応募書類や面接の場面で、「志望動機」や「将来のビジョン」を明確に伝えられるよう、事前に自分自身の考えをまとめ理解するためのものです。なぜ転職したいのか、どうしてその業界がいいのか、転職して5年後、10年後にはどうなっていたいのか、自問自答してみてください。
心に浮かんだ「なぜ」「どうして」に向き合うことなく、「なんとなく」転職してしまっては、入社後にミスマッチを感じる可能性が極めて高くなります。転職活動をスタートさせる大前提として、この転職で何を実現したいのか、「転職の目的」をはっきりさせておきましょう。それは、今後、転職先や就労条件の優先順位を選択しなければならないときなど、判断基準にもなります。
内定獲得を目的にするあまり、その場しのぎの了承をして入社したとしても、残念ながらミスマッチを感じるのは時間の問題かもしれません。具体的な自己分析のやり方は、「自己分析のやり方 - 転職を機に自分の本質を理解しよう」でもご紹介しています。ぜひ、転職活動を進める前に、本音で自分自身と向き合う時間を作ってみてください。
2.企業・業界研究 - 媒体の特性を知って、情報を見極める
自己分析で「転職の目的」をはっきりさせ、進むべき方向が見えてきたら、次は企業・業界研究です。志望する企業はどんな取り組みをしているのでしょうか。将来的な方向性、業界の状況は?
当然ながらこれから選考を受ける企業の情報を知らなければ、最適なマッチングが難しいことは言うまでもありません。インターネットの普及により、個人による情報収集は、これまでよりもはるかに容易になりました。多くの情報があふれる中で、入社後のミスマッチを防ぐためにも、どういった媒体から、どのような情報を得るのがよいのか、詳しく見ていきましょう。
求人広告・募集要項
求人広告や・募集要項といった企業側が発信する情報からは、業務内容、雇用形態、勤務地、就業時間、賃金など、企業で就業するうえでの基本的な情報を読み取ることができます。媒体によっては、求める人物像や職場の雰囲気、企業理念などが感じ取れるものもありますが、求人広告や募集要項からは、まずは基本的な働く際の条件をしっかり確認しましょう。この部分の情報収集が不十分なまま選考が進んでしまっては、のちのち業務面・待遇面でのミスマッチに繋がる可能性があります。
企業サイト・採用サイト
企業が用意している自社サイトや採用サイトがあれば、ぜひ応募前に詳しくチェックしましょう。なぜならこれらのサイトには求人広告等では網羅できない詳細な情報が載っていることが多いからです。
たとえば、企業サイトであれば、IR情報などから経営状況や業績の動向を読み取ることができます。企業が取り組む事業とその実績、今後の方向性などを知ることで、自分が将来的にその企業でどのように活躍したいかがイメージしやすくなるでしょう。
また、職場環境や設備、その企業で働く人のイメージをより詳しく知りたい場合は、採用サイトをチェックしてみるのがおすすめです。写真などのビジュアルで雰囲気が伝わるものから、企業設立のストーリー、今後の展望、活躍している社員の紹介など、その会社の内部に関する詳細がまとまっているからです。
感覚的なミスマッチは、企業への理解が足りないことで起こりやすいので、これらのサイトを活用し企業への理解をより深めましょう。
口コミサイト
企業の在職者や退職者の生の声を情報として得ることで、リアルな実態を知ることができます。基本的に求人広告や企業サイトでは、企業に関するポジティブな印象が全面的に記載されることが多いですが、口コミの場合は、それだけとは限りません。実際にその中で働いている、あるいは、働いていた人が感じる企業への率直な印象が語られているので、実態を知るうえで大いに参考になるでしょう。
ただし、インターネット情報には利害が対立する人などからの誹謗中傷なども存在します。すべてを鵜呑みにすることなく、企業に対する冷静な評価を行っていくことが大切です。
鮮度の高い情報なら、転職エージェントの活用も
転職後のミスマッチを避けるために、鮮度の高い情報収集は重要です。転職エージェントのキャリアアドバイザーは、企業の採用現場で常に新しい情報をキャッチアップしているので、インターネット上ではわからないリアルな情報まで把握しています。もし個人での情報収集に限界を感じたら、転職エージェントを介した転職活動も検討してみてください。企業への理解がより深まり、転職後にミスマッチを感じるリスクを下げることができるでしょう。
また、転職エージェントを利用する場合は、担当のキャリアアドバイザーとは本心で向き合うことを忘れずに。キャリアアドバイザーは、あなたの言葉をもとに、あなたの強みや将来性を客観的に分析、評価して、キャリア設計のサポートをします。私たちマイナビクリエイターも一人ひとりに適したアドバイスを常に意識しています。ぜひご相談の際には、本音をお聞かせください。
3.面接 - 具体的な情報を引き出すための「逆質問」を用意する
ミスマッチを防ぐためには、とにかく情報収集が重要です。求人広告、企業サイトなどで企業にまつわる基本的な情報が収集できたら、次はよりリアルで具体的な情報を得るために、面接を活用していきましょう。
面接は実際にその企業で働いている人と直接話ができるまたとないチャンス。大抵の場合、面接の終盤に差しかかると「何か質問はありますか?」と面接官からあなたに質問されるシーンがあるので、そのチャンスをうまく活かします。いわゆる「逆質問」タイムです。企業の魅力や実際に働く社員の様子などを知るためにも、面接においては、より具体的で現場の実態に繋がる情報が聞き出せるような質問を事前に用意しておきましょう。
たとえば、1次面接など、現場の責任者や上長が面接官となる場合に、「活躍している社員の1日のタイムスケジュールを教えてください」、「終業後、チームメンバーの皆さんはどのような過ごし方をしていますか?」といった質問をしてみるのはどうでしょうか。具体的な話が出てくれば、社員同士の雰囲気のよさや会社の勤務状況を知る手がかりになるはずです。
ほかにも、面接で使える逆質問の例は「採用面接での逆質問例50選まとめ - 逆質問は転職を成功に導くチャンス」でも紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
自分の待遇や利益に繋がる質問をするのはアリ?ナシ?
