Webデザイナーのキャリア形成に年齢制限はあるのか?

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Webデザイナーという職業が確立されてから、実はまだ20年程度しか経過していません。そのため、Webデザイナーのキャリアパスは曖昧模糊としています。「何歳までなら実務未経験でもWebデザイナーになれるの?」「Webデザイナーって年を取っても続けられるの?」と聞かれて、明確な答えを出せる人は少ないでしょう。

そこで今回は、就職・転職市場の現状を踏まえて、「実務未経験からWebデザイナーになれる年齢」「Webデザイナーとして活躍できる年齢」という2つの側面から、Webデザイナーの年齢とキャリアについて解説していきます。

実務未経験からWebデザイナーを目指すのに年齢の制限はある?

まずは、「何歳までなら実務未経験でもWebデザイナーになれるのか」という点を考えてみましょう。冒頭で述べたように、Webデザイナーは、営業職や事務職などと比べると、新しい職種であるため、異業種・異職種から転身する人も珍しくありません。しかし、他の職種の状況を考えると、「年齢が高くなればなるほど、未経験からの転身は難しくなっていく」と考えるのが自然です。Webデザイナーの場合、年齢によって就職・転職の難度はどのように変化していくのでしょうか。

実務未経験からWebデザイナーになるための難度 20代前半編

難度

正社員
契約社員
アルバイト

想定される属性

  • 新卒
  • 第二新卒
  • Webディレクター、HTMLコーダーからの転身

20代前半は、専門学校や大学から卒業した直後といえるタイミングです。つまり、20代前半でWebデザイナーを目指す人の多くは、新卒や第二新卒であるということです。そのため、Webデザイナーとしての実務経験がないのも当然と考えてもらえます。正社員、契約社員、アルバイトともに求人数も多く、実務未経験からWebデザイナーになるためのハードルは高くありません。

20代前半のWebデザイナーを採用する際に企業が期待するのは、専門学校や大学で学べる程度のスキルレベルです。入社後、いかに成長するかが問題なので、専門学校や大学でWebデザインについて学んでいれば、Webデザイナーの道を歩むことは容易です。学生時代にWebデザインに関するスキルを身に付けていない場合も、職業訓練校や民間の各種スクールでスキル不足をフォローしておけば大きな問題にはなりません。学生時代などの制作物をポートフォリオとしてまとめることで、スキル面でのアピールは十分といえるでしょう。

ポートフォリオは、面接官が応募者の実力の程を知るための重要な情報です。必ず用意しておきましょう。

むしろ、20代前半でWebデザイナーを目指す際に重要になるのは、成長意欲や企業のカルチャーマッチです。現在の能力ではなく、1〜3年スパンでの成長可能性や人柄を、企業は見極めようとします。企業の採用面接を受ける場合は、スキル以上に、入社後に何をしたいのかやコミュニケーション能力の高さをアピールすることが大切です。

また、他の職種でWeb制作会社やWebメディアの運営会社に所属しているのであれば、働きながらWebデザインに関するスキルを身に付けて、部署異動を願い出るという方法もあります。

20代前半でWebデザイナーを目指す際のポイント

  • 専門学校、大学、職業訓練校などで学べる程度のスキルでもOK
  • 学生時代などの制作物は必ずポートフォリオとしてまとめておく
  • 企業は、現状のスキル以上に成長可能性や人柄を重視して採用判断をする

実務未経験からWebデザイナーになるための難度 20代後半編

難度

正社員
契約社員
アルバイト

想定される属性

  • 紙媒体のデザイナーからの転身
  • Webディレクター、HTMLコーダーからの転身
  • 異業種・異職種からの転身

20代後半でWebデザイナーを志す人には、紙媒体のデザイナーからの転身や、Webディレクター、HTMLコーダーからのキャリアチェンジ、さらには完全に異なる業種・職種からの転身など、さまざまなケースが想定されます。一方で、企業が求めるスキルレベルは20代前半に比べて高くなり、正社員として採用されるためには、Webデザインの基本的なスキルに加えて、Webデザイナーとしての実務経験が求められるケースがほとんどです。

とはいえ、実務経験者でなければ正社員として絶対に採用されないというわけではありません。Photoshop、Illustrator、HTML、CSSといった、Webデザインに関する基本的なツールや言語を使いこなせた上で、前職で培ったスキルや経験を活かすことができるなら、実務未経験でも正社員として採用される可能性はあります。基本的なスキル不足は、職業訓練校や民間のスクールに通うことで補いつつ、前職の経験を効果的にアピールしてWebデザイナーへの道を切り拓きましょう。グラフィックデザインやコーディングに関するスキルは、高評価の対象となるはずです。ただし、未経験だからと言って、ポートフォリオが不必要ということはありません。 スクールで制作したものや、個人的に制作したものは、積極的にポートフォリオに載せて、「実務経験が無くても、スキルはあるから仕事に順応してくれそうだな」と、実際に仕事に加わった時のイメージを面接官が持ちやすくなるようにしていきましょう。

