Webデザイナーの仕事はなくなる?生き残るために必要なスキルを紹介
技術の発達により、一部では「Webデザイナーの仕事はなくなる」という意見も見られます。そんな中、Webデザイナーを目指してよいのか悩む人もいるのではないでしょうか。技術の進歩やWebデザイナー人口の増加によって、Webデザイナーの将来性を不安視する声がありますが、スキルを磨いていけばWebデザイナーの仕事がなくなる可能性は低いです。
本記事では、なぜWebデザイナーの仕事がなくなると言われるのか、その理由を解説します。併せてWebデザイナーとして活躍し続けるためのスキルや方法も紹介するので、ぜひご一読ください。
目次
スキルを持つWebデザイナーは仕事がなくならない
専門的な知識と高度なスキルを持つWebデザイナーは、仕事がなくなることはありません。(株)日本デザインの調査では、IT人材の採用に注力している企業の約8割が「優秀なWebデザイナーの採用に苦戦している」ことがわかっています。多くの企業が目的・課題設定や優れた情報設計ができるWebデザイナーを求めているのです。
多くの人がインターネットを利用する現代では、ビジネスにおいてWebを活用した認知拡大や集客は欠かせません。Webサイトで効果的に企業や商材をPRするためには、美しさだけでなく、独自性とユーザビリティの高さが重要になります。
つまり、与えたい印象をビジュアルで的確に表現しつつ、使いやすさや目的達成にも配慮されたデザインを実現できるWebデザイナーは、今後も企業からの需要が高まるのです。
将来的に「Webデザイナーの仕事はなくなる」といわれる4つの理由
これからは徐々に「Webデザイナーの仕事はなくなる」という声が上がっている理由は、以下の4つが考えられます。
- Webデザイナーになる人が増えている
- Webサイトを手軽に作成できるツールがある
- AIツールが急激に発展している
- SNSで広報活動をする会社が増加している
順に解説します。
1Webデザイナーになる人が増えている
初心者でもオンライン講座や書籍などでWebデザインを学びやすくなったり、Webデザイナーは多様な働き方ができるということが認知されました。その結果、Webデザイナーの人口が増えることで、市場が飽和状態になり、新規参入してくるWebデザイナーの仕事がなくなってしまう懸念も出てきています。
しかし、Web業界は年々市場が拡大しており、それに伴ってWebデザインの重要性も高まっています。他のデザイナーに負けないスキルを身に付けていけば、企業から求められ続けるでしょう。詳しくは、後述の「活躍し続けるWebデザイナーに求められる4つのスキル」で解説します。
2Webサイトを手軽に作成できるツールがある
これまでは、HTMLなど専門的な知識やスキルがなければWebサイトの作成はできませんでした。しかし、今は「Wix」「Jimdo」といったWeb作成ツールを使えば、知識がなくてもWebサイトを作成することができます。そのため、Webサイトを自社制作してコストを抑える会社も少なくないのです。
しかし、誰でもWebサイトが作成できる時代になったからこそ、他社との差別化が重要になっています。企業やユーザーのニーズに沿いつつ独自性のあるデザインを創出できるWebデザイナーは、仕事がなくなることはないでしょう。
3AIツールが急激に発展している
近年目覚ましい成長を遂げるAIによって、Webサイト制作の自動化・簡略化が加速しています。
たとえば、「Wix ADI」などのAIツールでは、簡単な質問に答えるだけでコンテンツやデザイン、コードの生成を自動で行ってWebサイトが作成できます。また、「ChatGPT」を活用すればWebデザインのアイデアも得られるでしょう。このことから、「Webデザイナーに依頼しなくてもWebデザインはできる」という声が上がっているのです。
とはいえ、AIの精度が上がってもWebサイト制作のすべてを任せられるわけではありません。AIはある程度のパターン認識やデータからの学習は可能ですが、抽象的な概念やビジネスの戦略の理解には限界があります。目的やターゲット、ブランドアイデンティティなどのコンテキストやニュアンスを正確に把握し、最適なWebサイトをデザインするためにはプロのデザイナーの知見が必要なのです。
AIを作業の効率化に活用しつつ、集客力や訴求力のあるデザインで勝負できるWebデザイナーは、仕事が途切れることはないでしょう。
4SNSで広報活動をする会社が増加している
InstaglamやXなどSNSは気軽に最新の情報を発信でき、利用者も多いことから集客ツールとして活用する企業が増えました。SNSで集客してWebサイトは必要な情報を掲載すればよいという考えも出ており、「Webデザイナーは仕事がなくなる」という意見に繋がっていると考えられます。
しかし、シンプルなWebサイトであっても、ブランドイメージを向上させる工夫やサイトの操作性を高めることは必須です。そのため、顧客満足度や売上を上げるWebデザインは今後も求められるでしょう。
また、Webデザインの知識はSNSのヘッダーやアイコン、投稿時に使用する画像やテキストなどの作成に活かせます。たとえば、グラフィックデザインスキルは、フィルターやエフェクトを効果的に使用した魅力的な画像の作成や、重要な情報を目立たせてユーザーの視線を誘導するよう設計する際に役立ちます。また、Webサイト全体のデザインをした経験は、投稿全体で統一感のあるデザインにしてビジュアルアイデンティティの構築を図る際に活かせるでしょう。
Webデザイナーならではのスキルを発揮して、「Webサイトを作成できる人」ではなく「Webサイトの作成とSNS運用もできる人」になれば、企業からの需要も高まります。
活躍し続けるWebデザイナーに求められる4つのスキル