面接で「残業は多いですか?」「休日出勤はありますか?」「有休は使えますか?」といった自分の待遇や利益に繋がる質問をストレートに聞くのは、面接官にあまりいい印象を与えません。ですから、面接の場で皆さんが直接質問するのなら、「働き方改革において、何か新しい取り組みをしているのか」など、聞き方を少し工夫してみましょう。あるいは、内定が出たあとの最終確認で改めて質問するのがよいと思います。
面接という選考シーンにおいて、自らの印象に影響するような質問はできるだけ避けた方が無難です。もし、転職先を選ぶ基準として、少し聞きづらいことを早い段階で確認したいのなら、エージェントを通して確認することもできます。
4.労働条件の最終確認 - 不明な点は内定を承諾する前に必ず確認する
最終選考を通過し内定を獲得すると、気持ちが高まりつい舞い上がってしまいがちですが、最後にしっかり確認しなければいけないことがあります。それは、実際に働くうえでの労働条件です。
企業には、内定者に対して労働条件を示した「労働条件通知書」を提示する義務があります。提示方法は、実際に顔を合わせて条件を確認するオファー面談をはじめ、メールや文書での通知などさまざまですが、いずれにせよ、転職を希望する皆さんにとっては入社前に労働条件を確認する最後のチャンスになります。もし、入社に関する何らかの疑問が残っているのなら、このタイミングで必ずクリアにしておきましょう。
たとえば、年俸制の場合は月々いくら支払われるのか、業績賞与の場合は支給実績があるのか、完全週休2日制とあるが土日休みなのか、といった生活に深く関わる条件は求人票の内容や面接で確認したことと相違がないかていねいにチェックしてください。オファー面談は採用フローではありませんし、もし聞きにくい質問をしたとしても、その内容次第で採否が覆ることは原則ありません。あいまいな理解のまま内定を承諾して、のちのちミスマッチを引き起こすことがないようにしましょう。
内定獲得後は、採用選考時と違い、入社することを前提として質問ができるので、転職者にとって有利な状況といえます。企業側も転職者に対する方針がすでに決定しているので、あいまいな部分を残さず回答することができるはずです。
転職者の心理として「とにかく入社したい」という思いはあるかもしれませんが、労働条件の内容を確認しないまま、その場の空気に流されて簡単に入社を確約してしまっては、転職後にミスマッチを起こしかねません。その場で判断が付かない場合は、検討の時間を設けるため、一度、家に持ち帰るなどして最終的な判断は慎重に進めてください。オファー面談の際に押さえておきたいポイントは、「内定後のオファー面談で事前に知っておきたい4つのポイント」でもご紹介しています。
オファー面談がない場合は、いつ労働条件について質問する?