20代後半で、実務未経験からWebデザイナーを志すのであれば、契約社員やアルバイトとしてキャリアをスタートさせるというのもひとつの手です。契約社員やアルバイトであれば、Webデザイナーとしての実務経験を求められないことが多いため、ハードルはグンと下がります。給与や雇用条件は悪くなりますが、完全に異なる業種・職種からの転身の場合は賢い選択といえるでしょう。

20代後半でWebデザイナーを目指す際のポイント

  • 正社員採用には、基本的なスキルだけでなく実務経験が必要となることが多い
  • 前職での経験やスキルをプラスアルファの要素としてポートフォリオに盛り込む
  • 契約社員やアルバイトからキャリアをスタートするのも賢い選択

実務未経験からWebデザイナーになるための難度 30代編

難度

正社員
契約社員
アルバイト

想定される属性

  • 紙媒体のデザイナーからの転身
  • Webディレクター、HTMLコーダーからの転身
  • 異業種・異職種からの転身

30代で実務未経験からWebデザイナーになるのは非常に困難だというのが現実です。企業が30代のWebデザイナーに求めているのは、制作実務を主体的にこなしていたり、チームや部下のマネジメント・クオリティ管理を実践したりしている姿です。Webデザイン初心者に対するニーズはほぼないのです。年齢だけで、採用選考から除外されるケースも少なくありません。

また、実務未経験で採用されたWebデザイナーの年収は、正社員であっても300万〜400万円程度が一般的です。30代でWebデザイナーに転身しようとすると、年収の大幅ダウンを余儀なくされるケースが多いでしょう。家庭を持っていたり、住宅を購入していたりする場合は、大きな年収ダウンを受け入れられないことも少なくないはずです。そのほか、ワークライフバランスが大きく変化することも考えられます。求職者側が求める条件から考えても、30代で未経験からWebデザイナーになるのは難しいのです。

それでもWebデザイナーになりたいなら、とにかく実務経験を積むことを最優先しましょう。20代に比べてハードルは高くなりますが、契約社員やアルバイトであれば、実務経験はなくとも、採用してくれる企業は存在します。また、スキルに自信があるなら、クラウドソーシングで仕事を受注したり、社内提案や営業をしたりして、みずからWebデザインに触れる機会を作るという方法も考えられます。こういった手法がうまくいくようであれば、Webデザイナーとして独立するという道を模索してみてもいいかもしれません。

30代でWebデザイナーを目指す際のポイント

  • 30代で実務未経験からWebデザイナーになるのは非常に困難
  • 大幅な年収ダウンやワークライフバランスの変化を覚悟する必要がある
  • 実務経験を積むことが最優先。スキルがあるなら独立する手も

実務未経験からWebデザイナーになったときの年収は?

実務未経験からWebデザイナーとして企業に就職した場合の年収についても紹介しておきましょう。下のグラフは、マイナビクリエイターが保有しているWebデザイナーの求人情報(2017年2月22日時点)を年収のレンジで分類したものです。未経験でWebデザイナーとして入社する場合、給与も最低レンジから始まるケースが多いことを考えると、300万円台が通常、どんなに高くても400万円台の前半と考えたほうがいいでしょう。

マイナビクリエイターが保有するWebデザイナーの求人の年収分布

Webデザイナー 求人の年収分布

出典:マイナビクリエイター 2017年2月22日時点

Webデザイナーとして活躍するのに年齢の制限はある?

世界で初めてWebサイトが誕生したのは1991年。企業が商品販売やマーケティングの手法としてWebサイトを活用し始めるのはその数年後であることを考えると、Webデザイナーは生まれてからまだ20年程度しか経っていない、非常に新しい職種であることがわかります。もちろん、Webデザイナーとしてキャリアをスタートし、定年退職を迎えた人は存在しません。

そんな環境の中で、20代後半から30代前半を中心に、多くのWebデザイナーが抱いているのが、「年を取るとWebデザイナーとして働けないのではないか」「今後、どのようなキャリアを積んでいけばいいのか」という不安です。実際に50代、60代のWebデザイナーは少ないわけですから、不安を抱くのは当然のことです。そこでここからは、「Webデザイナーとして活躍できる年齢に制限はあるのか」という視点で、Webデザイナーの年齢とキャリアについて考えてみます。

結論から言うと、何歳になってもWebデザイナーとして活躍し続けることは可能です。ただし、「スキルの拡大」「スキルのアップデート」を続けるという条件付きです。このふたつをおろそかにすると、Webデザイナーとして生きていくことは困難になってしまいます。

Webデザイナーが「スキルの拡大」を図るには?