前段の各見出しの最後でも解説したように、なくなると言われている理由に対して、きちんと対策することで、Webデザイナーとして活躍していくことができるようになります。ここではさらに具体的なスキルについて解説します。
活躍し続けるWebデザイナーになるために向上させていきたいスキルは、以下4つのスキルです。
- UI・UXの設計スキル
- マーケティングスキル
- コーディングスキル
- グラフィックデザインスキル
順に説明します。
1UI・UXの設計スキル
業務の自動化が進んだとしても、ユーザーが「使いやすい・見やすい」と感じ、「満足した」と感じるかどうかは人の目で見ていく必要があります。
UI・UXのスキルは、ユーザー中心設計を実現するターゲットリサーチやペルソナ設計、ユーザーが求める情報に簡単にアクセスできる情報設計、インタラクションデザインなど、多岐にわたります。UI・UXを熟知して設計スキルを磨いていくことで、ユーザー満足度の高い、売上に繋がるWebサイト制作を実現できるのです。
ユーザビリティの高いデザインを考えられるのは、人間の強みといえます。UI・UXのスキルを向上させていくことで、「もっとこうした方がわかりやすい」といったアイデアも出やすくなります。
UI・UX設計スキルを向上させていくことで、顧客だけでなく利用者の満足度も高いWebデザイナーを目指しましょう。
2マーケティングスキル
マーケティングスキルとは、製品やサービスを効果的に販売し、ターゲットを獲得するために必要なスキルです。Webデザイナーがマーケティングスキルを身につけることによって、ターゲットのニーズをデザインに反映させることができ、その結果、企業の要望を満たすことができるようになります。
また、Webサイト完成後にアクセス解析などを通してフォローができる人材は企業から重宝されます。成果を出せるWebデザイナーになるためにも、マーケティングスキルは向上させていく必要があるのです。
加えて、マーケティングスキルを習得できれば、Webマーケター、Webディレクターといった職種が担う仕事もできるようになり、業務の幅も広がるでしょう。
3コーディングスキル
昨今「コーディングは自動化される」といわれていますが、不具合や部分的な修正に対応できるWebデザイナーは今後も必要とされます。「コーディングができないからシステムに頼る」のと、「コーディングスキルを持ちつつシステムを活用する」のでは、Webデザインの質も変わります。
ツールで基本的な作業は簡略化して、高度なコーディングは自身で対応すれば、スピーディーかつハイクオリティなWebデザインができます。クライアントの満足度が高い仕事をすれば、Webサイトが完成した後もリニューアルや修正の案件を獲得できるでしょう。
4グラフィックデザインスキル
ほとんどのWebデザイナーはグラフィックデザインの基礎的なスキルを持っています。時代によって変わっていくクライアントとターゲットのニーズを満たすデザインをしていくためには、グラフィックデザイン技術を磨き続けることが大切です。
現在ではPhotoshopなどでAI機能が追加されるようになり、理想イメージを生成することができるようになりました。このように、最新のデザインツールに対応したり、ツールをより高度に使いこなしたりできれば、表現の幅が広がります。企業や商材の特長を的確に形にできるスキルは、今後を生き抜くための強力な武器になるでしょう。
Webデザイナーとして生き残る方法
本章で紹介する姿勢を持てば、Webデザイナーとして生き残る、またはWebディレクターなどWebデザイナーのスキルを活かしたキャリアアップができます。
Webデザインに活かせるスキルを習得する
前章で紹介したスキルのほかに、Webデザインに活かせるスキルも積極的に習得しましょう。たとえば、ライティング、ディレクション、アクセス解析などは、より集客力のあるWebサイトを設計するうえで役立ちます。
また、Webデザインの仕事を獲得し続けるためには、コミュニケーション能力、営業力、スケジュール管理力なども求められます。特にコミュニケーション能力は、経済産業省の調査によると、半数以上の企業がデザイン人材に対してコミュニケーションスキルを求めていることがわかっています。ていねいなヒアリングやわかりやすい説明によって顧客と良好な関係を築いていくことで、Webサイトの制作後も運用やリニューアルなどの継続案件、またはSNS運用など別の案件の獲得に繋がるでしょう。
Webデザインだけではなく、Webデザインとのシナジーがあるスキルも磨いていくことで、活躍し続けるWebデザイナーになることができます。
新しい技術・ツールを柔軟に取り入れる
新しい技術やツールに柔軟に対応する姿勢も大切です。最新の技術を駆使してより効果的なデザインができるWebデザイナーは、企業から必要とされ続けます。
たとえば、ChatGPTでリサーチやアイデア探しをすれば、自分では気づけなかった着眼点や発想に触れることができます。多くのアイデアから最適なものを選んでデザインに活かすことで、クリエイティブの質向上に繋がるでしょう。
今後も新しい技術は生まれますが、それを活用して見た目も美しく目的やターゲットに合致した、より質の高いWebデザインができる人材は仕事がなくなりません。
企業から求められるWebデザイナーを目指そう
さまざまな理由で「Webデザイナーの仕事はなくなる」という声があることは事実ですが、プロならではの仕事ができるWebデザイナーは、仕事がなくなることはありません。スキルを磨いて質の高い仕事をしていけば、その実績からさらに仕事は増えていくでしょう。
この記事を書いた人
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