企業にとって「オファー面談」は義務ではないので、場合によっては文面による「労働条件通知書」の確認のみで、入社を決めることがあります。その際、もし労働条件に関して不明な点があれば、企業側に問い合わせること自体、まったく問題ありません。メールでも電話でも構いませんが、できれば証跡が残るメールで採用担当者に問い合わせましょう。
もしマイナビクリエイターを通した転職であれば、担当のキャリアアドバイザーにお問い合わせください。入社前に、企業に細かな質問をするのは何かと気づかうものですが、キャリアアドバイザーへの質問であれば気兼ねなくできるのではないでしょうか。
転職は人生のターニングポイントです。みなさんが極力「決断すること」に集中できるよう、マイナビクリエイターでは条件確認や交渉までしっかりサポートいたします。
それでもミスマッチを感じたら?転職のミスマッチを乗り越える方法
事前準備として、自己分析や企業の情報収集もしっかり行い、内定後の条件も確認して自分自身も納得して入社したはずなのに、もしかしたらミスマッチかもしれない……。残念ながら転職後にそんなことを感じることもあるかもしれません。そのときは冷静にご自身が置かれている状況を見つめ、対応方法を検討していきましょう。
それって本当にミスマッチ?転職直後にありがちな思い込み
入社前、企業研究や情報収集をどんなに徹底しても、予想できないことはあります。たとえば、「一緒に働くチームメンバーはよいが、役員とはいまいち気が合わない」「使用ツールが今までと違い、業務的な不安を覚えた」というような、働いてみないとわからない現場での人間関係やモチベーションの問題です。新しい環境で、新しい人間関係を築くのは決して簡単なことではありません。また新しい仕事に慣れるまで時間もかかり、思い通りに進まずストレスを感じることもあるでしょう。しかし、これらの問題は本当にミスマッチでしょうか。実際、時間が経つにつれ少しずつ解決できることも多く、「ミスマッチ」と判断するのは少し早い場合もあります。
人間関係について、はじめのうちは役員と合わないと思っていても、自分主導で仕事が回せるようになれば、業務上の関わりはそこまで多くなく、特に支障はないかもしれません。使用ツールに至っては、最初は誰だって使いづらいものです。しかし使い続けていれば、いずれ慣れるでしょうし、新しいツールが導入される可能性だってあり得ます。
転職後、新しい環境で感じる「うまくいかないこと」に対して、自ら現状を打開することなく、すべて「ミスマッチ」に結び付けていては、何度転職を繰り返しても同じです。最初はできなくて当たり前。萎縮したり遠慮するよりも、その環境を積極的に変えていく図太さを持って、新しい職場に自ら馴染んでいくことも必要です。そうしているうちに、自分にとってミスマッチだと感じていたこともいつの間にかミスマッチではなくなっていくこともあります。人間関係やモチベーションは、あなたの気の持ちようで大きく変わるのです。
どうしても続けていくのが難しい場合は転職も検討
一定の時間が経過すれば解決することがある一方、心身共に耐え難い苦痛を感じていたり、経済的に生活がままならないなど、時間が経過しても解決しない、むしろ悪化するようなミスマッチを感じることもあるでしょう。そんなときは、一刻も早く再び転職を考えた方がいい場合もあります。自分は今どんな状況なのか、客観的に判断することが重要です。
無理をするのではなく、今、自分の置かれた状況は冷静に考えてどうなのか。今後のことも考えて慎重に決断をしましょう。
短い期間で転職を繰り返していると、次の転職活動に影響する?
短期間のうちに転職と退職を繰り返すことは、次の転職活動の際、採用担当者にあまりいい印象を与えません。「些細な理由でまたすぐに辞めてしまうのでは?」とネガティブな印象で評価される可能性があるからです。とはいえ、ミスマッチに耐え続け、退職に踏み切れないのもまた辛いもの。そんなときは、「退職せざるをえなかった理由」を採用担当者が納得するような形で説明できるかどうか、一度客観的に考えてみてください。
入社後すぐに退職した、という事実は少なからず次の転職活動にも影響を与えてしまいます。ミスマッチを理由に短期間で転職を考えるときは、そういったリスクがあることも十分理解したうえで決断することが必要です。
まとめ
転職後のミスマッチを防ぐため、転職前にやっておくべきこと、また十分な対策を行ったうえで起こってしまった転職後のミスマッチに対してどのように向き合えばいいのか解説しました。
自分の本当の気持ちや転職の目的を知る(自己分析)、自身のキャリアを築ける場所か徹底的に調べる(企業・業界研究)、よりリアルな情報を収集する(面接・面談)、労働条件通知書をチェックする(労働条件の最終確認)といった対策はミスマッチを未然に防ぐためにとても重要なことです。企業の内定獲得を急ぐあまり、それらを適当に流してしまっては、のちのちミスマッチへと繋がり、企業にとってもあなたにとってもよい転職とはなりません。その場の雰囲気に流されることなく、一つひとつのことをていねいに、転職活動を進めていきましょう。
マイナビクリエイターでは、Web・ゲーム・IT業界に特化した専任のキャリアアドバイザーが数多く在籍しています。そして、各企業の採用担当者とも連携を取り合い、企業が求める人物像のほか、社風や職場環境など、転職者にとって重要な情報もつねにアップデートして持ち合わせています。転職活動を進める中で情報不足を感じたら、ぜひお気軽にご相談ください。