Webデザイナーと一口にいっても、その定義は曖昧なものとなります。例えば、バナーやWebサイトの画面を作れるだけの「グラフィックデザイナー」もWebデザイナーの一種ですが、グラフィックデザインとコーディングの両方ができて初めてWebデザイナーと呼ぶケースが多いでしょう。また、UI/UXデザイナーやフロントエンドエンジニアも、広い意味ではWebデザイナーの範疇内です。さらには、コンセプトメイクやクリエイティブ全体の監修、ディレクションをするようなアートディレクターも、Webデザイナーの発展形と考えられます。

Webデザイナーにとっての「スキルの拡大」とは、上に挙げたような多種多様なスキルや職能を、年齢に合わせて習得していくということです。参考までに、グラフィックデザイナーから出発した場合の、一般的なスキル・職能の習得順と、想定年齢を図に表しました。

Webデザイナーのスキル拡大モデル

Webデザイナー スキル 拡大モデル Webデザイナーがクリエイターとして活躍していくためには、最低限、20代でWebデザイナーとしての地位を確立しておくことが重要です。20代後半〜30代になってからは、より広義のWebデザインに対してアプローチしていく必要があると考えましょう。もし、30代でグラフィックデザインだけしかできていないのであれば、スキルに疑問符がつく状況です。20代前半のWebデザイナーでも対応できる可能性が高いため、すぐに活躍の場を奪われてしまいます。

30代までに上図のようなスキル・職能を身に付けておけば、とりあえずは安泰と思われるかもしれませんが、図で示したスキル・職能はあくまで一例です。Webサイトの運用やマーケティングに関する知見を深めることも、Webデザイナーとしては重要な要素ですし、動画領域のデザインスキルを身に付ける必要があるかもしれません。多種多様なスキル・職能を貪欲に身に付け、担当できる領域を広げていくことが、Webデザイナーとして活躍し続けるための秘訣といえます。

Webデザイナーに「スキルのアップデート」が必要な理由

Webデザイナーとして活躍を続けるための、もうひとつの重要な要素が「スキルのアップデート」です。Webデザインにまつわる技術は常に進化しているため、アップデートを怠ると、どんなにスキルの幅を広げたとしても、一瞬にして活躍の場が失われてしまうのです。

例えば、現在主流のHTML、CSSのバージョンはHTML5、CSS3です。しかし、HTML4、CSS2からHTML5、CSS3へと移行が進んだように、今後、新しい技術や仕様が導入されていくことは確実です。このとき、「HTML5とCSS3でデザインはできるから」「自社のWebサイトはHTML5とCSS3で作られているから」と、最新の技術や使用に対するスキル習得を怠ってはWebデザイナーとして好ましくありません。また、新しいデバイスが登場したときに、そのデバイスに適したデザインを制作できなければWebデザイナーと呼ぶのは難しいでしょう。モバイル向けのWebサイトをデザインできないのにWebデザイナーと呼べるかどうかを考えれば、このことはすぐに理解できるはずです。

そのほか、デザイントレンドを積極的に学び、理解する姿勢も必要です。20代の若手デザイナーであれば、流行のデザインをまねるレベルで構わないかもしれません。しかし、30代、40代のWebデザイナーには、一歩進んだ付加価値が求められます。トレンドの背景や意味、そのデザインを効果的に使う手法までを深く理解し、自在に扱えなければ、Webデザイナーとしての市場価値は低いといえるでしょう。

組織人としてのスキルアップも重要

日本企業では、スペシャリストとして定年退職まで勤め続けるという形態があまり一般的ではありません。これは、Webデザイナーの場合も同様です。Webデザイナーとはいえ、チーム、部下のマネジメントに関するスキルや経営的な視点を身に付け、リーダーやマネージャーへとキャリアアップしていく必要があるケースがほとんどです。クリエイターとしてのスキルアップにばかり目が向きがちなWebデザイナーですが、Webデザイナーとして活躍し続けるためには、企業内での存在感を高めることも重要です。

まとめ

今回は、Webデザイナーの年齢とキャリアというテーマについて、「実務未経験からWebデザイナーになれる年齢」「Webデザイナーとして活躍できる年齢」という2つの側面から解説してきました。どちらの側面から見た場合も、年齢が高くなるにつれて、より高度なスキル・知見を求められ、スキル獲得やアップデートを怠ると、キャリア形成上、不利に働くことがわかります。キャリアパスが確立していないWebデザイナーですが、やはり「年相応」という考え方を無視することはできないのです。

実務未経験からWebデザイナーを目指している人は、できるだけ早く最低限のスキルを身に付けること、そして20代後半以降の人は、実務経験を積むことを最優先に行動することが大切です。Webデザイナーとして長く働きたいと考えている人は、多様なスキルを習得しつつ、最新の技術・トレンドを貪欲に学習することで、活躍できる領域を広げていきましょう。

この記事を書いた人

マイナビクリエイター編集部

マイナビクリエイター編集部は、運営元であるマイナビクリエイターのキャリアアドバイザーやアナリスト、プロモーションチームメンバーで構成されています。「人材」という視点から、Web職・ゲーム業界の未来に向けて日々奮闘中です。

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